【BLACKのTED出演記 Vol.03】いよいよ本番、TEDメインステージへ登壇。リハーサル〜当日までの一部始終を完全公開!

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いよいよリハーサル、そこへ最強の助っ人到着!

僕の出演は2月27日(水)の朝イチの枠だったため、リハーサルは前日26日(火)の夜に行われました。

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ホールへ入ると、ちょうどその日の最終スピーカーの方がプレゼンを終えたところでした。まだ僕のリハーサル開始時間までは30分ほどありましたが、道具のセッティングに時間がかかるため、早めに準備をスタート。

準備中、舞台監督の方が「何か手伝うことはありますか?」と声をかけてくれました。「道具は全て自分でセッティングするので、今は大丈夫です。お気遣いいただきありがとうございます。」と答えると、「OK、サンドイッチでもつまみながらウロついてるので、何かあったら声かけて下さいー。」との事。1日のスケジュールを終えお疲れだったと思いますが、休憩時間返上でステージ付近に待機していてくれました。

と、そこへ「BLACK、お疲れ〜!」との声。日本語で

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助っ人到着! 山本 一造さんという方で、Sow Experienceという体験ギフトの会社の元取締役の方です。現在はMBA取得のためサンディエゴへ留学中だったのですが、僕のTED出演を聞きつけ、「まじで!? 絶対行くわ! 何でも手伝う!」と、飛んできて下さったんです。

リハーサルから合流していただいたのですが、写真撮影や確認用動画の撮影をはじめ、荷物の管理や、果てにはホテル〜会場間の送迎まで何から何まで積極的にやっていただいてしまいました。おかげさまで僕は自身のすべき事に注力することができ、本当に助かりました。仕事が出来る人というのは、何をやっても本当にデキるんだなぁ、と。

本来、このような雑務をお願いしていいような方ではないのですが(一企業の元取締役の方です)、奇跡的に出演が叶った一生に一度の大舞台でしたので、今回ばかりはご厚意に甘えることにしました。

最強のスタッフ陣と共に行うリハーサル

リハーサルは、他の出演者の方との兼ね合いもあり、スピーチ・パフォーマンスを含めた通しリハを2回行うのが限界でした。これほどの大舞台での確認としては不安の残る回数ですが、そんな心配は不要でした。

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1度目の通しリハを終え、乱れた呼吸を戻そうと休んでいるところへ、照明スタッフの方が声をかけてきました。

「パフォーマンス前半のラスト、ヨーヨーを高く投げ上げる技なのですが、その軌道へ重なるよう真上からスポットライトで照らすと、見栄えがするかと思います。ですが、BLACKさんからは逆光でヨーヨーが見えづらくなりますので、キャッチが困難になるかと思うのですが、ご本人としてはいかがでしょうか。」

なんで1回のリハだけで、そこまで分かるんですか。正解過ぎます

これ以外にも、リハ開始前に道具をセッティングした段階で、おおよその流れや自分の立ち位置を口頭で説明していたのですが、シーンごとの照明の当て方が全て素晴らしく(トーク中は舞台前方のみへスポット、クロス引きの際は自分とテーブルへスポット等)、スタッフの方の経験や判断、技術力の高さを強く感じました。

ついに迎えた本番当日。朝04:30

インタビュー等でよく聞かれる質問の一つに、「ショーの際、緊張はしないんですか?」という質問があります。その都度、こう答えています。「緊張することはあります。しかしそれは、準備が十分でない時ほど強いように思います。事前の練習や準備がしっかりできている時は、あまり緊張しないですね。」

しかし今回は、TEDだけは違いました。起床後、ベッドに腰掛けた自分の足が小刻みに震えていることに気がついたんです。

気持ちの面では不安はなく、落ち着いた心境でいるつもりでしたが、体はやはり正直なのでしょうね。「自分のような凡人が、こんな大舞台へ出演する事になってしまったのだから、それも当然か(笑)」などと考えつつ、それでも少しでも平常心を取り戻そうと、本番の音楽を流しながら、ゆっくり1時間ほどストレッチを行いました。そして衣装に着替え、いよいよ会場へ。

