5インチのiPhoneって、どんなディスプレイになる?

2013.02.08 11:00
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iPhone 5よりさらに大きいiPhoneが出そうだってになってます。その名も「iPhone Math」と一部では呼ばれており、サイズは5インチ弱という噂です。Instapaper作者のマルコ・アーメントさんが言っているように、小さくなったA5Xプロセッサがそこに搭載されて実現するのかもしれません。

5インチのiPhoneなんて! と思われるかもしれませんが、4インチのiPhoneだって最初は「ありえない」と言われてました。Tech Blockのジェイソン・ポール・リッチモンドさんが、大きいiPhoneがもしあるとしたらそのディスプレイはどんなものになるか、以下の記事で詳細な計算を含めて考察しています。どんなものか、見てみましょう。

「5インチiPhoneは1136 x 640」?


マルコ・アーメントが、iPhone Mathが競合のラインアップに対してどんな風に入り込んでくるかを予想していました。僕はそれを支持するにあたって、まずは自分の非科学的かつ個人的体験に基づく話をします。僕の父が、去年の夏の初めにiPhone 4Sを買いました。父は60歳にして初めてテキストメッセージを送ったんです。問題は、視力が弱まってiPhone 4S上のテキストは拡大しなくちゃ読めなくなってしまったことです。その父がGalaxy S IIIを見て「私ももっと大きなスクリーンがほしい」というようなことを言っていたんです。

たしかに、「片手で操作できなきゃダメ」とはiPhoneのサイズに関する議論でよく言われます。でもみんな、本当にiPhoneを片手だけで使うものでしょうか? どっちにしろ両手での操作が必要な場面もあります。なので「片手で使えなきゃ」っていう議論は、僕が一般的なiPhoneユーザーを観察してきたところからすると、同意できるものではありません

多くの人にとって、大きなスクリーンのスマートフォンのメリットは、そのデメリットより大きいと思われます。大きい方が、良いんです。だからAndroidデバイスの多くは大きいんです。その一部には他に選択肢がなかったケースもあるでしょうが、なぜ選択肢がなかったかというと、アップル以外のメーカーはアップルと同じサイズでは勝ち目がなかったからです。

iPhoneが5インチ近くになると、そんな競合他社にとっては痛手になることでしょう。スクリーンが大きくなる分ピクセル密度が低くなったとしても、現行の4インチのiPhoneより売れるかもしれません。それは、iPad miniがiPadより「劣っている」にもかかわらず売れているのと同じことです。

マルコの予想は、アップルの情報に詳しいジョン・グルーバーからもジム・ダリンプルからも賛同されていますが、わからない部分もあります。彼は5インチ弱iPhoneの解像度を、現行の4インチiPhoneと同じ1136 x 640になると予想しているんですが、本当にそうでしょうか? 

1136 x 640ではこのクラスでは最低の解像度で、今市場に出ている1080pのディスプレイ(1920 x 1080)と比べると画素数は約3分の1になってしまいます。廉価版ならありうるかもしれませんが、大きめのスマートフォンが売れている今、アップルがそれを安価に売り出すとは考えにくいです。さらに、それならプロセッサはA5でも良さそうなのに、A6より高コストになりそうなA5Xをあえて搭載するとも考えにくいです。


Retinaの計算


Retinaディスプレイの定義では、スマートフォンと目の間の一般的な距離においてピクセルが見分けられないようなピクセル密度(PPI)が計算されています。でも僕は、その計算にはどうも抵抗があるんです。特に、1フィート(約30cm)の距離からだと300PPIあれば視力1.0の人の目でもピクセルを見分けられない、とされていて、300PPIが一種のマジックナンバーになっていることがひっかかります。

マルコは大きいiPhoneについて「4.94インチで1136 x 640、ピクセル密度は264PPI」と予想しているんですが、それはありうるでしょうか? それだと、多くの人にピクセルが見分けられてしまいます。もっと言えば、一定数の人は視力が1.0より良く、iPhone 5の326PPIも十分じゃないんです。


「解像度2倍」?


