HTC Oneレビュー:美女にして野獣!

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今あるAndroidでベスト、って言っちゃいます。

去年、HTCでは3つの優秀なスマートフォンを作りました。HTC One XHTC One X+、そしてDroid DNAです。でも今年、HTCはひとつの端末にフォーカスしています。それが、HTC Oneです。

ひとつのデバイスに集中するのは勇気ある戦略ですが、それがサムスンのGalaxy S IIIを成功させたカギでもありました。もし2013年、Galaxy S IIIに続く端末があるとすれば、HTC Oneになると思われます。

以下、そんなHTC Oneの米Gizmodoによる詳細レビューをお伝えします。テストはインターナショナル版で主に行われ、その後米国版でAT&Tの4G/LTEネットワークに接続した状態での性能も確認できています。

デザイン

初めてHTC Oneを見ると、「うわー」という感じがあります。さらに実際持ってみて、使ってみると、驚きが感動に変わっていきます。レスペクトが生まれてきます。ハードウェアデザインという意味では、このスマートフォンに並ぶものはありません。アルミニウムのかたまりから、ひとつの端末ごとに200分もかけて削り出されているんです。非常に軽く(約143g)、薄く(約9.1㎜)、なのにすごくしっかりした感じがします。カーブした背面は手のひらになじみ、エッジにはちょっとだけ角度がついていて持ちやすくなっています。

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前面にはSuper LCD 3のスクリーンがゴリラガラス2の下にはまっています。1080p(1920 x 1080)4.7インチに収められていて、ピクセル密度はスマートフォンとしては前代未聞の468PPIです。ほとんどおかしいくらいのピクセルの細かさですが、これだけあればピクセルが肉眼に見えないと言い切れます。

画面横のベゼルは非常に細いです。画面の上と下にはスピーカーがあり、ステレオサウンド(後で詳しく書きます)が聞けます。上部には画角88度の広角フロントカメラがあり、ビデオチャットするときも画面全体が顔という状態にならなくて済みます。ボタンはない方がスマートな気がしますが、ホームとバックのふたつのボタンが付いています。下部のmicro USBポートはHDMIポートとしても使えて(ただし専用ケーブルが必要)、電話をTVに直接つなげられます。ただ同じことはMiracastを使えばワイヤレスでも可能です。TVといえば、上部の電源ボタンはIRブラスター(赤外線発信器)にもなり、つまり電話をリモコンとしても使うことができます。すべてのボタンは本体から出っ張らず、ほとんど過剰なほどフラットなデザインになっています。

良いのは外側だけじゃありません。内部には今どきのハイエンド端末に期待される2GBのRAMに、32GBまたは64GBのストレージ(ただし拡張できず)、NFCLTE(米国版の場合)、Bluetoothなどなどが搭載されています。特に目玉といえるのはクアルコムの新しいSnapdragon 600です。1.7GHzのクアッドコアチップで、これのおかげでHTC Oneは真に野獣といえるものになっています。

さらにHTC独自のImageChip 24メガピクセルの背面カメラに付いています。そう、タイプミスじゃなく、4メガピクセルです。HTCでは、UltraPixelで画像処理システムを完全に再構築したとしています。UltraPixelとは基本的には各ピクセルが大きいということで、それによってより多くの光を取り込むことができます。F値は2.0で、光学手ブレ防止機能もあり、いずれもスマートフォンとしてはぜいたくな仕様です。

バッテリー容量は2300mAhでそれなりに十分ですが、やっぱりRAZR MAXX HDの3300mAhを目指してほしかったです。ただ、バッテリー容量を増やすと全体のサイズが大きくなるので、仕方ない気もします。

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使ってみてどう?

発売時点のHTC OneにはAndroid 4.1(Jelly Bean)とHTC独自スキンのSense 5.0が搭載されています。Sense 5.0は前世代からかなり大きくリデザインされていて、新機能もたくさんあります。さらにBlinkFeedという機能で、お気に入りのニュースソースやソーシャルメディアを元により視覚に訴えるタイルを作るとされています。Windows Phoneのタイルみたいな感じです。デスクトップのひとつのパネルを占めていて、それがデフォルトのホームパネルなんですが、正直そうじゃない方がいい感じです。

Sense 5.0で変わった点は他に、ロックスクリーンのカスタマイズがより柔軟にできること、HTCの伝統にもなっていた時計・天気ウィジェットのオーバーホールアプリドロワーのレイアウト刷新などがあります。見た目にはよりクリーンでミニマルになり、従来のSenseより魅力あるものになっています。ただ、ちょっと思い通りに動かないことがあります。