舞台袖での1.5時間

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ホテルを出ると、一造さんが車を回しておいてくれました。シートに座ると、座席がかなり温かい。「部屋でストレッチしてきたんでしょ? 本番までに体冷やしちゃいけないからさー。温めといた!」素敵すぎる気遣いに、心まで温まります(涙)

07:30に会場入りした後は、軽くメイクをしていただき、舞台袖で自分の出番を待ちました。僕の出演するSESSION4は08:30にスタート、自分は09:00頃に出演の予定。

舞台袖には、舞台確認用のモニターと合わせて、出演者がリラックスして待機できるよう、ソファが用意されていました。ここに腰掛け、目を閉じ、スピーチを暗唱したり、普段練習しているスタジオの風景を思い出し、いつも通りの心境で臨めるよう気持ちを落ち着けたり。

そうこうしている間に、ついに自分の出番がやってきました。

無心で臨んだ本番

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いよいよステージへ立つにあたり、唯一考えていたのは、「聴衆の皆さんに身を委ねよう。」という事です。これは、過去のTEDxTokyo出演時の経験が関係しています。

2011年のTEDxTokyo出演時、僕はTEDやTEDxの事を、もっとお堅いビジネスイベントだと勘違いしていたんです。なので、自分のスピーチ中に聴衆の皆さんが派手にリアクションしたり、声を上げて笑ってくださったりした事は、完全に想定外だったんです。正直、内心かなり動揺していました。

しかし、TEDxTokyoにおいても、スピーカーの話から少しでも学びを得たいという聴衆の方が多く、「私は、あなたの話に興味がありますよ。」というメッセージを暗に感じられるような雰囲気だったんです。初対面であるはずの聴衆の皆さんが自分の味方であるように感じられる、不思議な感覚でした。

なので、想定外のオーバーリアクションに一瞬は動揺したものの、リアクションや笑いが収まるまで、自信を持って間を十分に取ることが出来たんです。スピーカーの立場からすると、無言で間を取るというのはかなり勇気の要る行動なのですが、TEDxTokyoでは安心してその選択肢を取る事が出来ました。

そのような経験が過去にあったので、今回の本家TEDにおいても、「聴衆の皆さんに身を委ねよう。」と考えていました。一言一句、一挙手一投足を間違えないように、というよりは、素敵な聴衆の皆さんとのコミュニケーションを楽しもう、という気持ちでした。

そんな気持ちで臨んだスピーチ・パフォーマンスの映像。こちらです

抜け落ちた、舞台上での記憶

本番直前までの話はここまで長々と書いてきたのですが、実は肝心の、本番中の記憶だけが、すっぽり抜け落ちてしまっているんです。それには、理由があります。

出国前、演技の振付等をシルク・ドゥ・ソレイユ10年選手のフィリップ・エマール(Philippe Aymard)氏にご指導いただいていた際に、こんな言葉をいただきました。

「キミは演技中、とても険しい表情をしているよね。まるで、戦に臨むサムライのような表情だ。その表現は素晴らしいんだけど、最初のクロス引きと最後の礼の時は、自然な笑顔がいいんじゃないかな。」

「BLACKは、普段からそんな険しい表情で生活しているわけではないよね。言わばそれは、アーティストという仮面をかぶった姿なんだ。演技中にその仮面を付けるのは良いと思うんだけど、その姿だけではなく自然な表情も見せることで、真にキミの全てをプレゼンする事になるんじゃないかな。」

「最初のクロス引きは、オリジナルの技だし、ぜひTEDで発表したいと言っていたよね。成功したら、嬉しいよね。その感情は、素直にそのまま顔に出していいと思う。」

「最後の礼、感謝を伝える場面は、再び仮面を脱ぎ、素の自分に戻って、その気持ちを伝えるべきだ。

こんな言葉をいただいていたんです。

そのため、スピーチの間は無心だったためあまり記憶が無く、また演技中はキャラクターに入り込んでいたため、ようやく心を解放して素の自分に戻れたのは、演技終了後、締めのポーズを解き、うつむいた瞬間だったんです。

感受性を取り戻したその時に眼前に広がっていたのは、割れんばかりの拍手と、次々と立ち上がってくださる聴衆の皆さん、という風景。顔を上げた時、目が潤んでいたのは言うまでもありません。

感極まって泣き崩れる寸前ではありましたが、「きちんと御礼は伝えねば...!」と思い、気合いで涙を引っ込め、心の底から最大限の感謝を込めつつ最後の礼を行い、舞台を去りました。

まさかのスタンディングオベーション、その後に待っていた反響は?