一定のサイズに対してピクセル密度を高めれば解像度が高まりますが、それはそれで問題があります。「アップルは業界標準の1080pに合わせるべき」と言う人もいて、僕もそれは悪くないと思うんですが、デベロッパーにとっては複雑になると思います。ひいては、iOS最大の資産といえるサードパーティアプリの豊富さを損ねることになります。システムを複雑にすると、既存のアプリをブラッシュアップしたり、新しいアプリを作ったりする時間が減り、App Storeのサイクルも遅くなると考えられます。さらにバイナリサイズが全体的に大きくなり、帯域コスト上昇やメモリのひっ迫も予想できます。サプライチェーンも複雑化します。こう列挙すると、なぜアップルがスクリーンサイズについて保守的な姿勢を堅持しているかが見えてくると思います。

それでもスクリーンサイズを大きくするとしたら、どんな方法がアップルにとって最適でしょうか? iPhone 4のときは、解像度を320 x 480の2倍の640 x 960にして、ピクセル数は4倍になりました。

(※注:アップルはRetina対応の画像と非対応の画像を見分けやすいように、Retina対応画像のファイル名に「@2x」を付けるというルールを作りました。これにならって、この記事ではRetina登場前の解像度に対しては@1x、Retinaに対しては@2x、Retina前の解像度をn倍したものには@nxとします。「@」と「x」の間の数字を二乗すれば、Retina前のピクセルだと何ピクセルになるかがわかるります。)

解像度を@2xのRetinaから@4xにするのは、一見簡単そうに思えます。現行のiPhone 5は1036 x 640なので、2倍は2272 x 1280、これが5インチ弱のディスプレイに収まっていたらきれいだと思います。

でも、そこまでは必要ないと思います。A5XやA6なら負荷には耐えると思いますが、十分な速度が確保できるかわかりません。バッテリーライフや熱処理の問題もあります。さらに解像度を倍にすると、高ピクセル密度の画像(次の画像のような)を処理できないアプリやWebサイトの見た目がひどいことになります。


2倍の解像度で起こること


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たとえば1ピクセルの点があります。それはRGBストライプディスプレイに表示された、赤青緑の3つのサブピクセルで構成されているとします。我々の目は緑の光に対してもっとも感度が高く、白い光の3分の2は緑です。そこに、それほど明るくない赤と青が加わって、小さなひとつの丸い光の幻覚を見せてくれるわけです。解像度を倍にすると、その点は4ピクセルになります。解像度が低ければひとつだったのが、4つもあるんです。

上の画像では、1ピクセルで表した点を解像度2倍にして4ピクセルで表示した状態が見られます。こうすると、点が丸じゃなく四角みたいに見えます。これが、低解像度の画像を単純にピクセル2倍で表示したギザギザ状態のときに起こっていることです。Retina MacBook ProでRetinaに最適化した設定でWebサーフィンすると、画像が汚く見えるのはこのためです。


二乗の計算


では、解像度を高めつつ、画像のギザギザや、動作速度やバッテリー消費の問題を回避するにはどうすればいいでしょうか? 簡単です。二乗の数を並べると、2の二乗の次に来るのは、4の二乗の16、じゃありません。その前に3の二乗、つまり9があります。4ピクセルある場所に9ピクセルを入れるとしたら、増えるピクセルは5ピクセル、つまり元々の4ピクセルの1.25倍です。4の2乗の16ピクセルを入れるとなると、追加されるピクセルは12ピクセルもあり、元の3倍にもなります。


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つまり、次のiPhoneの解像度をiPhone 5の2倍にするとピクセル数は4倍になるのに対し、1.5倍であれば2.25倍で済むということです。

でも、「じゃあなんでiPhone 4では、解像度2倍じゃなく1.5倍にしなかったの?」と思われるかもしれません。@2xから@3xにしても、@1xから@1.5xと同じ問題があります。