それから、音。最初にこの端末の音を聞くと、びっくりします。HTCではそのBoomSound(ビルトインアンプ付きの前面デュアルステレオスピーカー)は「歪みが少なくディテールに富んだ、より大きな音」を出すとしています。単なる売り文句だと思っていましたが、そうじゃなかったようです。これまで聞いたスマートフォンの音の中で一番良い音です。スマートフォンの外部スピーカーで音楽を聞いても音そのものは楽しめないのが普通ですが、HTC Oneではボリュームを上げてもすごく良い音(そのサイズのスピーカーとしては、ということですが)です。ふたつのチャネルを使う音楽をちゃんと聞けて、モノラルスピーカーでは得られない3次元感があります。ゲームのときもすごく良いです。

カメラアプリも本当に良いんですが、サムスンのGalaxy S4みたいにモード間の移動が簡単じゃありません。でもHTC Oneでは画像の細かいコントロールが可能で、シャッターの反応もすごく速いです。撮ったものを見るのは、改善されたGalleryアプリのおかげでHTC Oneの方が楽しいです。そこでは自動的に編集したスライドショーが1日ごとに見られます。基本的にフォルダーを開く前に小さなプレビューも見られて、いちいちクリックする手間が省けます。

動画に関しては、HDR(ハイダイナミックレンジ)の1080p動画が撮れるだけじゃなく、HDRオーディオも録れます。HTCでは、ふたつのマイクを異なるレンジ(高い方と低い方)に合わせることで、歪みをキャンセルできるとしています。たしかに、録音した音はスマートフォンにしてはすごく良い音でした。

電波受信感度については、インターナショナル版、米国版ともに全体的に良かったです。バッテリーライフに関して言うと、普通の使い方の日は、夜10時の時点で15%までは減っていない状態でした。一番たくさん使った日(地図アプリ、Webブラウジング、ゲーム少々、定常的なメール、電話2~3本、ホットスポット利用、その間アンテナが全部立ったり立たなかったり)でも、心配な状態になったのは午後6時くらいでした。これはRAZR MAXX HDほどじゃないとはいえ、ハイエンドスマートフォンとしてはほとんどの他機種より良いです。米国版でLTEに接続したときも、バッテリー消費はほとんど変わりませんでした。

米国版でAT&Tの4G/LTEはネットワークにつなげたときのスピードはしっかりしていました。アンテナは3本立った状態で、ダウンロードは7.71Mbps、アップロードは2.2Mbpsでした。これは速いですが、すごい! というほどじゃないです。

米国版でLTEを使うとバッテリーの消耗が激しくなるのではと心配していましたが、その点はインターナショナル版とほとんど変わりありませんでした。ある程度抑え気味に使えば、1回の充電で15~16時間は心配しなくて大丈夫です。もっと地図とかゲームとかダウンロードとかをする場合、多分仕事の時間帯くらいまでは大丈夫ですが、アフターファイブあたりには再充電が必要になりそうです。ざっくり言って、ストリーミング音楽を1時間使うと、バッテリーはだいたい10%減ります。

他のスマートフォンと同様、HTC OneのAT&TバージョンにはAT&Tの不要なプリインストールアプリがもれなく付いてきましたが、ほとんどさっくり消して問題ありません。

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好きなところ

画面のピクセル数が多いと一般に動作は遅くなるので、その点はあまり期待していませんでした。でも、その予想は良い意味で裏切られました。HTC Oneはものすごく速くて、完全に電源オフの状態からたちあがるまでもたった8秒しかかかりません。立ち上げてからの動きもラグなしで、アプリの起動も今まで見たことがないくらい一瞬です。速いというだけで使うのが楽しくなります。そしてそれは僕らの感覚だけじゃなく、他のベンチマークテストでも良い結果が出ています。

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もうひとつのサプライズは、UltraPixelがそのハイプにふさわしい画質を見せてくれたことでした。他のスマートフォンのカメラと比べても優れているか同等で(詳細こちら)、特に暗いところ(バーとか)での撮影で力を発揮しています。それから色再現の正確さも僕がスマートフォンで見た中では随一です。もしこのカメラで撮った写真を8 x 10インチ(B5版くらい)に大きくプリントするとしたら画素数が足りないかもしれませんが、スマートフォンのカメラでそれをするケースは少ないと思われます。Webにアップするのなら、この画素数の少なさでも問題になりません。でも暗いところでとった写真の良し悪しはWebでもわかります。HTC Oneのカメラで撮ったサンプル画像flickrのギャラリーにあるので、見てみてください。

それからデザインも好きです。ディテールへのこだわりがすごいです。全体はすらりとしてポケットに入れてもかさばらないのに、がっしりしていて、それでいて美しいです。それからディスプレイもGalaxy S4より良いと思いました。比べると若干ながらよりシャープで明るく、それからもっとはっきりしてるのは、色再現の正確さです。もうひとつ、サウンドシステムも他に並ぶもののない性能です。

