最後はFLIRで透視...ボストン爆破容疑者逮捕で使われた道具たち(動画あり)

いくら物陰に隠れてもこんな風に空から見えてしまうんですね...

土曜(米時間)公開になった赤外線カメラが捉えた逮捕前の映像です(追:より詳しい映像が公開になりました、そちらでどうぞ)。

ボストン・マラソン爆破事件は4日後、容疑者2人のうち兄は銃撃戦で死亡し、弟は逃走先の民家のボートで身柄確保され、一応の結末を迎えました。動機など詳しい取り調べはこれからですが外出禁止令も解かれてボストンの街は徐々に落ち着きを取り戻しています。

犯人特定では両脚を失った被害者ジェフ・バウマン(Jeff Bauman)さんが病院で意識を回復後すぐ紙に走り書きした「Bag, saw the guy, looked right at me」という言葉から「爆発直前、自分の足元にバッグを置いていった男と目が合った」という証言が得られ、それも決め手となりました。

市民からの協力と並んで威力を発揮したのがテクノロジーです。スピード逮捕で威力を発揮した技術をまとめてみましょう。

スマートフォン

爆発が起こったその時、デヴィッド・グリーン(David Green)さんは思わずスマフォを取り出して現場・煙・混乱の様子をカメラに収め、それから救助に当たりました。災害、風景、食事...なんでも目の前のものを「見る」のと同じ感覚で撮るいつもの条件反射で撮っただけなんですが、その中に19歳のジョハー・ツァルナエフ(Dzhokhar Tsarnaev、ジョハルとも)容疑者を一番克明に捉えた写真があったのです。

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ご覧のようにみんなが右往左往する爆破現場からひとり淡々と歩いて去ってゆく白い野球帽のツァルナエフ弟。これだけではなんとも言えませんが、監視カメラが捉えた爆発前の映像(下)ではバッグ(爆弾のバッグと特徴が一致)を持っていたのに手ぶらです。

監視カメラ

捜査でFBIは現場のビジュアルを片っ端から集めて事件の流れを整理し、容疑者を洗い出しました。何百・何千と寄せられる写真・映像で特に警察の目に止まったのが、第2爆発現場真向かいの百貨店「ロード&テイラー」の監視カメラの映像です。そこにはツァルナエフ弟が第2爆発現場にバッグを置いて歩き去るシーンが映っていたそうなんですね。これでFBIも自信をもって写真を発表し公開捜査に踏み切ることができました。ビッグブラザーだと思うと嫌だけど、こういう時は強いですね、逃げ場ない...。

爆発物処理用ロボット

 

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爆発直後みんなが心配したのは第3、第4の爆発です。これは地元の爆発物処理班に海軍爆発物処理隊(EOD)が合流し確認を進めました(なんかランナーらの証言によると、爆発前から爆弾処理班と警察犬がウロウロしてスナイパーが屋上にいたんだけど「あーこれは訓練ですから気にしないでください」と警察が叫んでたそうですよ。変なの)。みんな殺気立ってネットであることないこと情報が錯綜してたので(CNNも犯人逮捕の大誤報をやらかして大混乱)事態は一刻を争います。爆弾処理用ロボも大活躍しました。

この「Telerob Explosive Ordinance Disposal」は2000年から使われているロボで、即席爆発装置(IED)除去などのため導入している国は世界40カ国以上におよびます。6軸調整可能で、アームは9フィート(2.75m)以上伸び、信管除去ツール完備でほぼどんな脅威も骨抜きにできます。写真だと縮尺わかりづらいですけど、動画で見ると意外と大きい...。

 

FLIR(前方監視赤外線)カメラ

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ボストン郊外ウォータータウンでは、外出禁止令がやっと解除になってやれやれと外に出た男性が家の庭のボートに血痕がついてるのを発見、「ボートのカバーの中に血だらけの人がいる」と通報します。早速、中を改めるため警察はFLIRカメラ搭載ヘリを空に飛ばしました。

FLIRカメラには体などの熱源から発せられる赤外線放射を探知する特殊センサが付いており、人体があれば熱で検知できるんですね、映画『プレデター』のサーマルビジョンみたいに。煙・霧で視界が遮られてても関係なくて中まで透視できるので、夜目の捜索には力を発揮します。そして得たのが一番上のビジュアルです。

フラッシュバン(Flashbangs、閃光発音筒)

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しかしすぐ突入というわけにはいきません。武装していた場合また銃撃戦になって兄の時のような事態(MIT警官が殉職)になるので、まずは轟音と閃光で相手を錯乱し隙を生むためスタン手榴弾を投げました(その前に何十発も撃ってたのは空砲だったのか...)。

フラッシュバンは軍では1960年代から使われてるものですが、ビデオゲームでご存知の人の方が多いんじゃ...。深刻なけがにはなりませんが、最高で5秒ほど目が見えなくなり、聴覚とバランス感覚も一時的に失います。投入後、「ボートが少し燃えている」という報道も一部ありましたが、引火しても不思議じゃないです、熱もかなり出るので。

こうして瀬戸際に追い込んだ上でネゴシエーターを投入し説得に当たらせ、ほどなく身柄確保となりました。こちらに出血多量で病院に搬送される弟の写真もありますが、なんとも言えない気持ちになりますね...。

Image credit: Wiki Commons 1, 2, FBI

Casey Chan and Brian Barrett(米版/satomi)