Bitcoinをざくざく掘り出す、モンスター・マシンたち

Bitcoinをざくざく掘り出す、モンスター・マシンたち 1

うちのパソコンじゃ、絶対かなわないような。

Bitcoinが今注目を集めています。その価値は下がって、急上昇して、また下がっています。新たにBitcoinの世界に入ってくる人も多く、コインを少し買ってそれで買えるものを物色したり、リアル通貨と交換して相場変動でひともうけしようとしたりしています。

でもそんなBitcoinバブルの中、粛々とBitcoinをマイニングし続けているスペシャリストたちがいます。暗号解読をより速く、より効率良くすることで、少しでも多くの「お金」を掘り出そうとしています。

Bitcoinは当初、どんなコンピューターでもヒマつぶしに参加できる程度のものでした。でも今や、Bitcoinで真剣に稼ごうとしている人は専用のマイニングマシンを使っています。普通の人が今まで使ってきたコンピューター全部足してもかなわないくらい強力なマシンがそこでは使われています。

それって、どんなものでしょうか?

古いコンピューターでお小遣い稼ぎ、の時代

始まりはシンプルでした。Bitcoinが2009年に誕生してすぐ、今みたいに注目される前は、マイニングはそのへんにある古いコンピューターのありきたりなCPUでも可能でした。Bitcoinは、コンピューターパワーを使って複雑な暗号方程式を解読することで作り出されます。もし運良く(または本当にコンピューターの性能が十分あって)正しい答えを出せれば、コインが作り出されるんです。なのでそれなりの時間をかければ、CPUがある程度のマイニングを完了させてくれたんです。Bitcoin黎明期には、寮の部屋とか図書館とかオフィスとかで無料のパワーを使えて、交換レートがそれなりに高ければ(当時は1Bitcoinが1~2ドルで十分でした)、ちょっとしたお小遣いにできてしまえたのでした。

でも今、Bitcoin全体では1日15万ドル(約1470万円)相当の電力を消費する巨大プラットフォームになっています。でも、この状況はなるべくしてなったものなんです。特に、Bitcoinが実際ある程度の価値を持つようになったことが大きいです。

電力消費が増えているのは、Bitcoinの注目度が高まったことの副作用、ではありません。それはBitcoinのあり方そのものに原因があるんです。Bitcoin生成のために解読が必要とされる暗号は最初から簡単ではありませんが、マイニングする人たちがコンピューターパワーを注ぎ込めば注ぎ込むほどさらに難しくなります。Bitcoinはその難易度を自動制御していて、10分ごとに1ブロックのコインしか作れないようになっています。何があっても。なので、より多くのコインを手に入れるには、単にコンピューターパワーを上げるだけではなく、マイニング参加者全体のパワーに対しての割合を高めなきゃいけないんです。

平均的なCPUではクロックサイクルあたり4つの命令を動かすことができ、1秒あたりでは数千から数百万のハッシュが可能です。これでも、少し前ならちょっとしたマイニングには十分でした。でもマイニング参加者たちは、GPUだって使えることに気づきました。そうするとサイクルあたり3200の命令、つまり800倍のスピードでの処理が可能です。Bitcoin Wikiではこの違いを次のように表現しています。

これをビジュアルに言ってみると、CPUはどんなタスクでも迅速にこなすすごくスマートな少人数グループみたいなものだ。一方GPUは、一人ひとりはそれほど迅速でもスマートでもない比較的劣った人たちだが、継続的なタスクをこなすように訓練することが可能で、集団としてみると人数が多いためにより生産性が高いグループだ。

そしてマイニングはまさに継続的なタスクで、スマートなグループよりも肉体派のGPUに合っていました。その後ほどなくして、Bitcoinの規制による難易度上昇とあいまって、GPUマイニングの巨大なパワーは単に有利というレベルではなく、圧倒的な優位性を持つようになりました。

でも、みんながGPUを使って同じような馬力で競い合うようになったら、どうするか。量で勝負です。

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複数GPUを搭載したマイニング・プラットフォーム。賃貸倉庫に鎮座していて、冷却のために3米国冷凍トン(10.6キロワット)のエアコンが必要。2011年後半に活躍した。

GPUはひとつよりふたつ、ふたつより2ダースの方がいいです。でもコンピューターの規模を拡大しようとすると、別の懸念が浮かび上がってきました。スペースの確保、冷却手段、そして電力コストの問題です。この懸念により、FPGA(Field-Programmable Gate Arrays)というツールが注目されるようになりました。

