ロシアのビーチに出没の軍艦、その正体とは?

ロシアのビーチに出没の軍艦、その正体とは? 1

世界最大のボディに高い攻撃力。

先日、ロシアのビーチに突如出没した軍艦、厳密にはホバークラフトは、ただのホバークラフトではありませんでした。それは、ロシア艦隊においても世界全体においても、もっとも大きなホバークラフトだったんです。

その地球最大のホバークラフト「ズーブル」が最初に設計されたのは冷戦時代で、サンクトペテルブルクの造船会社「アルマース」が作りました。ズーブルは全長約57.3m、全幅約25.6m、吃水は約2mあります。この船には主力戦車(各150トン)3両、または装甲車10両プラス兵員140名、または歩兵戦闘車か水陸両用戦車8両、はたまた兵員360名を貨物エリアに積めば合計500名が搭載可能です。

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ズーブルは他国沿岸での揚陸作戦、そして沿岸への機雷敷設に特化して設計されています。そのため高温の100kWガスタービンエンジンと直径約5.5mの可変ピッチプロペラ4枚が稼働し、最大速度は60ノットに達します。

 

貨物スペースは約400平方mあり、ふたつの仕切りで3分割されています。中央には装甲車が収まり、後方には発電装置、そして前方には乗員31人(将校4名、兵卒27名)が乗り込んでいます。水兵がファンのうなりでおかしくならないように、船員室は音や振動を遮断する作りになっています。また密閉が可能で、NBC(Nuclear=核、Biological=生物、Chemical=化学兵器)攻撃への耐性もあります。

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興味深いことに、ズーブルは自ら設置する機雷への耐性もあります。合金の装甲と動的磁気システムが船体の磁場だけでなく、船上に積んだ機雷の磁場もキャンセルします。さらにズーブルには電波妨害装置や、レーダーのおとりとなるチャフ・ランチャーも搭載されています。

さらに攻撃面では、固定ロケットランチャー1対、超音速(マッハ1.5)で約6km先までを射程に入る対空ミサイルランチャー「Strela-3」、SA-N-5「Grail」と呼ばれるクアッドランチャー(映画『コマンドー』みたいなやつ)数台、140㎜ 「Ogon」ロケットランチャーにロケット弾132砲、さらに1分間に5000発発射可能な近接防御火器システム「AK 630」2基搭載、とてんこ盛りです。

現在では冷戦も終わり、ズーブルが最初に配備された1988年に比べればそんな攻撃力の必要性はだいぶ低くなっています。なので今これを現役で使っているのはロシアとウクライナ、ギリシャ海軍のみで、その数はたった9隻しかありません。

そういう意味でも、あのビーチ出没事件はかなり珍しい光景だったようです。

WikiNaval TechAlmaz

Andrew Tarantola(原文/miho)