雲が作る「顔」を顔認識プログラムで集めたアート作品

雲が作る「顔」を顔認識プログラムで集めたアート作品 1

あ、あそこに顔が! って瞬間をたくさん。

人間はパターン認識が大好きです。我々は、人生において見るもの、すること全ての裏側には秩序とか意味があると思いたくて仕方ないかのようです。そして身の回りのものすべてに、たとえば空の上の雲に、自分自身の姿を投影してるんです。

ソウルの二人組アーティスト、シンスンバク・キムヨンフンは、コンピュータービジョンをテーマにした作品を作っています。彼らの作品の多くはプログラムですが、そのプログラムが作り出すものは詩であり、アートです。彼らの最新プロジェクト『クラウド・フェース』は、顔認識技術で人間の顔みたいな一瞬の雲の形を捉え、集めたものです。

雲が作る「顔」を顔認識プログラムで集めたアート作品 2

たしかにこれなんて、アインシュタインの舌を出した有名な写真みたいに見えます! え、見えない?

米Gizmodoへのメールで、彼らは『クラウド・フェース』のアイデアの元になった体験について語っています。彼らは最初、雲ではなく本物の人間の顔画像を収集しようとしていました。窓から釣りざおを吊るし、その先にWebカメラを付けて、プログラムで撮影した画像を処理してみました。その結果、プログラムが「顔」と認識したものは人間だけじゃなく、木とか草とか、他の無生物までも含まれていたんです。

「僕は空を見上げて、『この失敗をむしろ生かして、雲から顔を探し出したらどうなるだろう?』と思ったんです。」アーティストのひとり、キム・ヨンフンさんはこう振り返ります。「失敗に気づいたことで、コンピューターの視覚をもっと探求してみようと思ったんです。」

そこで彼らは、雲の中の「顔」を自動認識するシステムを作り始めました。ProcessingとOpenCVの顔認識ライブラリを使って独自のスクリプトを書き、一眼レフカメラを空に向けてセットしました。カメラから画像が送られてくると、独自プログラムがそれを処理するという流れです。

朝目を覚ましてすぐ、空を見て「正しい」パターンがあるかをチェックしたものです。[...]「クラウド・フェース」で使った雲の顔画像は、人手で選びました。つまり、コンピューターと人間の間で「顔」として合意できたものってことです。

撮影した画像は15万枚もあり、そのうちプログラムが「顔」と認識したのは1000枚ありました。

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人間の脳による顔認識能力については、いろんな研究があります。ニューヨーク・タイムズの2007年の記事では顔認識技術に関わる研究者数人の意見を求めているのですが、その中のひとりは、顔認識能力は人間の進化において不可欠だったと論じています。

マサチューセッツ工科大学のシンハ博士は、顔に対する人間の鋭い反応が先天的であろうと後天的であろうと、それは進化の過程で起こった重要な適応であり、丸めたティッシュに悪魔の顔を見出すような副作用を防いでいると語る。「顔が伝える情報は豊富で、その人のアイデンティティだけでなく、心理状態や健康状態その他をも示しています」とシンハ博士。「脳が顔認識に優れていて、かつ選別はあまり厳密にしないことには非常にメリットがあります。顔を見落とすことのコストは、顔でないものを顔だと思うことのコストより高いのです。」

つまりこの作品は、人間の進化を再確認させてくれるものでもあるってことですね。

Kelsey Campbell-Dollaghan(原文/miho)