米政府が電話会社から全国民の全通話記録を毎日回収している疑惑発覚。元NSA職員「全社やってる」(動画あり)

「アメリカ国家安全保障局(NSA)はずっとこれをやってる。全社だ。1社だけじゃない。アメリカ全国民の通話データを回収し続けているのだ」―元NSA職員

米政府が大手携帯電話会社から全ユーザーの通話記録を回収していることが、英紙ガーディアンの調べで明らかになりました。たまたま同紙が独占入手した資料がベライゾンだっただけで他社も同じことをしている可能性は大です。その辺りはスプリント、AT&T、T-Mobileからのコメント待ちですが、NSAで40年近く働いた元職員ウィリアム・ビニー(William Binney)氏は翌日の番組で「全社だ」とあっさり言っちゃってますよ。

1日大体30億件の通話記録を回収してるんじゃないかな

というのが氏の見積もりです。むぉーーー30億件!!

そんな無差別に国民を見張るなんてことが、な、なぜ可能なのか? ...といいますと、9.11以来アメリカでは容疑がなくてもFISC(Foreign Intelligence Surveillance Court、秘密裁判所、外国情報活動監視裁判所)から令状が出せる決まりになって、それがズルズルと今も続いているのですね。

ガーディアンが入手したのはこのFISCの記録です。「7月19日までデータを押収する(基本的に)無制限の権限を米政府に与える」もので、発行の日付けは4月25日とあります。つまり現在進行形。

アメリカ国家安全保障局(NSA)は具体的に何を集めているのかと申しますと、裁判所命令ではベライゾンに対し、(i)海外通話および(ii)国内通話(市内通話含む)の「全通話詳細情報」と「通話のメタデータ」の供出を求めています。

裁判所の定義する「通話のメタデータ」とは...

発信・着信電話番号、IMSI(加入者識別子番号)、IMEI(端末識別番号)など通話が特定できる情報を含めた通話経路情報、トランク識別情報、テレカの番号、通話時刻、通話の長さなど

つまり誰がいつどこで誰に何分何秒電話したか、それを全部記録として提出しろってことですね。尚、通話の声の録音は含まれていません。

一番驚くのは権限が無制限だということで、FISAが出す令状は通常、疑わしいテロリスト・グループが対象だし、数字もある程度に限られています。それを無差別に記録してよこせっていうのは権利濫用ではないかと...。

これは1回限りの令状なのか? 他にNSAに加担してるキャリアはどこなのか? プライバシー侵害ではないの? 疑問で頭がいっぱいですが、こうしてる間にも国民全員、政府に監視され、盗み聞きされ、記録されているのでありました。

後日ホワイトハウスからは、米国内の通話記録回収は「テロリストの脅威から国家を守る上で必要不可欠な手段だ」との反論が出ましたが、国民からは「テロの脅威と言えば何でも許されるのか!」と怒りの声が上がってますよ。


「誰も盗聴なんてしてない。通話主の名前も知らない。
通話のメタデータを見てるだけだ」と力強く語るオバマ大統領

UPDATE:「AT&Tとスプリントの通話データも回収している」と複数の匿名ソースがWSJに語りました。電話会社だけじゃなく「ISPとクレジットカード会社からも集めてる」そうです。

「NSAはISPからもメールやサイト訪問といったインターネット利用のデータを回収している、と何人かの元職員は話している。さらにNSAはクレジットカード会社とも同様の関係をもっている、と3人の元職員は語っている」

クラウド会社のサーバーから直接情報収集しているPRISMプロジェクトも明るみになって、いやはや...網は広がるばかりですね...。

Guardian UK, The Blaze

関連:「FISA, Foregein Intelligence Surveillance Act, 外国盗聴監視法 - 外国諜報活動偵察法」マルチメディア・インターネット辞典

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satomi(Casey Chen/米版1、MARIO AGUILAR/米版2