NHK技研公開2013で見てきた次世代放送技術たち

NHK技研公開2013で見てきた次世代放送技術たち

バレットタイムを一人で撮影できちゃうなんて...。

6月2日まで、東京・世田谷にあるNHK放送技術研究所で開催されている「NHK技研公開2013」を見てきました。日本で唯一、放送機材の研究開発を行っている施設の発表会ゆえに、次世代を見据えた展示がてんこもり。

まずはこちらの「多視点ロボットカメラシステム」からどうぞ。9台のロボットカメラのレンズを1人の被写体に合わせることができるシステムで、カメラマンは1人でOK。それぞれのカメラのアングルが異なるため、『マトリックス』の銃撃シーンのような演出を簡単に撮影できちゃうそうです。

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NHK技研公開2013で見てきた次世代放送技術たち

こちらは、今後ISS(国際宇宙ステーション)に搭載される予定の宇宙用超高感度CMOSカメラ。ハイビジョンでありながら、0.005Lxという微少な光を捉えられます。レンズマウントは4/3型(マイクロフォーサーズみたい)で、コシナ製のレンズの明るさはF0.95。ISOでいうと10万以上の値にセットできるそうです。

NHK技研公開2013で見てきた次世代放送技術たち

一見、普通のヘッドフォンとスマートフォンに見えますが、実際に普通のヘッドフォンとスマートフォンでした。でもアプリが違う。NHKが開発している22.2チャンネルサラウンドの音声データを2チャンネルのヘッドフォンで再生できるんです。

実際に聞かせてもらいましたが、音に包まれている感がすごい! これでせせらぎの音を聴けるなら一瞬で癒やされそう!

NHK技研公開2013で見てきた次世代放送技術たち

大砲みたいなこの筒は「遠赤外線超望遠カメラ」。福島第一原発の中継時に600mmのレンズを使ったことから、600mm F2.0というこのレフレックスレンズの設計がなされたとか。反射鏡には遠赤外線の反射率が高い金メッキを塗布。柔らかい素材だから、汚れても拭いちゃダメなんですって...。

NHK技研公開2013で見てきた次世代放送技術たち

8インチの「フレキシブル有機ELディスプレイ」の解像度はVGA。この時点では「ふーん」と思っていましたが、解説員さんの「大きくすれば4Kもスーパーハイビジョンもいけるんですよ」「大きなテレビはご家庭に運び入れるのが大変ですが、これならポスターみたいに丸められるから、簡単に設置できるんですよね」でどきどき。

そっか! プロジェクタースクリーン大のシートそのものがテレビになっちゃうわけか! 一日も早く実用化をお願いします!

NHK技研公開2013で見てきた次世代放送技術たち

試作中の有機撮像デバイスがこちら。いわゆる撮像素子ですね。構造はといいますと...。

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...考え方はシグマのFoveonそのものじゃんか! 単板だけどピクセル単位でRGBの各色をフルに取り込めるあのセンサーじゃないか!

NHK技研公開2013で見てきた次世代放送技術たち

単板式のセンサーを使ったビデオカメラも、デジカメ同様ベイヤー配列のセンサーを用いています。ゆえにすべてのピクセルでRGBの色信号すべてを記録することはできません。

3CCDカメラなどと言われる3板式ならプリズムで波長の異なる光を振り分けて総天然色をフルピクセルで記録できますが、重くなる。スーパーハイビジョン対応カメラともなると、数十キロの重さになってしまうとか。

ホールなどに据え置くカメラとしてはそれでもいいそうですが、さすがに報道の現場に持ち込むのは無理というもの。でも、せっかくのスーパーハイビジョンですし、ハンディカメラであっても映像劣化の原因は極力排除したい。

そこで、このセンサーを開発しているそうです。

このお話を伺うまえに他のブースで小型スーパーハイビジョンカメラの生映像を見たのですが、ソフトな描写だなーと感じまして。圧縮ビットレートの問題か、先鋭化しすぎるのは目に優しくないためか、と考えていたのですが、まさかベイヤー配列のセンサーに原因の1つがあったとは。

そして近い将来、Foveon的なセンサーで動画が撮れるようになるとは。しかも現場で使うということは、高感度時でも低ノイズになるのでしょう。うわ。期待度高すぎる。

NHK技研公開2013で見てきた次世代放送技術たち

また、従来は視聴者を囲むかたちで22台(+サブウーファー)のスピーカーを配置していた22.2チャンネルサラウンドシステムですが、今回はプラズマディスプレイの周囲を囲むスピーカーアレイ&DSP処理によるフロントサラウンドシステムに。天井が高く、左右の空間も広い場所なのに、きちんと上下左右からのサラウンド感が伝わってきました。

しかしNHKが率先してサウンドバー的音響システムを研究しているとはびっくり。

まとめ。全体的な押しとして、スーパーハイビジョンを強く打ち出していました。8K4K解像度で撮影するカメラや表示するディスプレイだけではなく、衛星・地上波・光ケーブルなど様々な伝送システムや、低ビットレート時の画質劣化を抑えるための4K超解像技術などなど、バックグラウンドを支える環境も含め見どころがたくさんでしたよ!

技研公開2013[NHK]

(武者良太)