Surface Proレビュー:早すぎた未来?

2013.02.07 12:00
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今度こそ! と思ってたけど...星3つ。

マイクロソフトのSurfaceといえば、2012年のテクノロジーにおける最注目株でした。その初代マシンとなったSurface RT(以下RT)は、名前も売り方もわかりにくく、かなりがっかりなものでした。

でも僕らは、Surface Pro(以下Pro)には期待してきました。なぜなら、他社の誰もやっていないほど勇敢に、ラップトップとタブレットの融合に挑んでいるからです。

そんなProは、RTよりあらゆる面で改善されているのですが、そこでは新たな問題も見つかっています。RTが「タブレット+α」を目指していたからには、Proは「ラップトップ-α」にはなれません。このハイブリッドデバイスという新しい領域で、Proはそのゴールを達成できているんでしょうか?

Surface Proとは?


ProはWindows 8の精神をもっともよく体現するデバイス(のはず)です。タブレットの顔を持ちながらラップトップの肉体を備え、魂は水晶のようです。他のタブレット・ラップトップのコンバーチブルマシンが、古いラップトップのデザインを引きずっている中、Surfaceは根本的に新しいデザインで立ち上がりました。これは、僕らが使い古されたデザインやインターフェースから卒業できるかもしれないチャンスです。

ProはWindows 8がどの程度使えるのか、テストの場でもあります。Windows 8を擁護する人は、それがまだ適切なハードウェアに搭載されていないから実力が出せていないんだと言っています。そんな今、Pro以上にWindows 8のショーケースとして最適な場があるでしょうか? 


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デザイン


RTと同様、Proのデザインは素晴らしいです。Proは少しRTより厚いんですが、デザインの基本は同じです。台形の角度、しっかりしたキックスタンド、着脱可能なキーボードカバー。RT、Proともに見目麗しく新鮮なデザインで、必要なくてもつい触りたくなります。

一見、Proはタブレットとしては厚く見えますし、MacBook Airみたいな小さめのラップトップより大きく見えます。でも実際は11.6インチのMacBook Airよりは薄く、軽いです。

オプションのタイプカバータッチカバーは、いずれもキーボードとトラックパッドを備えています。タイプカバーは従来型のフルサイズキーボード、タッチカバーはフラットで、部品の動きなしでキーストロークを検知します。これらキーボードは、RTの場合あってもなくてもよかったんですが、ProのフルPCの可能性を活用するには不可欠です。


使ってみてどう?


ProはWindows 8 Pro搭載、つまりRTのMetroアプリも、使い慣れたパソコンのソフトも使えるということです。Ivy Bridgeのi5プロセッサは多くのUltrabookと同じもので、アプリはほぼ一瞬で立ち上がり、RTからは大幅改善です。ラップトップとして使うときは、キーボードカバーを付けてキックスタンドを立て、テーブルなどの平面に置けばOKです。コマーシャルで見たのと同じように使えます。

ただ、Proは完全に普通のラップトップと同じように使えるかというと、そうではありません。たとえばソファとか電車の席に座って、文字通りラップトップ(ひざの上)で使おうとしても、安定しません。寝そべって胸の上に置いても、見やすい角度に落ち着いてくれません。Surfaceは見た目も挙動もキーボードをつけていればラップトップのように見えますが、ラップトップではないんです。ラップトップほど安定せず、置き方も自在ではありません。

Proに言わせれば、「そういうときは、カバーを取ってタブレットモードで使えばいいじゃん?」ってことなんです。それはある意味正しいです。トラックパッドじゃなく、タッチでスクロールすればいいのかもしれません。でも、使うシーンが変わるたびに形態を切り替えなきゃいけないのは不便で、何のためにハイブリッドなマシンを使ってるのかわかりません。


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ProはiPadとかNexus 10よりずっと重いです。ビルドがすごくしっかりしているのでさほど重さは気になりませんが、片手で使うのはちょっと難しいです。ハードウェアのスペックを考えれば仕方ないのかもしれません。

じゃあCore i5は本当にタブレットに必要なのか? と疑問になりますが、少なくともアプリは速くなりました。RTではKindleアプリですら遅かったので、かなりの改善です。

もっと大事なのは解像度が大幅にアップしたスクリーン(207PPI)です。読書やWebサイトの記事閲覧が、他のタブレットと同等に見やすくなりました。また、フルスクリーンアプリがハイブリッドラップトップよりも自然に使えます。

