「ダメ。ゼッタイ。」覚せい剤がインフルエンザに効く?

「ダメ。ゼッタイ。」覚せい剤がインフルエンザに効く? 1

だからって、ダメ。ゼッタイ。

寒くなるにつれて、インフルエンザ流行の危険も高まっています。現在も予防接種がありますが、今後意外なものから予防薬が生まれるかもしれません。ある研究により、少量のメタンフェタミン、つまり覚せい剤がインフルエンザ予防に効果を持つ可能性が明らかになったのです。

これは、台湾の国家衛生研究院とドイツのレーゲンスブルク大学の研究者が、メタンフェタミンのウイルスによる感染症への影響を共同調査した成果です。メタンフェタミンは広く乱用されている薬物で、継続的に使用しているとウイルス感染リスクが劇的に高まることを示すデータが山ほどありました。メタンフェタミンには、体の免疫反応を抑制する働きがあるためです。

研究チームではインフルエンザウイルスに関しても同様だろうと考えていましたが、それもひとつの仮説として検証する必要がありました。実験ではまず人間の肺の細胞を取り出して培養し、メタンフェタミンに接触させました。その細胞をH1N1亜型のインフルエンザウイルスに接触させたところ...。

 

 

ウイルスの伝播を促進するだろうという予想に反し、インフルエンザウイルスの繁殖も細胞への感染も抑制されていたのです。この実験結果はPLoS Oneで公開されています。

ただ、この結果だけでは「メタンフェタミンはインフルエンザ予防に効く」とは言い切れません。まず、この実験はインフルエンザのひとつの型についてしか行なっていません。他の型に対しても同じ効果があるかどうかは未知数です。またもっと大きな問題は、これは完全に研究室ベースでの実験だったことです。実験はシャーレの中で行われただけで、生身の人間でも動物でも試していません。またそもそも覚せい剤なんて使っていいのかという問題もあります。

ともあれこれは非常に興味深いし、今後有益になりうる発見です。研究を進めれば、メタンフェタミンと似た物質でインフルエンザをてきめんに予防できるようになるかもしれません。...でも、現時点で自分で自分に処方するのは、もちろん、ダメ。ゼッタイ。

PLoS One

Jamie Condliffe(原文/miho)