3Dテレビの終わり

2013.07.06 20:00
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おしまい、終わり、ノーモア3Dテレビ。
米GizmodoのKyle記者がばっさり終わりと切り捨てる3Dテレビ。何故かというと...。


終わり。終了。チャンスもあったけどもうこれまで。ESPN(米大手スポーツチャンネル)が、3Dテレビ用のスポーツ番組の中止を発表した。3Dテレビ用の番組制作よりも、スポーツ自体の高画質中継に注力を注ぐべきだと判断したのだ。この決定は、つまり3Dテレビが一般市場に出回り市民権を得るチャンスがなくなったことを意味する。

ESPNが手を引いたことによって、3Dテレビが成功するのはほぼ不可能になったと言っていい。なぜなら、人々が映画以外で3Dを求めるなら、それはスポーツだからだ。

3Dテレビが初めに騒がれ始めた2010年に行なわれた調査によると、61%の人が3Dテレビで最も見たい番組にスポーツを挙げていた。映画の3Dは、スポーツに比べて大きな問題はないだろう。3D Blu-rayとしてコレクター版なんかを作ればいいし、何より映画館では3Dもそこそこの成果をあげている。

テレビという媒体で、スポーツ以上に3Dに適しているものはない。スポーツは実際に3次元で行なわれるイベントなのだ。現実で起きていることだから当然なのだが。ドラマだってバラエティだって現実で起きていることではあるが、スポーツに比べると奥行きや眺望を再現する必要は極めて低い。

また、従来のテレビ番組のデータベース化が進む中でも、3Dは頭を悩ませる問題となっている。通常ディスプレイ用に、様々な視覚効果が施されているため、とにかくそのデータが複雑なのだ。

しょうもない3D効果ならばなくてもいい。スポーツ中継では、どう3D化するのか。常にフィールド全体を3Dで映すというのか? 

スポーツを見る時、例えばバスケならダンクシュートを決める様子を、サッカーならパスをもらいシュートする様子を見たいのだ。試合の華となるその劇的瞬間を特殊技術を凝らしてまるで生で見ているように立体的に見たいのである。(それも、そもそも3D映像に興味があれば、の話だが...。)

現在のテレビのスタイルでは、実現は不可能だろう。テレビのスタイル、つまり現在の最先端技術で行なえ一般に提供ができる範囲では無理だろう。3Dや、もっと言えば3Dグラスでは、思い描いた絵はまだ見えてこない。

例えば、スポーツやアニメを見ている時に、Twitter等のSNS上にはリアルタイムでその話題やGIF画像が出回っている。これは、数年前と比べて新たに変化したテレビ視聴スタイルだと言える。一方、3Dはこの数年で大きく変わったか? 新たなスタイルを生み出したか? 例え3Dグラスが未来ガジェットとして試すに値するものだとしても、テレビ視聴という点では大きく変わるのだろうか? むしろ映画やスポーツ観戦中に、自分の意志で手を伸ばすのではなく投げ込まれてくる情報なんて、うっとおしいだけではないだろうか。

ESPNのように、誰もが3Dテレビを諦めれば、そうすればあるいは、本当に実用性のある効果的なテレビ技術の発展方向が見えてくるのかもしれない。例えば4Kテレビがある。(これが一体いつ一般市場で現実的な価格になるかはわからないけれど。)例えばSmell-o-Vision(スメロヴィジョン)があり、悪くないかもしれない。他にも、まだまだ我々の知らない、考えつかないような技術があるかもしれない。まだ真剣に研究されていないアイディアの原石があるかもしれない。

透明の窓のようなスクリーン、畳んでポケットにしまえるようなディスプレイ、壁や棚の中からスライドして使うディスプレイ。アイディアは無限にあるのだ。もしかしたら、超巨大ディスプレイが安価で制作できる技術が生まれるかもしれない。つまり、何が言いたいかというと、技術発展を望むならこれ以上3Dに無駄な時間を費やすべきではないということ。3Dは終ったのだ、次のまだ見ぬ技術へと時間と力を移していくべきなのだ。

3D技術を諦めるのは、技術を諦めることだ、そう言ってしまうのは安易すぎる。1つのことを前進させることのみにとらわれてはいけない。技術開発の目的が技術を高めることになってしまっては、新たに何かを生み出すことはできないのだ。3Dテレビが素晴らしい技術であり、従来のものとは一線を画すのは間違いない。しかし、それが未来の我々の新たなテレビ視聴スタイルを生み出すものかと問われると、首を横に振らざるをえない。つまりそういうことなのだ。


なるほど、Kyle記者の意見に個人的に共感するところが多くあります。しかし、Kyle記者が比較的楽観視している3D映画も、私は疑問を感じることがありますけれどね。映画館で同じ映画が2D/3D上映されていれば、2D映画を選びます。眼鏡がうっとおしいのもありますし、値段の差ほど感動がないというのもあります。

映像における視覚効果の発展には、もちろん目をみはる素晴らしさがあります。映像をより劇的に展開するためには欠かすことができない存在でしょう。アニメーションの技術も頭が下がる思いです。

しかし、本当に映画にとって大切なのは何か。それはストーリーと役者に違いないのです。ストーリーや役者の前に、技術力を前に出して売り出すのには疑問を感じ得ない。
「トイ・ストーリー」のアニメーション技術は素晴らしい。しかし、多くの観客が涙し感動を覚えたのは、その技術力ではなくオモチャ達の生き様です。映画での技術は、あくまでもストーリーを支えるポジションでなくてはならない、主役になってはならない。

そういう意味では、下手な最前線の特殊効果よりも、「シングルマン」で画面全体の色味をシーンによって変化させ、コリン・ファースの心情を表した従来から存在する技術の方が、視覚効果としての価値は高いと感じます。

絵が動く。初めて動画を見た人が感じたインパクトに勝る技術がこれから生まれる日を待ち望んでいます。


そうこ(KYLE WAGNER 米版

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