ただ皮肉なことに、スクリーンが良すぎるんです。というのは、10.6インチのスクリーンに対して1080pの解像度があるので、デスクトップ表示が小さすぎになってしまうんです。なのでデフォルトの画面表示が150%に拡大されていて、アイコンとかテキストとか一部のアプリが大きくなるのは良いんですが、多くのサードパーティアプリ(たとえばSteamクライアント)はぼやけてしまいます。Retinaディスプレイ非対応のアプリをRetinaのMacBook Proで使ったときのような感じです。

拡大表示していても、たいていのボタンやアイコンは小さすぎて正確なタッチが難しいです。さらにキーボードカバーのトラックパッドも小さすぎてコントロールしづらいので、ますますストレスがたまります。これらの問題の多くはProにセカンドスクリーンをつなげば解決しますが、それってタブレットとしてどうなんでしょうか?


キーボードカバー


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ProとRTのキーボードカバーには、違いはありません。どっちもまったく同じもので、両方で使うこともできます。ただRTと違って、Proのポテンシャルを発揮するにはキーボードが必須というだけです。

タッチカバー、タイプカバーいずれもちゃんと使えます。タッチカバーだと、押しそこねてもすぐにわからないので「慣れ」が必要です。また、下の方のFunctionキーも、パームレスト部分にかかっているのでちょっと押しにくいです。が、全体的には問題なく使えます。タイプカバーの方ならフルスピードでタイプできますし、タッチカバーでも1~2週間もすれば同じくらいのスピードになると思います。

問題はトラックパッドです。タッチカバーでもタイプカバーでも、動作自体は意外と正確なんですが、とにかく小さすぎるんです。小さいパッドで小さいカーソルを小さいデスクトップ環境で動かすのは、かなり苦痛です。問題は、デスクトップのWindowsの機能をモバイル環境で使っていること、そしてほとんどのアプリがまだタッチに最適化されていないことです。でもそれが現状なんだから、トラックパッドもそれに合わせて十分な面積を確保すべきだったんじゃないかと思います。そして、それはそんなに難しいことじゃなかったと思われます。


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Proでは、トラックパッドの面積を大きくすることより、キーボードの一番上の列にあまり重要じゃないキーを残すことを選んだようです。どんなキーかと言うと、左から3つのキーは、側面にある物理スイッチでも可能なボリュームコントロール用です。次の4つはチャーム機能用ですが、それは右側からスワイプするシンプルなジェスチャーとか、画面右上か右下にカーソルを合わせることでも使えます。その次の4つはHome、End、Pageup、PageDownといった化石機能です。あとはPlay/Pause(これも別になくても...)、Escape、Delete。この列をなくして、数少ない必要なキーだけ他の列に入れ込めれば、トラックパッドをもっと広げられたはずです。

たしかに、Proではマウスも使えるし、スタイラス(いったんカリブレートすれば非常に使いやすいです)もあります。でも、それではSurfaceの発表やコマーシャルでうたわれていた、単体で完結する未来のデバイスとは言えません。


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ゲームで使ってみて


Proはハードウェアの性能が高く、ほとんどのゲームをちゃんと動かせます。Borderlands 2、Diablo 3、The Walking Dead、Portal 2はみんなlow-to-mid設定でちゃんとプレイできました。Skyrimはそれほどでもなかったです。

ただ、ここでもコントロールが問題になります。タッチカバーの場合、打鍵感がないのでなおさらです。Bluetoothキーボードを使うこともできますし、自宅で使う分にはそれで問題ないのですが、外出時には適していません。

タッチでプレイできるゲームの場合、話は別です。Civilization Vはタッチドライバが使えて、ターンベースのタッチ対応ゲームにまさに望むような操作感です。ユニットをドラッグして選択、コマンドをタップといった感じで、PCゲームなのにもともとタブレット用アプリであるかのように動かせます。ここに、マイクロソフトの「One Device」の理想が垣間見える感じです。

でもそんな理想を感じられるのは一瞬です。Civilization Vをタッチで正確に動かそうとすると、Proのデフォルトの拡大表示設定を使いやすいサイズに変更しなきゃいけません。そうでないと、タッチするポイントがゲーム内のボタンと一致しません。その設定変更は簡単じゃなく、アカウントにログイン・ログアウトして、アプリを全部閉じなきゃいけないんです。そしてゲームを終えたら、設定を元に戻すためにログイン・ログアウトするんです。致命的ってほどでもないですが、ムダなストレスだし、そんな対応が必要ってことを理解するまでの試行錯誤も必要です。