舞台上での記憶はあまり無く、言うなれば、「何かを成した記憶は無いのに、いきなりスタンディングオベーションを受けちゃった、どうしよう!?」という、とてもふわふわした心境。

そうこうしている内にSESSIONは終了し、休憩時間を迎えました。参加者の皆さんが、熱い意見交換や交流を行う時間です。

怒濤の勢いでの名刺交換・質問攻め、取材申し込み、出演依頼など、5日間の中で最も濃密な数時間を過ごす事になるのですが、続きはいよいよ最終回となる次回へ持ち越させて下さい。

もし間に合えば、5月11日(土)に開催されるTEDxTokyoの感想なども書きたいと思っています。

最終回にふさわしい内容となるよう、がんばって書きたいと思います!

コラム:現地で見たTEDの正体その2「超一流スタッフによる、最高の環境作り」

リハーサルの際、照明スタッフさんの洞察力に驚いた、という内容に触れました。しかしこれは、その実力の一端に過ぎませんでした。例えば、公開された自分の映像を観て驚いたのが、背景となる舞台セットを照らす照明の色です。

・演技中:赤色

・前半のフィニッシュ:白色

・後半への移行中:緑色

・後半:再び赤色

と変化し、演技の雰囲気にとてもマッチしています。

実は、照明の色についてリクエストを聞かれた際、僕からお願いした内容は、「んー、『情熱』というのが一つのキーワードなので、赤系でお願いします。」というシンプルなものでした。にもかかわらず、たった2回のリハーサルから演技の流れを把握し、こんな素晴らしい照明を作り出してくれたんです。

これは舞台まわりに限らず、全てのスタッフさんに言えることでした。

TEDへの出演が決まってから、細かい確認等のやり取りを何から何まで担当して下さった、「スピーカー・コンシェルジュ」という役職の方がいらっしゃいます。フライトやホテルの確認をはじめ、どんな些細な内容にも迅速かつ丁寧に応対して下さるんです。コンシェルジュの名に違わぬ、超一流ホテルのおもてなしを彷彿とさせる応対でした。(泊まったことないけど。)おかげさまで僕は、何一つ不明点や懸念を抱くことなく、まさにストレスフリーの状態で最後まで過ごす事が出来ました。

これらの目的は、スピーカーに最高のプレゼンをしてもらうため、という1点に尽きると思います。

前回のコラムで、「TEDでは聴衆間での意見交換が本質であり、プレゼンはその呼び水に過ぎなかった。」と書かせていただきましたが、その呼び水であるプレゼンも超一級品でなければ、有意義な意見交換も難しいのだろうと思います。

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もちろん、交流を促すための環境作りも全力です。交流用のSNSアプリ「TED Connect」は、参加者全員のリストが手に入るだけでなく、参加者間でメッセージを送ることも出来ます。各界を代表するVIP3000人のリストが手に入るというこのお化けアプリの正体に気付いた時は、衝撃を受けました。

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また、会場内は至る所にコーヒーショップのブースやブッフェコーナーがあり、リラックスできる環境であるだけでなく、食事などのために会場を離れる必要がありませんでした。後から気付きましたが、僕はこの5日間、お財布を出す機会が一度も無かったんです(ホテルのハウスキーピングの方へのチップくらい)。

それくらい、出演者の立場で言えば自分にプレゼンに全力で集中できる、聴衆の立場で言えば交流や意見交換をとてもしやすい環境だったんです。

超一流のスタッフの皆さんが、最高の環境作りを全力でしてくれる。プレゼンの動画などからは見づらい部分かもしれませんが、このお膳立てこそが、TEDという華やかな舞台を支える、まさに縁の下の力持ちであると感じました。

BLACK 「ヨーヨーの達人への道」[TED]

(BLACK/Official Website