次期iPhoneについて、iOS 7から見えてきた5つのこと

2013.06.25 17:00
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未来のアップルの姿まで。

初めてiPhoneを手に入れたときに感じたのは、そのシンプルさでした。地図やMP3プレイヤー、ノート、そして電話といったすべてのものが、小さなパッケージに詰め込まれていました。でも今年のWWDCから何か読み取れるとすれば、そんなアップル製品の自己完結的なあり方が終わりに近づいているってことかもしれません。

ジョナサン・アイヴ氏によるiOS 7でのデザイン変更は、アプリアイコンから色使い、フォント使いにまで及び、それについていろんな人がいろんな評価を提示しています。でも、この新iOSから読み取れることは見た目の変化だけではありません。注意深く見ていくと、次世代モバイルデバイスの世界を築くための基礎が埋め込まれているのが、かすかながら見て取れます。


物理エンジンと連動するインターフェース



上の画像のように、視差効果を使った奥行きの演出はクールですが、この先にはもっと大きなものがやってきます。iOS 7のUIKitの中には、「モーションダイナミックコントロール」なるものがあります。それによって加速度計を使ってUI要素を動かすことができ、iPhoneの中のオブジェクトはほとんどリアル世界のモノとなり、ユーザーのジェスチャーや動きに反応し始めます。

ロンドンのデザインスタジオ・Bergの創業者のマット・ウェブ氏は、「これからのUIは物理エンジンと統合されていく」と言います。「iOS 7の見た目のデザインはフラットですが、ここにはアップルで従来使われてきたSkeuomorph(訳注:たとえばiPhoneのメモアプリにメモ帳のデザインが使われているように、リアルの事物のデザインをデジタルの世界で使うこと)が注ぎ込まれています。つまり、UIの動作そのものがリアルになるのです。」ウェブ氏はメールでこのように語りました。「新しいデザイン言語がここにあり、発見されるのを待っています。」

デベロッパーたちがこの新しいデザイン言語を見出し、その可能性を探求し始めれば、この物理エンジンベースのUIが意味するところが我々ユーザーにも見えてくることでしょう。視差効果を単なるギミックだと言う人もいますが、加速度計でUIを動かして動きに反応させることだけでも、大きな可能性があります。たとえば自転車や車に乗っているときはシンプルなモードに自動的にスイッチするとか、通知を振って消すとか、オンスクリーンのオブジェクトが光や動きやタッチに対して、リアルのオブジェクトと同じように反応する...といった使われ方が考えられます。


色とカスタマイゼーション


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Image via


iOS 7に関する批評はほぼ出尽くした感がありますが、まだiPhone 5S(または6)を占う上で興味深いことが残っています。Philippe Azimzadehさんが指摘しているように、新しいUIでは色に関して細かな配慮がなされています。たとえば、特定のグラフィック要素は背景の色に合わせて色が変化します。アプリ自体にも、それぞれ独自の「ムード」カラーがあります。


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これらすべては、マルチカラーのiPhoneまたはiPadで、iOSのスキンがカスタマイズできることを示唆するかのようです。この流れだと、UIのカラースキームとハードウェアのカラースキームは完全に互換性のあるものになるかもしれません。実際iOS 7では、コントロールセンターのテキストが半透明のレイヤーで表示され、ナビゲーションバーとステータスバーのカラースキームが統合されていて、全てのUI要素が「消える」かのようでもあります。個々のアプリだけが、一貫したカラーパレットを持っています。

従来のアップル製品は、あるデザイン思想の上に築かれてきました。それぞれのプロダクトが、それぞれのハードウェア、ソフトウェアの言語と外観を持っているということです。でもこれからはそれが製品ごとに固定ではなく、ユーザーごとにパーソナライゼーションされるのかもしれません。


新しいセンサー、新しいインタラクション


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次期iPhoneには新しいセンサーが搭載されるという予測がよく聞かれます。たとえば指紋センサーで生体ベースのインターフェースにするとか、高度センサーで位置ベースのサービスやアプリの精度を高めるといった説があります。未来のiPhoneではセキュリティ設定を位置ベースで、たとえば、家と職場と公共の場といった場面に応じて変えてくれるかもしれません。

ニック・ビルトン氏は、ニューヨーク・タイムズのセンサーのエンジニアに対するインタビュー記事の中でこの可能性を示唆しました。「(携帯電話のセキュリティやプライバシーをセンサーで向上させるための)ひとつの方法は、ユーザーの持ち方やデバイスの使い方を検知するソフトウェアを使うことだ」と彼は書いています。「新しい端末でも一定時間使えば、その電話はユーザーのパターンを学習し、自動的に電話をロックやアンロックができる。この技術は、バンキングサービスの安全性向上に役立てることも可能だ。」

