Windows 8が軌道修正? それでいいのかマイクロソフト

2013.05.14 20:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

130514_win8change.jpg


あきらめちゃダメ!

Windows 8、それは妥協のない改革でした。その結果、明らかに「違うだろう」と思う要素もありますが、それらは修正可能なものであって、大きな方向性に修正が必要だとは思えませんでした。でも最近の情報が本当なら、マイクロソフトはWindows 8で描いた理想から手を引こうとしているようです。それが事実でないことを祈ります。

次期WindowsはWindows BlueまたはWindows 8.1と呼ばれ、6月末にはパブリックプレビュー版が公開予定です。それはWindowsのあり方を変える大きなアップデートです。でもそれ以上に、次期アップデートでUIが従来のWindows的なものに逆戻りするとも言われているのです。

スタートボタン復活の可能性は濃厚で、昔ながらのデスクトップから起動することもできるようになりそうです。それ自体は歓迎すべきことのように思えますし、それが今回のアップデートのすべてであることを願います。マイクロソフトは、今この段階で軌道修正しちゃいけないんです。そして我々ユーザー側も、それを求めるべきじゃないんです。

Metroは進むべき道


現在、パソコンとはDVDプレイヤーみたいなものです。多くの家庭にあり、新しいブロードバンド依存のストリーミングボックスよりちゃんと使えます。多くの人がDVDをもう何年もの間買い続け、使い続けています。でも、DVDプレイヤーを新たに買う人はもう少なくなっています。

多くの家庭がどんな風にパソコンを使っているか考えてみましょう。それはWebボックスでありホームネットワークタワーであり、ゲーム機(最適じゃないにしても)でありFacebook端末であり、あとは表計算とか調べ物の司令塔機能も多少あるでしょう。そんな平均的なパソコンの使い方は、ある程度シンプルにできます。さらにタブレットとラップトップの融合が真に実現して、パソコンのスクリーンが取り外し可能なタッチインターフェースになったりすれば、もっと良いです。

マイクロソフトはこうしたパソコンのあり方をきちんと理解しているはずです。「我々は我々自身と業界を前に進め、パソコンを再定義しつつ、楽しさや機能性どちらも妥協しないよう努めています」と広報担当者も言っています。「それは我々の知っているWindowsからの大きな変化であり、変化は簡単なものではありません。わかっています。」

パソコンで効率よく作業するには従来のようなウィンドウ環境が必要と思われるかもしれませんが、問題はそこじゃないと思います。我々はそういう意味での「効率」を求めていないんです。今まで「効率」だと思ってきたものは、実はそんなに効率がよくないからです。今までの「効率」とは効率よくマルチタスクできる能力ということで、ともすればユーザーが何をすればいいかわからないくらい多くの選択肢が提示されていたんです。本来、メールやIMやツイートがあちこちから飛んでこないほうが、自分のしている作業に集中できたはずです。

その方向性はマイクロソフト以外の製品でも見えてきています。GoogleのChrome OSはもう数年もその考え方を広めて来ていますが、新しいChromebook Pixelではひとつの極限に達しています。アップルでもOS X Lionでフルスクリーンモードをプッシュしてきています。いつか、別付けのグラフィックスカードとか光学ドライブが消えていっているように、従来のパソコン的「効率」はなくなるのかもしれません。その後を引き継ぐのがMetro、またはMetro的な何かとなるはずです。

従来のウィンドウ環境パラダイムの中からでは、それはまだまだ実現不可能に見えるかもしれません。たしかにそのシフトは難しくて、だからWindows 8も今順調とは言えない状態なんです。でも全体としては、それは必要な進化です。あえてひとつ問題を挙げるとすれば、超高解像度のスクリーンにまだ対応してないくらいで、多分そのうち対応されます。さらにものすごく効率の良いHaswellチップが、メインのCoreシリーズでも超低電力の22nmSoCでも続々とマシンに搭載され、より小さく、より優れたコンバーチブルマシンでデスクトップモードが使えるようになるんです。


たしかに問題もあり


もちろん、Windows 8は完ぺきとは言えません。イラッと来るようなマイクロソフト的問題がちょこちょこあります。なんかすごく賢い人が未来を描いたんだろうけど、ほんとにその未来にたどりつけるのかな? って思うくらいです。でもWindows 8の問題は、Windows 8にアンチな人たちが主張するほど根深いものではありません。