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好きじゃないところ

HTC Oneで撮れる静止画はすごく気に入ったんですが、動画の方はかなり様子が違います。あまりシャープじゃなくて、ディテールも消えてしまってます。さらに何かもやっとしたエフェクトみたいのがかかってて、これはローリングシャッター現象か、または多分こっちの方がありそうですが、光学手ブレ補正が正しく機能してないんじゃないかと思われます。影があるとすごく目障りに写って、ディテールをほとんどつぶしてしまいます。

HDR撮影のときはさらにダメでした。コントラストが強すぎる問題は多少改善されるんですが、シャープじゃなくなります。それから、パンしたりして対象が明るいところから暗いところに移動したりすると、その調整が急激に、あからさまに入ります。720pの60fpsのモードが最悪で、まっすぐな線すらぐにゃぐにゃになり、画面はノイズだらけ、使いものになりません。768 x 432のスーパースローモードも同じくらいダメです。これは、発売までになんとか改善されることを一番強く望む点です。HDR動画サンプルflickrに載せています。

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HTC Oneのハードウェアは素晴らしいんですが、その分ソフトウェア面ではがっかりする点も多くなっています。まず、Androidのバージョンが4.1です。これが発売される頃(おそらく4月中)には、ほとんど1年前のOSです。フラッグシップ機なら、去年11月リリースのAndroid 4.2を搭載してほしかったです。

それからSense 5.0の問題もあります。ハードウェアの完成度に対して、こちらは急いで作った感があり、未完成でパブリックベータみたいにすら思えます。BlinkFeedに関しては、せっかくWindows PhoneのMetroスタイルのタイルを借りてきてるのに、なんでもっと便利な要素をコピーしないのかな、と思います。受信メッセージとか、特定の連絡先用のパーマネントタイルの設定みたいな要素です。見た目には良いんですが、基本的に目障りだし便利機能とは言えません。ウィジェットとしてはアリかもしれませんが、デフォルトのホームスクリーンとして使うのはちょっと厳しいです。

また、赤外線発信機能とあわせて使うTVアプリは、スマートフォンとかタブレットの中でも便利な機能のはずですが、これまた未完成な感じがします。TV番組表はサムスンが使っているPeelみたいなアプリに比べると、レイアウトとか使い勝手という意味でかなり見劣りします。それから、Rokuみたいないろんなデバイスに対しても使えるべきだし、ボタンのレイアウトももっと柔軟にしてほしいです。

Senseキーボードもいまいちです。もう、まだこんな状態なの...と思っちゃうくらいです。句読点の位置が変だし、サジェストされた単語を選択してもそのあとに自動的にスペースが入らないなど(これは日本語では問題にならなそうですが)、これまでにないくらい手間のかかるキーボードです。

ただ救いなのは、ソフトウェア面はAndroid Marketにあるものと取り替えが可能ってことです。キーボードはSwiftkeyみたいなものにできるし、BlinkFeedとかSenseに関しても、Nova Launcherみたいなサードパーティのランチャーをインストールすれば使わなくて済みます。なのでこうしたソフトウェアのせいで買うのを断念するほどじゃないんですが、高価なハイエンド機なのに、買ってからアプリを探したりインストールしたりの手間が必要なのはどうなのかっていうモヤモヤはあります。

ハードウェアにも残念な点はあります。micro SDカードスロットがなく、ストレージが拡張できないんです。もちろん、小さいサイズでも32GBというのはかなりのスペースですが、HD動画とか大きいゲームとかを入れるようになると、ちょっと手狭に感じると思います。それから、バッテリーの2300mAhも残念です。RAZR MAXX HDだったらかなりの苦行に耐えても翌朝まで電池切れということはほぼありえません。それが安心感ってもので、おそらく端末メーカーはこの重要性がまだわかってないんだろうなって思います。数十PPIくらい落としてもいいから、その分バッテリー容量を増やしてほしいです。

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買うべき?

インターナショナル版と米国版両方試したうえで、答えはイエスです。HTC Oneのハードウェアは、Galaxy S4を含めたうえで、久々にワクワクする端末です。現時点では、手に入る中でベストなAndroidスマートフォンだと言えます。

HTC Oneスペック

OS:Android 4.1 (Sense UI)

CPU:1.7GHz クアッドコアSnapdragon 600

スクリーン:4.7インチ 1920 x 1080 Super LCD 3(468PPI)

RAM:2GB

ストレージ:32GBまたは64GB

カメラ:背面4メガピクセル(UltraPixel)・前面2.1メガピクセル

バッテリー:2300mAh リチウムイオン

価格:32GBモデルが200ドル(約1万9900円)、64GBモデルが300ドル(約2万9900円)、2年契約条件

Brent Rose、Mario Aguilar(原文/miho)