CPUやGPUもマイニング用に最適化されてはいましたが、FPGAによってBitcoinマイニングは集積回路を最適化するに至りました。FPGAはチップであり、使われる現場でリデザインすることができるんです。これはもうコンシューマーの技術ではなく、普通はスーパーコンピューターとかデータセンター、MRIやPETスキャナーといったところで使われるものです。でも、そこまで特化した機能があるからこそ、チップを正しく動作させることさえできればBitcoinのマイニングにも役立ったのです。

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8コアのFPGAプラットフォーム。価格は2013年1月の発売時点で2000ドル(約19万6000円)。でもこれはもう出遅れていて、次の月にもっと安価なAvalon ASICがこの60倍のパワーで登場した。

GPUからFPGAへの飛躍をしても、CPUからGPUに変わったときのようにパワーが数百倍になったわけじゃありませんでした。でもパワーもそこそこ増え、しかも速い計算速度を出すのに必要な電力は下がったんです。でもこの後Bitcoinマイニング専用マシンが登場して、それがFPGAに次ぐ、おそらく最後の進化のポイントになりました。

メード・トゥ・オーダーの未来

ASIC(Application-Specific Integrated circuit)の登場は2012年2月で、そこにはパワーの新たなパラダイムがありました。FPGAシステムと違い、ASICは固いシリコンにセットされていて、個々に形を変えられるものではありませんでした。でもその堅牢性のために、ASICにはFPGAの100倍のスピードがあり、消費電力もさらに少ないものでした。これほどBitcoinに適したシステムはありません。これによってBitcoinのマイニング・プラットフォームとは、DIYするものからメード・トゥ・オーダーで注文するものになったのです。

ASICデバイスはBitcoinマイニングの最後の大きなイノベーションになるでしょう。チップセットまで特化したら、これ以上パワーを100倍単位で増強する余地はありません。そしてこれによって、ゴールドラッシュの終わりが始まったように思われます。ASICデバイスはマイニング市場に広がりつつありますが、優位性は電力効率にあって、Bitcoinのマイニング量にはありません。つかみどり放題の時期はもう終わりつつあって、あとはいかに効率よく動くかということなんです。

強力なフラッグシップ

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Avalon ASIC、それはすべてBitcoinマイニングのためだけにデザインされ、作られたデバイスです。それ以外のことはできませんが、Bitcoinマイニングに関して並ぶものはありません。このグレーの筐体の中には、1秒あたり65ギガハッシュをこなす特殊なチップの軍隊が収まっています。価格は6800ドル(約66万5000円)ですが、ちゃんと使えればもっと価値があるはずです。

現在、Avalon ASICは実際販売される唯一のシステムですが、きわめて希少で、シリアルナンバーは200番代までしか存在しません。それでも、この少数のマシンがマイニングコミュニティのパワー全体の中で大きな割合を占めています。逆に言えば、このマシンたちが、他のマシンの取り分をほとんど壊滅させてしまいました。

この革命を起こしたのはAvalonですが、他社も負けてはいません。ASICMinerButterfly LabsbASICといった会社でも同様のシステムを出していて、中にはより大きなパワーをうたったものもあります。でも実際販売できているものがないんです。それができる頃には(詐欺だと言う人もいます)、数千ドルの価格に見合う価値があるかどうかわかりません。仮にこれらのマシンがAvalon ASICをしのぐパワーを出せたとしても、今実際に存在しているものの方が価値があります。

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Butterfly LabsのBitForce Mini Rig SCは毎秒1500GHzのマシンで、Avalon ASICの30倍パワフルだとされる。ただし発売日は延期が続き、時間とともにパワーの優位性は薄れていく。しかも価格も未発表で、かなり高いものになると思われる。

Bitcoinはアーリー・アダプター、特にリスクを取る人たちをつねに優遇してきました。パワーの増強に合わせてマイニングの難易度も上がっていくので、どんな優位性があっても一時的なものです。でも、難易度が急上昇することはありません。14日ごとに上がっていくので、新しいマシンによる優位性も活用できます。最初のAvalon ASICは、9日間のマイニングでその元を取ることができました。でも2番手、3番手になると、価格分のコインを手に入れるにはそれ以上かかると見られます。

今、Bitcoinの相場は乱高下しています。Bitcoinの相場次第で、こうしたマシンへの投資でもうかるか、損をするかは変わってきます。それでも、Bitcoinが完全に崩壊はしないと信じる限り、マイニングは続くことるでしょう。

いつか、今あるBitcoinマイニング・プラットフォームの大部分が壊滅したりして、古い手法が再評価されることもあるのかもしれません。でも今のところ、Bitcoinマイニングの未来は、Bitcoinに特化した数千ドルの箱にあります。

Eric Limer(原文/miho)