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たしかに、@2xの画像を@3xで表示するとアンチエイリアス処理で少しぼやけますが、@2xの画像が多少ぼけても、細かくて気づきにくいです。一方、シャープさが必要なテキストや写真、動画といったものの画質はぐっと向上します。なのでアップルが@1.5x(存在していたら720 x 480)にしなかったのは、このせいじゃないはずです。50%向上した解像度をサポートするには、解像度が増えた分以上に面倒な処理が必要なんです。

iPhone 4で解像度を2倍にしたとき、アップルは非常に賢い方法をとりました。彼らは、点の大きさを同じにしたんです。iOSでは、スクリーン上に線を描くときは@2xの線は書かれていません。ユーザーが描く線は、Retina前のディスプレイなら1ピクセル、Retinaディスプレイなら4ピクセルに相当する点によって描かれています。iPhone 4では、このターゲットの範囲は初代iPhoneと同じ、480 x 320になっていました。iPhone 5だと、それは568 x 320です。

これが今後も踏襲されるなら、大きいiPhoneでもターゲット範囲は568 x 320が維持されるはずです。すべてのテキストや他のベクターオブジェクトは、自動的に@3x表示されます。@2xのオブジェクトはすべて1.5倍にスケーリング、アンチエイリアス処理されるでしょうが、それでも十分きれいなはずです。むしろ、@3xに対応した画像は必要ないというか、それを作る労力やファイルサイズの肥大化などを考慮すると、望ましいとも言えないと思います。

@3xのディスプレイでは、@2xの画像を@2xのディスプレイより美しく表示できる...ということは、@1xの画像でも@3xのメリットが生かされないわけではありません。スケーリングのアルゴリズムをいじって、画像の端になるピクセルを隣接するピクセルとグラデーションになるようにすれば、低解像度の画像のギザギザを緩和できます。多少ぼやけはしますが、元の画像よりもきれいになるはずです。


まとめ


@3x・5インチのiPhoneのメリットは、次のようになると思います。

  • ギザギザが緩和、元の画像よりきれいになりうる。
  • デベロッパーの対応が不要、画像などの@2xから@3xへのアップグレードも不要
  • Webサイトでも@3xの画像は不要
  • バイナリサイズが肥大化しない
  • 小さいテキストがずっと読みやすくなる
  • 画像やHD動画がさらに美しくなる
  • タッチで触れる範囲が大きくなるので正確に打ちやすくなる。大きな手の人は特に。
  • 本当の意味でRetina(ピクセルが見分けられない状態)にするには現状の4インチではピクセル密度489ppiが必要だが、それに近づけられる。@3xでは、4.94インチなら396ppi、4.8インチなら407ppi、4.5インチなら435ppiになる。
  • バッテリーやアンテナを収めるスペースが増える


一方、@3x・5インチのiPhoneのデメリットはこのようになります。

  • 片手では使いにくくなる。大きな手の人は特に。
  • 細過ぎるスキニージーンズだとポケットに入らないかもしれない。
  • サプライチェーンにおいて、他の同等サイズのデバイスとのパーツの奪い合いになる。
  • バッテリーライフが厳しくなる可能性もあるが、多分そこまでではない。
  • アップルが前に言っていたことと違うので、革新的な企業姿勢からの逆行と受け取られる。

デメリットの最後の点、アップルの姿勢に関しては、確定的じゃありません。市場においてベストな製品を作ることを「逆行」と呼ぶとすれば、そう思われることもまあデメリットであろうということです。


おまけ:発表時期について


最後のメモです。数年前までのアップルの製品発表は、iPadとApple TVが春で、iPhoneが夏、iPodが秋、Macが通年でランダムに行われていました。今のアップルはすべてクリスマスに合わせたサイクルにしているように見えます。つまり、全デバイスが他のデバイスとパーツやサイズをめぐって競合してしまうことになります。2012年末は大変なことになっていました。それもいいんですが、個人的には全製品を冬前に一気に刷新しない方が望ましいと思います。

有意義だと思うのは、アップルが春の発表で9.7インチのiPadと4.xインチのiPhoneを出してGalaxy SやHTC Oneシリーズと競合させることです。冬と夏は主にMacとOS Xのリリースに使い、春と秋をiOSデバイスのリリース用にするんです。iPad・iPhoneそれぞれに大小の2サイズ展開で、それぞれがお互いを改善するんです。製品を成長させていくには良い方法だと思いますが、どうでしょうか?


Jason Paul Richmond-The Tech Block(原文/miho)

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