スタンフォード大がDNAでバイオトランジスタ生成、細胞内で動くバイオコンピュータ実現に王手(動画あり)

2013.04.02 23:00
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生体の有機分子から生成し、生体の生きた細胞内で動くバイオ・コンピュータ実現まであと一歩! 

スタンフォード大学が、生きた細胞のDNA内で酵素「RNAポリメラーゼ」の動きを制御するバイオ・トランジスタの実現に成功しました。

トランジスタは今の電子機器の基礎部ですが、シリコン製トランジスタがチップ内で電気インパルス(刺激)が流れる方向を制御するのに対し、こちらは電流じゃなくRNAの流れを制御するシステムですね。研究班では「トランスクリプター(transcriptors)」と命名しました。

生体トランジスタの目指すところはずばり、宿主の細胞に埋め込んで生命体の機能を監視し、ある症状が観測されたらしかるべき措置が起動する超ミクロなバイオ・コンピュータ。

...といきなり言われてもうまくイメージできないと思うので、研究を率いているスタンフォード大学ドリュー・エンディー(Drew Endy)助教授がこの辺の研究のことを簡単な言葉で説明した1年前のスタンフォード大公式動画からご覧くださいませ。



[動画訳]

(0:18-)今研究室で取り組んでいるのは、遺伝子をエンコードしてつくるデータストレージ

例えば酵素、これはDNA配列を識別できるので、これを使ってDNAを前後にパタパタひっくり返してやるのね。

ひと連なりのDNAには方向性があるので、そのうちひとつDNAをパタパタひっくり返してやると、これがデータストレージのレジスタになるわけ。左向きは「1」。パタッとひっくり返して右向きは「0」。これが電気工学でいう光スイッチ。みなさんが作るものの中でもこれ以上ヒマなものはないってぐらいヒマな創造物。

これをうちではもうかれこれ3年間やってる。もう600通り試した。異なるDNAの組み合わせで、酵素を流すと、別々のDNAがパタッとひっくり返る、っていうパターンを600通り(ため息)。で、ついに「これは使える!」っていうものに辿り着いた。

細胞内に埋め込むんだから、いきなり4GBのデータストーレッジなんて、とてもムリ、作ろうとも思わない。僕が作ろうとしてるのは8ビット。8ビットあれば256まで数えられる。

シリコンのコンピュータと競り合う気はない。僕が実現したいのは、シリコンのコンピュータが使えない場所、体内で使えるコンピュータさ。卵や細胞や組織の再生回数を数えたり、そういうの。

僕らがDNAに埋め込もうとしているシステムは、世界最先端の最も複雑な遺伝子操作より10倍から100倍複雑だ。だからバイオエンジニアリングはプロセス、ツール(より速く、より信頼性があって、より安いもの)にものすごく慎重さが要求されるんだね。
 


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こういう地道な研究の積み重ねの上にあるのが、一番上の動画のトランスクリプタというわけ。ご覧のようにコントロールシグナルで真ん中にある「T」(トランスクリプタ・ターミネータ)をパタパタひっくり返すと「1」と「2」に流れを整理できて、このコンビネーションでロジックが仕込めるんです。

生きた生体に埋め込める超小型・超高速の装置が実現できれば、例えば...

・環境の変化を検知できる生きた細胞ベースの生分解性デバイス
・体内で薬を患部に運ぶインテリジェントな超小型機
・人体の細胞分裂の回数を追跡し、がんになったら破壊できる生物学的モニター

など、新たな技術革新の時代に扉がわっと開くんでございますよ! エンディー助教授は、

「バイオ・コンピュータは、生体の研究・リプログラム、環境のモニタリング、細胞の治療改善に役立てることができる」

「これからのコンピュータのニーズは、ユビキタスなシリコンのコンピュータで人や物をいかに繋ぐか、という命題だけではない。新しい場所、新しいマテリアルで活用できるコンピュータの新しいモードを考え、その新しいモードに命を吹き込む方法さえ見つけられたら、未来はもっと豊かになる」

と話してます。うわ、テンションあがる! 成果は科学誌『Science』に掲載中


Stanford, Science via The Independent

satomi(Ashley Feinberg/米版

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