ただ、Proでゲームをしたあとに残る印象は、ポテンシャルです。ここにはすごいポテンシャルがあります。昔ながらの動きとメニューベースのアクションが混在するWalking Deadみたいなゲームをプレイすると、これをCivilization Vみたいにしっかり調整されたタッチドライバで動かしたらかなり面白いことになるんじゃないかと思います。CaveやCrusader Kings II、Skyrimといったゲームに関しても同様です。そして、Proではその「かなり面白い」状態にごく近いところまできているように感じます。


プロフェッショナル向けには?


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Proは、画像を扱う職業の人にとっては特別なツールになるかもしれません。もし標準的な画像処理ソフトがProの機能にキャッチアップしてくれば、その可能性はもっと高まります。

Surface Proにはワコムのデジタイザ技術が内蔵されています。つまり、感圧式スタイラスと一緒に使えるんです。Sketchbookのようなプログラムでペンを使って絵を描くと、ワコムのペンタブレット、Cintiqみたいな使用感です。12インチのCintiqは850ドル(日本だと記事翻訳時点で7万2000円弱~)もするし、単体でも使えないので、Proのほうがお得感があります。

写真に関しては、ちょっと厄介なこともあります。LightroomとかPhotoshopみたいなアプリのPC版がフルに使えるのは、サブセットしか使えないiPadとか他のタブレットに比べると大きなメリットです。でもアドビ製品にはWindowsの拡大設定が適用されず、10.6インチの1080pスクリーンでは、アイコンなどがみんなものすごく小さくなってしまいます。解像度を1600 x 900に下げれば使えるし、その状態でも十分きれいですが、理想的とは言えません。でもスタイラスをPhotoshopの修整で使えたりするのは、写真を扱う人にとっては大きな意味があると思われます。

プロフェッショナルユーザーや、動画や音楽をかなりのサイズ持ち歩きたい人にとって注意すべき点がもうひとつあります。Proで実際使えるストレージ容量はスペック表に書かれているものよりずっと小さいということです。64GBモデルだと23GB、128GBモデルでも84GBです。データをどんどん入れっぱなしでは使えません。

ビデオグラファーにも、Proは適していません。転送速度は速いんですが、ストレージの少なさ、コントロールの難しさ、小さなトラックパッドといったことが理由です。

ただし、ハードウェアの性能自体はプロユースに耐えられるものです。SSDの転送速度は非常に速く、全てのテストでMacBook Airを制しました。Premiere Pro CS6でのレンダリングテストでも、プロ仕様のマシンと互角でした。


好きなところ


新しいものを見ると、未来のことを話したくなります。Surface Proはまだ未来とは言えないかもしれませんが、新鮮なアイデアや機能がたくさん詰まっています。プロレベルのスタイラスやすべてがタッチベースであることや、持ち歩きやすさ、新しいタイピング方法。過去に戻ることなく一からマシンを作るとこうなるんだってものが、ここにあります。

具体的には、スクリーンは(サイズの問題さえ設定でなんとかすれば)美しいし、バッテリーライフもUltrabookに比べてかなり長いし(iPadほどじゃないですが)、デザインの美しさも気に入っています。


好きじゃないところ


あちこちいじらなきゃ使えないのは問題です。快適に効率良く使えるようにするために必要な労力はかなりのものです。そのほとんどはデスクトップのスケーリング/サイジングの問題です。とにかくデスクトップが小さすぎて、操作しづらいんです。いろんな設定メニューを開いて、どうすれば使いやすいか試行錯誤しなきゃいけませんし、なんとかベストと思える設定にたどり着いても、それで完ぺきではありません。Windowsには役に立つプラグインもありますが、そうやってあれこれいじらなきゃいけないってこと自体、どうなんでしょうか。

さらに一番問題だと思われるのは、ラップトップとタブレットのハイブリッドをProに求めている人が、完全にラップトップと同じようには使えないことです。キーボードカバーはフラットな場所でしか使えません。それに、タブレットにしては大きいです。トラックパッドはどんな環境でも非常に使いづらいです。