Windows 8の問題は考えれば解決できるものです。たとえばデスクトップモードとMetroスタイル間の移動に関しては、デスクトップモードから急に閉めだされた、または戻らさせられたという不満をよく聞きます。コンピューターの使い方をアプリごとに変えたい人はあまりいないはずなので、モード間の移行は慎重に設計すべきなんです。さらにマイクロソフトは、効率が求められる仕事以外のタスクでも今のMetro環境は十分ではないことを認めるべきです。でもこれはそんなに大きな修正にならないはずです。

それから、純粋に機能を実現する目的でシンボルやボタンを使っているのでない、見栄え重視の機能も余計だと言われます。たとえばアプリを左右に並べられるスナップ機能でいうと、たしかに情報を表示してはくれますが、結局何らかのアクション、たとえばツイートを書いたりするためには、元々やっていた作業から離れることになります。これもWindows 8のMetroアプリについてよく言われることで、何かしようとすると、全然違うところに連れて行かれる感じです。でもMetroアプリの使い方についていえば、これを修正するのはごく簡単です。新着メールが来たらスナップアプリのスペースに一時的に前面表示するか、Web OSみたいにパネル下部に挿入できるようにするかの方法で、ひとつのウィンドウにより多くの情報が表示できます。これだけでもMetroアプリはずっと使いやすくなるはずで、使っていないスペースも有効活用できます。

さらに明らかに直したほうがいい点は、たとえばスケーリングです。スケーリングのおかげで、RetinaのMacBook ProとかChromebook Pixelは、テキストやWebページや他の最適化されたコンテンツを見ているときに美しく見えます。そしてWindows 8の高解像度スクリーン(特にSurface Proとか最近の東芝Kirabook)がイマイチなのも、これが理由です。Windows 8のデスクトップを高解像度スクリーンで見るとすごく小さくなるか、拡大されてぼやけて見えるか、です。でもそうじゃない場合でも、OS XとかChromeみたいにシャープじゃありません。超高解像度スクリーンはハイエンドなラップトップの標準になりつつあり、タブレットやコンバーチブル端末においても非常に重要です。なのでマイクロソフトとして解決すべき課題なのは明らかですが、これでWindows 8を否定する理由にはなりません。


パソコンが売れないのは、Windows 8のせい?


先月初めに2013年第1四半期のパソコン販売台数が発表されましたが、結果は前年対比13%減の7900万台と、過去最大の落ち込みでした。それによって、「Windows 8がパソコン販売を後押ししないどころか、意図的に失速させている」とみる人たちもいました。

たしかに半分はその通りで、Windows 8はパソコン販売の起爆剤とはなりませんでした。でもWindows 8は、命綱みたいなものです。Windows 8のおかげで、マイクロソフトはコンピューターの未来を明らかにする時間を手に入れたんです。ただし今のマイクロソフトは、この業界での地位を守ろうと応急処置をしつつ、脱出船も同時に作ろうとしている状況で、しかも身内からも攻撃されていますが...。

たとえばAcerは声の大きいメーカーのひとつです。彼らのコンピューターがさほど高く評価されていないので、おかしなことかもしれませんが、AcerはWindows PCとは何かを正しく理解している数少ないメーカーのひとつとなりつつあります。ちょっと微妙な端末も作ってますが、見るべきものはあります。ラップトップにしてもパソコン全体にしても、Acerは理想形に近いものを作るようになっています。

そんな風に今までより美しく、効率的な製品が出ていても、パソコンの売上は下がり続けています。それはOSのせいではありません。我々の知っていたパソコンの市場が、もう成長市場じゃなくなったからです。でもだからといって、すべての市場が消えていくわけではありません

Acer R7みたいな奇妙なものを見て、Windows 8のせいでこんな奇天烈なものができてしまったと思うのも理解できます。理解はできるけど、同意はしません。こうした未来のデザインを作っている企業は、ニッチ市場への提案として作っているんです。テレビ番組だって、同じようにニッチな興味に合わせて細分化していきました。パソコンだってテレビ同様、ニッチをきわめていけば、The WireとかBreaking Bad(どちらも評価の高いテレビ番組)みたいな光るものがひとつ、ふたつ出てくるかもしれません。

でもニッチはもちろん、本丸じゃありません。大事なのは、あくまでコンピューターの未来がどうなるかってことです。ユニファイド・コンピューティングの未来がどんなものになるのか、まだざっくりとしたイメージしかありません。それでも今、マイクロソフトがすべきなのは、この穏やかでない現状を恐れずに切り抜けて未来を描き切り、ユーザーが未来に追いつくのを待つことなんです。


Kyle Wagner(原文/miho)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • マイクロソフト Surface Pro 128GB 並行輸入品
  • マイクロソフト
・関連メディア