そんな未来がもうすぐ実現するかもしれません。iOS 7で、画面のどこをタッチしてもアンロックできるようになりましたが、たとえばそれも指紋認証への布石かもしれません。また、UIで加速度計を使うのは、デベロッパーが他のセンサーのデータもUIで使えるようになるための準備になると思われます。


iPhoneはデジタルな「脳」に

ギリシャの神様から最近のコンピューターまで、人間はそこに自分の姿を映し出そうとする傾向がありました。モバイルデバイスも例外ではなく、今まで一連のシステムはひとつの箱に入っていました。でもそれは急速に代わりつつあります。というのは、ハードウェアの周辺機器が同じデバイスの中に入っている必要はないからです。WWDCで、我々はアップルがiOSを解放して新しいハードウェアプラットフォームからデータを引き出そうとしていることを垣間見ました。たとえばiOS 7の自動車アプリでは、電話を車載のダッシュボードに接続することができます。


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工業デザイナーでGizmodoにも寄稿しているドン・レイマン氏はこれらを「ハードウェア・アプリ」と呼んでいます。そしてこれが、アップルがスマートウォッチの領域に入っていくやり方だろうと言っています。「スマートウォッチのデザイン上最大のポイントのひとつは、バッテリー消費です。より多くの機能を加えようとすればより多くの電力を消費してしまいます。」とレイマン氏。「でももしデバイスがスマートフォンの周辺機器として動くのなら、その負担は軽減するし、コストもサイズも小さく抑えられます。」

すでにiOS 7のUIでは、いろんな周辺機器をサポートする先駆けのようなものが見られています。。iOS 7のプルダウンのコントロールセンターでは、天気やiCalといったアプリの最新の情報を素早くチェックできます。この機能は、ハードウェアプラットフォームのディスプレイの情報に引き継ぐことができるでしょう。


ハードウェアをつなぐ「結合組織」


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ハードウェア・アプリについて語る上では、これら周辺機器を電話とつなぐ存在についても考える必要があります。「2000年代の、アップルの『デジタル・ハブ』戦略と同様です」と前出のウェブ氏。「アップルは『モノのインターネット(Internet of Things)』のハブになろうとしてるんです。」iOS 7ではAirDropをサポートしていて、iOSユーザーはWi-Fiなしでもデバイス間でファイルを交換できます。AirPlay(日本のAirMac)関連では、9to5MacがアップルがAirPlayオーディオをデベロッパーに解放する計画だと伝えています。つまり、一部の対応オーディオ機器だけじゃなく、どんなハードウェアでもAirPlayにつなげられるってことです。

また、WWDCで発表されてからあまり注目されていなかったんですが、「アップル通知センターサービス」ってものがあります。これは、電話から他のBluetooth対応ハードウェアに通知をプッシュできるって機能です。つまりiPhoneからたとえばiCalの通知を、Bluetooth対応のスマートウォッチやヘッドフォン、ワイレススピーカーといったものに飛ばせるんです。って、大したことないじゃんと思われるかもしれません。でもウェブ氏に言わせれば、アップルはスマートなデバイスがつねにコンタクトを取り合うようなネットワークの基礎を築いているんです。

こうした相互につながったデバイスたちは、司令塔としてのiOS 7を必要とします。ウェブ氏はWWDCよりずっと前に、アップルがiOSにこれらの周辺機器を集約するようなアプリを出すだろうと予測していました。彼はその想像上の機能を「Nightstand」(Newsstandを文字りつつ、電話やら時計やら本やらを置いておくナイトスタンド)と仮に名付けて、「物理的なモノのためのバーチャルなテーブル」と表現しました。iOS 7の新しいコントロールセンターがこの機能を果たすことは容易に考えられます。そしてAirDrop、AirPlay、Bluetoothの組み合わせは「PC周辺機器におけるUSBのように、スマートフォン周辺機器のエコシステムをつなぐ結合組織となる」とされています。


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もちろん、これはあくまで予測です。でもいろいろな意味で、今回のWWDCは新たなアップル・エコシステムの序章だったように感じられます。その世界はよりフレキシブルで、今までにないほど没入感のあるものになりそうです。未来のiPhoneやiPadは、単なる電話ではなくほとんど脳となって、たくさんのセンサーやハードウェアアプリからデータを吸い上げる司令塔として機能しつつ、そのインターフェースは周りの環境に合わせてリアルなモノのように変化する...そんなものになるんでしょうね。


Kelsey Campbell-Dollaghan(原文/miho)

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