これらすべてがProのせいではありません。でも、我々にはひざの上にラップトップを置いてメールを打つとかソファに寝そべってTwitterを更新するといったすりこまれた習慣があるんです。そこで必要な安定したキーボードなどを不要にする技術、たとえば音声入力やKinect的なジェスチャー、アイトラッキングといったものが、まだSurfaceの欠点を補うには至ってないってことです。ある意味では早すぎるマシンなんです。我々のほとんどは、まだそれを使う準備ができていないんです。


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テストメモ



  • 通常のラップトップ的な使い方でのバッテリーライフは、Ultrabookより良かったものの、テストではかなりばらつきがありました。たとえば、Chromeでタブを20個開いて10時間分のYouTube動画を再生していたときは、動画の途中の2時間24分しか持ちませんでした。でも他のテストではもっと長持ちして、たとえば複数のプログラムとビデオゲームを同時に動かしたときは3時間40分でした。ただ、Proをスタンバイモードにして放置した場合、ラップトップ的機能をいくつもオフにしておかない限り、バッテリーをそれなりに消費します。なので、タブレットみたいに何日も放置した後に電源をオンにしても、バッテリーが残っていることは期待できません。

  • スタイラスを最初に使ったときは、スクリーン中央では正確に動作しましたが、スクリーン上端ではやたらとワープしました。でもペンをカリブレートしたらその問題は大幅に改善して、それ以降は快適でした。

  • スタイラスと充電器の接続には、同じマグネット式のコネクタを使います。どちらもあまり安定せず、充電器はすぐ外れるし、ペンはカバンの中で落ちてしまいます。また、充電中にはスタイラスをどこかに置いておく必要があります。基本的に、スタイラスは多分失くしてしまいそうです。

  • Proはいつもちょっと熱いです。ずーっと熱いんです。ハードウェアのスペックからすれば当然かもしれませんが、MacBook AirとかLenovo Yogaと同じようなタスクをしていても、必ず他のマシンより熱いんです。カバーを外しておけば多少マシですが、それでも手で持って使うデバイスとしては問題です。

  • タブレットとかラップトップのスピーカーが注目されること自体あまりありませんが、Proの音は問題と言っていいくらい小さいです。ボリューム最大にして、スクリーンから15cmくらいのところで聞いていても、あるストリーム動画では聞き取れない部分がありました。小さな問題かもしれませんが、スクリーンが美しくて動画に適しているので、ちょっともったいないです。

  • Proを使ってみて、Windows 8にはタッチベースのExplorerがないことに気づきました。インターフェースとしてはSkyDriveアプリにあるのに、です。タッチインターフェースでファイルを開いていくのって良いと思うんですが...。

  • iPadのスマートカバーでは、スクリーンにカバーの筋が付きます。Surfaceのタッチカバーの場合、スクリーンにはキーボードの四角いキー全部の跡が付いてきます。

  • フルのWindows 8 Proが搭載されたタブレットとしての隠れたメリットは、HuluとかSpotifyといった「Webのみ、モバイルは有料」のサービスを、タブレットでも無料で使えることです。


買うべき?


上に書いたような一部の職業の人なら、考えてみてもいいかもしれません。また、お金がたくさんあってセカンダリのコンピューターを買ってもいいよという人もそうです。それもある意味、コンピューティングの未来ですね。

ただ、そうじゃない人にとっては、Surface Proは考慮するに値しないと思います。

Surface Proは、突き詰めると多くの人がまだ問いかけてもいない問いへの答えです。必要ないってことではなくて、パーティにいつも30分早く到着してしまう女の子みたいなもの、なんですが、万人向けじゃないってことです。多くの人にとっては、強力だけど厚いタブレットは必要ないし、ソファとかベッドでゴロゴロしながらメールとかTwitter使うのにも適していない、形も価格もラップトップ的なマシンは、あまり興味をそそらないことでしょう。

テストマシンのスペック:
ディスプレイ:10.6インチ ClearType 1920 x 1080(207PPI)
プロセッサ:Intel Core i5 Ivy Bridge
グラフィックス:Intel HD 4000
メモリ:4GB
ストレージ:128GB SSD
ポート:フルサイズUSB 3.0、microSDXCカードスロット、ヘッドフォンジャック、Mini Displayポート、カバーポート
カメラ:720p HD LifeCam、前面・背面に各1
サイズ:10.81 x 6.81 x 0.53インチ(27.5 x 17.3 x 1.3cm)
重量:2ポンド(約907g)
価格:1000ドル(約9万3600円)、タッチカバー130ドル(約1万2200円)
GizRank:3.0


Kyle Wagner(原文/miho)

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