「ジュラシック・パーク」の挿絵に隠れたフラクタルの謎(動画)

本の「ジュラシック・パーク(Jurassic Park)」は各章のはじまりに挿絵があるんですが、あれって紙の帯を半分に折ってまた半分に折ってまた半分に折って...を延々繰り返してできるフラクタルパターンだって知ってました?

人呼んで「ドラゴン曲線(Dragon Curve)」。

英科学ビデオジャーナリストのブラディ・ハラン(Brady Haran)の数学専門チャンネル「Numberphile」で、作家のロブ・イースタウェイ(Rob Eastaway)が謎解きしてくれましたよ。見始めたら面白くてついつい最後まで見てしまった...見てよかった...。

(動画訳)

ロブ・イースタウェイ:『ジュラシック・パーク』ってみんな映画は見たことあるだろうけど、本で読んだ人は少ないよね。

僕も実は読んだことない。でも見たことはある。というのも、あれ挿絵がすごく変なんだ。ちっちゃなパターン。ものすごく美しいパターン。

知ってる人はほとんどいないと思うので、ご紹介しよう。

ここに紙の帯がある。テキトーに用意したものだ。半分に折って、折り目をつけてみよう。開くとカモメになって...谷ができている。驚きでもなんでもない。

どうせ折るなら規則正しく折ってみよう。みなさんの左から右に折って、また左から右に折る。開くと左から山、谷、谷ができている。少し閉じると...鍋になる。

というわけで今度は折って折ってまた折ってみよう(3回)。さ、どういうパターンになると思う? たぶん繰り返しになると思わない? 谷、山、谷、山って交互にくるとか、なんか予想がつくジグザグのパターン。ところが開くと...

山、山、谷、谷、山、谷、谷(1:40)

こりゃどういうパターンなんだろうね?

じゃあ、4回折ったらどうなるか予想できる? やってみよう。折って折って折って、また折る。これは開く前に予想するのが一番なんだけど...開いてみると...

山、山、谷、山、山、谷、谷、谷、山、山、谷、谷、山、山(2:08)

ランダムじゃない。でもちょっと考えたぐらいじゃ読めない、難解なパターンだ。

では、少し折り目の直角の通りに閉じてみよう。

すると、なんかこんなパターンになる(2:38)。

ここで本に話を戻して...古本でも新品でもいいので『ジュラシック・パーク』買って開いてごらん。何ページ目かわかんないけど、こんなのが載ってるよね(2:56)。タイトルには「First Iteration」とある。これは帯を4回折ってできるパターンだ。「折る」=「Iteration(反復)」なんだから、本当は「Fourth Iteration(反復4回)」と呼ばなきゃおかしいんだが、まあ、いいや。問題は、こんなところになんでこんなのが載ってるのかってことだ。

ヒントらしきものはページの一番下にある。

「初期のフラクタル曲線の図には、その底流に流れる数学的構造を伺わせる手がかりは殆どない」―イアン・マルコム(Ian Malcolm)

「ジュラシック・パーク」の挿絵に隠れたフラクタルの謎(動画) 1
イアン・マルコム(マルカムとも)というのは作中の数学者(サンタフェ研究所でカオス理論が専門という設定。こないだ紹介したジェフリー・ウェストも元サンタフェ研究所で複雑系が専門だったりする)だが...フラクタルの話をしてる。なんかフラクタルに関連あるってことだね。

この先、どんなフラクタルパターンになってくと思う? 僕は答え見ないとムリ。どうせ紙を永久に折ることはできないんだし、本の先を見てみると...これがもう1回折って広げたところ(5回。5次ドラゴン曲線)。本では「Second Iteration」とある。交差してないのに正方形と長方形ができてる...面白いね(3:57)。

たぶんここでフラクタルを挿絵に使ったのは、システムとカオスの予測不能性がこの本のテーマだって言いたかったからじゃないかな。彼らはジュラシック・パークを作った。そこではいろんな生き物がある種の行動をとる。だが、破滅論者は「人間が予測可能と思っていたものが実はカオスってことだってあり得るだろう、きっと良くないことが起こる」と言う。...というメタファーなのかもね。

さてさて、折って折って折りまくっていくと、これが「Third Iteration」だ(4:29)。

だいぶ進んだけど、まだパターンは容易に読めない。

ページすっ飛ばして、これが「Fourth Iteration」(4:45)。Thirdの後に何回か折ってるんで、Fourthというのはもはや意味をなさないんだが、それはさておき、すごく大きなブロックになってるね。折ってくだけでこんなのができるんだね。

「Fifth Iteration」(4:55)になると、なんかもうブロックがあちこち塊になってる。ちょっとトカゲっぽい...まあ、ジュラシック・パークとか何かの隠喩と言うつもりはないのだけど、なんというか、この形には生き物に近い何かがある気がするよ。

「Sixth Iteration」(5:12)。ここまでくるともう紙で折る限界は超えているのだけど...かなり衝撃なパターンが現れてくる。つまり...

真ん中の形が右にくるくる回っていくパターン。それも45度、90度、135度、180度...と45度ずつ。そして1回まわるごとにルート2ずつ小さくなっている

ただ紙を折ってくだけでこんなものができること自体、想像の限界を超えてるよね。

みなさんもフラクタルの図形は見たことがあると思う。いろんな有名なパターンがあるからね。しかし今回ご紹介したフラクタルはこんなに簡単に作れるのに、こうして『ジュラシック・パーク』で挿絵にも使われてるのに、ほとんど知られていないんだ。

折って折って永久に折り続けていくと、どうなると思う? 

本の巻末の方を見てみると...これが「Seventh Iteration」(5:59)。美しい、無地の、ブロック。

驚くべきことに、これ切り抜いて別の切り抜いたのと重ねるとぴったんこフィットするんだ。ジグゾーパズルみたいに。なんでこんなことが起こるのかはわからないけど黒・青・黄・赤のドラゴン曲線を合体させると...カッコいい台所の床タイルになる。嵌めるのはひと難儀だけど。こんなのできるなんて誰も予想できないっしょ。

ブラディ・ハラン:すげえな。

ブ・イースタウェイ:うん。僕も好き。世界中の人がフラクタルのこと知ってるのにドラゴン曲線を見せると、みんな「見たことない」って言う、そこが好き。こんなに簡単に作れることもね。

(恐竜が吠える)

ブラディ・ハラン:こいつも好きだってさ。

[YouTube]

Jamie Condliffe(原文/satomi)