グッゲンハイム美術館のアトリウムを光の魔術にかける、ジェームス・タレル個展「Aten Reign」

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ふだんは煌びやかな照明と多くの人々で溢れかえっているグッゲンハイム美術館(ニューヨーク)のアトリウムで、「光の魔術師」と呼ばれるジェームス・タレルの個展が6月下旬から始まりました。ここに訪れた人々は、コバルト色の薄明かりに満たされたアトリウムを囲むようにして佇みながら、タレルの施した天窓をじっと見上げています。

今回の作品「Aten Reign」は、10年近くの製作期間を経て今回ようやく公開されました。建築家フランク・ロイド・ライトの傑作として知られるグッゲンハイム美術館のドームを、円形の天窓からほのかに満たしてゆく光の世界。70歳になるタレルは、製作者やキュレーターたちと何年も時間を積み重ねてきました。

印象的なチューブ形状は、鉄のリングにぴんと張った布で作られています。また、カーブを描くバルコニーはさらに不透明な布で覆われ、マルチカラーの薄明かりで空間全体を包み込みように設計されています。

影を生みだす光の色は、およそ60秒ごとに移り変わっていきます。しかし、その変化を知覚することはできません。「ついさっきまでイヴ・クライン・ブルーのような深い青だったはずが、いつの間にか明るいコーラルブルーになっていた」と、突然気づくだけなのです。

作品名として使われている「Aten」は、紀元前14世紀のエジプトでアメンホテプ4世(アクエンアテン)統治の頃に崇拝されていた古代エジプトの太陽神。光の円盤が何層にも重ねられたアトリウムを見れば、この名前は文字通りの意味をなしているといえます。

しかし、その神々しさはビジュアルだけにとどまりません。この作品を展示するためにはグッゲンハイム美術館を一時的に閉館しなければならず、さらに費用面でも莫大な金額がかかるのです。芸術の世界でこれだけのパワーを発揮できるアーティストはなかなかいないのではないでしょうか。

彼は自分の作品について、淡々とこう語ります。

「かつて誰かに『一番好きな色は何か?』と訊かれたことがある。それは、あなたに一番好きな音色を問うようなものだ。(その曲を構成する)すべての音色が必要なのに

たとえば作品を構成するツールも同じ。音楽にとってギターはどんな存在なのか。光にとって天窓はどんな存在なのか。「シンプルなことなんだよ、本当に」と、タレルはつけ加えています。グッゲンハイム美術館での「Aten Reign」展示は、9月25日まで。

グッゲンハイム美術館のアトリウムを光の魔術にかける、ジェームス・タレル個展「Aten Reign」 1

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グッゲンハイム美術館のアトリウムを光の魔術にかける、ジェームス・タレル個展「Aten Reign」 3

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Kelsey Campbell-Dollaghan(Rumi 米版