HIV母子感染の赤ちゃん、偶然治る(動画あり)

世界は今この話題でもちきり!

この米アトランタのジャクソン・ミシシッピ医療センターでヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性の母体から母子感染で産まれた赤ちゃんが、出産直後から投薬を集中的に行っていたところ母親が行方をくらまし、再び見つかった時には投薬やめて1年経ってるのになんとHIVが抜けてることがわかり、「治ってるではないか!!」と医学界にパニックが走ってます。

「そんな馬鹿な」と思って、ボストンとバルティモアから専門医を呼んでダブルチェックしてもらったところ、確かに治ってる...。産後別々に行った5回のテストではHIV陽性反応が出ていたのですが、2歳半の今はウイルス再発の兆候もなくて投薬も不要と判断されたのです。すごいですねー。

この赤ちゃんには産後たった30時間という早い段階から抗レトロウイルス薬(antiretroviral drugs)を投与しました。これ自体あんまり一般的ではない処方です。普通は6週間待って本当にHIV陽性であることを確かめてから投与するので。

結果論になりますが、たぶんこのアグレッシブな投薬でウイルスが免疫システムを不能にする前段階で不能になったので、こういうウイルス壊滅のような状態になったのではあるまいか、と専門家の間では考えられています。

ニューヨーク・タイムズはこう伝えています。

他の乳児でも効果があることが実証されれば、世界中で今行われている母子感染の新生児への対処が変わることは必至だろう。国連の推計によれば、2011年(集計した最新データ)には新生児33万人が新たに感染し、世界でHIVに感染している子どもの数は300万人にのぼる。

報告が事実と確認されれば、ミシシッピで産まれたこの赤ちゃんが十分な資料の裏付けを得ながら治療が確認された世界で2番目の事例となり、ほんの数年前まで文字通り不可能と思われていた治療の実現に向けた研究にも拍車がかかりそうだ。

まあ、「本当に元々HIVがあった」ことを示す裏付けがまだ不十分という声もありますが、ジョンズ・ホプキンス医大小児科センター助教授で論文主筆者のデボラ・パーソード(Dr. Deborah Persaud)医学博士ならびに外部の専門家たちは、元々感染していたことは事実に間違いないと話しています。発表の席でパーソード博士は、

「今回のケースが再現できれば、感染は治せるという原理証明となります」

と力強く語りました。

他のHIV陽性の乳児に実施して結果をみる研究も既に計画されています。幅広い事例で確認・分析・再現されたら、子ども、ひいては成人のHIV&AIDS撲滅にも弾みになりますね。今は子どもひとりの「完治」というより「機能的治癒」という限定的なものですが、正しい方向への一歩であることは間違いなさそうです。今後の成果に注目してまいりましょう!

The New York Times

satomi(Eric Limer/米版