影を完全排除したiOS 7、ほんとにこれでいいの?

2013.07.05 18:00
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「フラットデザイン」で影が消えちゃったけど、あった方が見やすく使いやすいと。

iOS 7は、ジョナサン・アイヴ氏を新責任者として「フラットなデザイン」で一新されました。かなり大きく変わった分、そのデザインについてはギズモードでもすでに疑問視する声が出ています。今回、デザインのバックグラウンドを持つオーストリア在住のプログラマー、ファビアン・ピミンガーさんは、ユーザーインターフェース(以下UI)から影が完全になくなったことについて異を唱えています。

以下はファビアンさんの許可により、彼のブログ(Webサイトはこちら)から米Gizmodoに転載された内容です(強調は訳者が追加)。

今からちょうど1年前には、「Skeuomorphism」(訳注:レザー調ステッチや紙の素材感など、アナログの事物の外観をデジタルの世界で使う手法)とか「フラットデザイン」といった言葉を知っている人はほとんどいませんでした。iOSとかOS Xの一部のアプリのレザー調デザインについて不平を言ってはいましたが、全般的にiOSのUIには問題がなかったんです。でもこの前のiOS 7の発表で、全てが変わりました。フラットデザインが、突如みんなが興味を持つ新しいスタイルになったんです。

グーグルはこの新しいデザイン・ムーブメントをうまく切り拓いてきましたが、アップルはどうでしょうか? アップルは、あわててSkeuomorphismの王者だったスコット・フォーストール氏を解雇し、ジョニー・アイヴ氏に替えることで、iOSにミニマルでフラットなデザインを持ち込もうとしたように見えます。

iOS 7は、アップルのモバイルOSにおいてiPhoneの登場以来最大の変化となりました。アプリからはヘビーな装飾や、素材感のある背景や、リッチなドロップシャドウや大きなボタンが消え去りました。代わりにiOS 7を特徴付けているのは、カラフルで軽いグラデーション、影の欠如、たくさんの白い空白、リッチで押したくなるようなボタンがないこと、です。僕は、いくつかの変化(レザー調がないこととか)は称賛すべきだと思いますが、ジョニー・アイヴ氏(とそのチーム)が下したデザイン上の判断について、多くはどうも腑に落ちないんです。


シャドウの意義


アップルはiOS 7からドロップシャドウを完全に排除しました。それ自体には、良い面もあると思います。というのは、アップルがこれまでシャドウを使い過ぎていたからです。カレンダーのアイコンは、iOS 6と比べて改善した良い例だと思います。


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影あり過ぎでした。


でもアップルは、OS全体から全ての影を消し去ってしまいました。それはそれで問題です。僕には、彼らがどうしてフラットなUIにおいては影が「許されない」という考えに至ってしまったのか、わかりません。影があることで2つのオブジェクトを見分けやすくなりますし、場合によっては、あるものが別のものの上にあることが理解しやすくなったりもします。ユーザーに対して、要素の上下関係を伝えるのに役立つんです。たとえばカレンダーのアイコンであれば、赤いバー部分が白い紙部分の上にあるのが見て取れます。


新ホームスクリーン


新しいホームスクリーンについても見てみましょう。従来は、アプリアイコンに影が付くことで、カスタマイズした壁紙との見分けが楽にできていました。ユーザーが自由に壁紙を替えられるようになって、影が不可欠になったんです。どんな背景でもそこから見分けやすいようにアイコンに影を付けるのは、OSの義務とも言えました。なので従来のiOSでは、このために影が使われていました。アイコンがたまたま背景と同じ色だった場合、(明るめの)ドロップシャドウがあることで見分けやすくなっていました。iOS 7ではどうなるか、白と黒(または非常に明るいか暗い)背景を使った場合で見てみます。


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iOS 7で壁紙を白(または黒)にした場合。


ご覧の通りです。「影なし」ポリシーのおかげで、カレンダーアイコンとか時計といったアイコンが背景に溶け込んで、見えにくくなっています。アイコンと壁紙の間に、はっきりした、または見やすい差がないんです。でも最初のうちは、これは大した問題じゃないように思えます。だって壁紙を真っ黒とか真っ白にする人なんてどこにいるんだろう? と。たしかにそうなんですが、でも少し使ってみて、これこそ新しいホームスクリーンのルック&フィールをおかしくしている大きな要因だと気づきました。

ユーザーは、開こうとするアプリを素早く見つけてそこに焦点を定めなきゃいけません。新しいホームスクリーンには影がなく、アプリアイコンと壁紙の違いがわからないので、このことが従来よりずっと難しくなっています。これは白黒の壁紙だけの問題じゃなく、新しい鮮やかなアイコンと同じ色の壁紙の場合にも言えることです。

この問題の解決は、そんなに難しくないはずです。アップル自身が、数年前にドロップシャドウを使うことでこれを解決しています。エッジ周りにかすかな(グレーの)グラデーションを入れれば、ユーザーはインターフェースを格段に理解しやすくなります。


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こんな風にずっと見やすくなります。さらに写真を壁紙にした場合、かすかな影がどれだけ役立つか、次のモックアップで見てみましょう。


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ちょっとした変化ですが、大きな効果があります。右側のモックアップの方が、アイコンを見つけやすくなっています。僕はこのモックアップで、アプリ名にも薄い影を入れました。アプリ名も、特定の状況では読みづらくなっていたからです。


地図


アップル独自の地図アプリでも、影は完全に消えています。下の白いバーは、地図レイヤーの一番上にあります。地図自体にもかなり明るい色が使われているので、我々の脳には地図とコントロール要素を見分けるのが難しくなっています。でも上のホームスクリーンで使ったのと同じ影を加えれば、地図とコントロールパネルの境界がぐっと見えやすくなります。

僕はさらに、住所/検索入力ボックスにも影を入れました。影なしだと、そこに対してクリックしたり文字を入力したりといった、何かしらの操作ができるように見えないからです。

こんなふたつの基本的なことだけで、時間もほとんどかかりませんでしたが、違いはこんな感じです。右がモックアップです。


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まとめ


アップルが最新UIでなぜ影を完全に消してしまったのか、本当にわかりません。グーグルや他社ではかすかな影でUIの質を高めて、ユーザーにとってわかりやすいものにしているのに、アップルはこのシンプルかつパワフルな手法を忘れてしまったかのようです。

どう思われますか? ご意見のある方はぜひ、こちらへのツイートか、下のコメント欄にお願いします。


Fabian Pimminger(原文/miho)

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