海水に浸かったニューヨークの地下鉄...その危険性

2012.11.02 21:00
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完全復旧には時間がかかりそうです。

ハリケーン・サンディがニューヨーク周辺の海を直撃し、マンハッタン南部やブルックリン、クイーンズなどの地域を水浸しにしていきました。その結果海水がニューヨーク市営地下鉄システムに入り込み、運休を余儀なくされました。現在は一部区間が復旧しましたが、まだ浸水したままの部分も多く残っています

以下、それがどれだけ危険かを解説します。


海水は塩水


海水が塩辛いのは、雨が地面に降り、川が海に流れ込んでいく過程で塩分を含んでいくためです。雨水の段階では、水の中に空気中の二酸化炭素を含んでいるため若干酸性です。それが地面に入ると、酸で地中の塩分やミネラルを溶かしていきます。この溶けた塩分が川に流れ込み、それが海へとつながっていくのです。その結果、現在の海水は平均3.5%の塩分を含んでいます


ニューヨーク地下鉄の方式


1890年代、どんな都市でも鉄道ベースの大量交通システムを構築していました。煤まみれだったロンドンの地下鉄が反面教師となり、ニューヨークの地下鉄はクリーンで煙の出ない電気を動力とすることが決まりました。ヨーロッパで行われていた第三軌条方式が採用され、炭素鋼製の2本のレールに加えて、給電のための第三のレールが敷設されたのです。そこには625ボルトの直流電気が流れていて、地下鉄車両の底にある「靴」(集電靴)を通じて電車のモーターにエネルギーを送る仕組みになっています。そして第三のレールに流れる電気は、地下鉄システム全体で約2500マイル(4000km)にも及ぶケーブルで送られています。


そして起こる腐食


この種のレールシステムはたいていの環境では問題ないのですが、海水に浸かるのだけは非常に苦手です。2種類の金属が水に浸かると、それは電池を形成します。より反応しやすい金属が先に腐食を始め、電子を失って陽イオンを生成し、それが水中に放出されます。反応しにくい方の金属は陰極になり、放出されたイオンを吸収していきます。

腐食のプロセスは電気伝導力が高いほど激しくなるのですが、塩水にはそれに十分な量のナトリウムと塩化物イオンが含まれているため、伝導力は純粋な水より40倍高くなっています。さらに、塩化物イオンはたいていの金属表面に容易に浸透するため、腐食をさらに早めます。海水に含まれる他の金属、たとえばマグネシウムやカリウムも、局所的な腐食の原因になります。そのシステムの外に電気(たとえば電気の通った第三のレール)があれば、これら全プロセスが激しく進行する、危険な電気のプールができてしまいます。

ハリケーン・サンディ襲来にあたって、ニューヨーク市はいち早く地下鉄を止めました。その判断は正しかったと言えるでしょう。


Image courtesy New York MTA

Patrick DiJusto(原文/miho)

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