さらばCreative Suite。アドビがCSのクラウド移行発表...その意味とは?

2013.05.07 15:10
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未来は突然訪れるもの...

アドビが本日(米時間月曜)年恒例MAXカンファレンスで10年来のヒット商品「Creative Suite(CS)」の新規開発を停止し、6月にメジャーアップデートするクラウド版「Creative Cloud(CC)」に一本化することを発表しました。

今後はCS6とかCS7を箱で買うんじゃなく、CCを月額5000円(米国は50ドル、年間契約の場合)で利用することになります(幸いCS3以降の製品のシリアルナンバーお持ちの人は最初の1年だけ月額3000円(米国では30ドル)の特別プライス適用)。

...で、これはいったい何を意味するのか?

ひとつ目は、海賊版対策です。オンラインの定額利用になれば、これまで散々悩まされてきた海賊版の問題にも終止符が打てます。

ふたつ目は、大衆化。年1回アプデにドカンと出費を覚悟しなくていいから、通年、誰でも気軽に最新版を使うことができます。

みっつ目は、アドビが製品へのクラウド取り込みに本気を見せてきたってことで、これはか~なり大きな方針転換となりますね。Creative Cloudの新アプリでは利用者がログインしてアップデートをダウンロードしなくても、デスクトップに直に通知が飛ぶのでアップデートや新アプリのダウンロードが容易になるそうですよ。


充実の新ツール


クラウド版CCメジャーアップデートと並行して発表されたのが、各種ツールの強化。むちゃくちゃ気合入ってます。


Photoshopの手ぶれ補正(Camera Shake Reduction)フィルターも下馬評通り、もう魔法としか思えない出来栄え!ブレまくりの箇所が杖ひと振りでクッキリになるんですよ...これはもう実働シーンで見ていただくしかない!



さらに「Camera Raw」フィルターを適用すると、レイヤーとしてrawエディットが加えられるし、3D画像へのペイントも刷新し最大100倍高速になりました。

あとは低解像度写真を大きくリサイズしても荒くならんよう、ピクセルの隙間を埋める「アンサンプリング(Unsampling)」アルゴリズムも装備。ご覧のようにノイズが全くない! なんで!?

最後のダメ押しがこれ、「スマートシャープ(Smart Sharpen)」。下のスクリーンショットでおわかりのように、シャープにしてもノイズが入らないんです! なんで!?


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...とまあ、この調子でCSの他のプログラムも迫真のアップデートでございますよ(Fireworksは終わっちゃうけど...)。Museは「Parallax Scrolling」っていうスゴいツールがあるし、Illustratorも待望の新機能が多数搭載となっており、例えば、1行の文章で文字を個別に変更できるツールとか、好きなフォントに星がつけられるツールとかまである(もうスクロールしなくていい!)。

InDesignも処理速度が(ついに)他のCS6のプログラム並みに速くなりました。

面白いなって思ったのは、iPad対応スタイラス。これはクラウドに直結してて、一度ブラシを設定すればずっとその設定が温存されるます。へー。

新CC(Creative Cloud)では、アドビの他のアプリ(例:TypeKit、Kuler)もデスクトップと直接シンクされるのでアプリの使い方も変わりそうですね。CC利用に加入するとプログラムが同時にふたつのマシンで使えるんですね。つまりフォントも書式も色もクラウドで同期がとれる! 

また、Creative Cloud利用会員になるとTypeKitのフォントも全部使えるようになって、どれでも好きなものをCCアプリからダウンロードしていい...とまあ至れり尽くせりです。


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好きなフォントもTypeKitのデスクトップからCCに保存できる

共有も楽に。クラウドにクリエイターのコミュニティ


Creative Cloudで変わるのはアドビのプログラムの買い方・使い方だけではありません。作品の共有の仕方も変わります。

昨年12月アドビはオンライン作品発表の場として人気のサイト「Behance」の買収を発表しました。買収理由と将来の活用法についてはあんまり言及されてなかった気がするのですが、そういうことだったんですね...。CC定額利用プランに加入するとBehance Proも標準でついてきて、フォトショップから自分の作品を直にBehanceのポートフォリオに保存できるんです。


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新しいデスクトップにはBehanceも統合されている


要は自分のデスクトップにある作品見た人からフレンド申請、コメントがきて、作品のページビューも日々変わるってことですねーはい(もちろん利用したくなかったらオプトアウトもOKだよ)。

アドビの新ソーシャルネットワークをどう思うかは、自分が普段からアドビのプログラムをどう使ってるかによって変わってきそうですね。大企業で働く人にとってBehanceはほぼ利用価値ないだろうし、人脈・仕事の幅を広げたい駆け出しの学生・フリーランサーにとっては人生を変えるサービスになりそうです。


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時代の変化を先取りし、変わってゆくアドビ

Creative Cloudで従来慣れ親しんできたCreative Suiteの時代は終わります。 CS7は出ない。そんなこと言ったらCS15も出ない。... でも、それでいいんじゃないかなって思います。スタンドアロンのソフトウェアをパッケージとして売るのを止めることについては当然異論もあるでしょうけど、今回の決定の背後にあるロジックを知れば論駁は難しいのでは。

CCは高嶺の花だったCSを一般消費者向けにする戦略的経営判断なのです。アドビのとんがったプログラムがもっと広く使われユビキタスになってゆけば、Creative Cloudとソーシャルな新機能に惹かれてみんなも海賊版買うんではなしに利用料払うようになるんじゃあるまいか...という方に賭けた。その目論見通りなりますかどうか。こればかりは時間を置いてみないと、ですね。


プレスリリース- CCのメジャーアップデート(pdf)クラウドサービスへの移行をさらに強化(pdf)


KELSEY CAMPBELL-DOLLAGHAN(原文/satomi)

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