映画「スティーブ・ジョブズ」レビュー:「え! そこで終わるの…?」

映画「スティーブ・ジョブズ」レビュー:「え! そこで終わるの…?」 1

え! そこで終わるの…?

これが、11月に公開予定の「スティーブ・ジョブズ」を観終った直後に思ったことです。アップルの創業、発展を描いているので、必然的に焦点が当たるのは60年代~80年代くらいだとは思うのですが。

アシュトン演じスティーブ・ジョブズは…なんか…阿修羅みたいでした。とってもセクシー、その存在感は群を抜いています。背も高ければ顔立ちも端正、そして発するオーラはケタ違い。「臭い」とクレームがあっても(仕事に没頭するあまり身体を洗っていないため)、清潔感が漂うほどの美しさ。その美しい身体をもって、ずっと怒ってるんですよね。しかも、その怒りが客観的に正しくなくても結局「正義」として突き通す。どんなに間違っていても、結局ジョブズが言っていることは全部正しかった、というように描かれています。あくまでジョブズに焦点を当てた映画なので、必然といえば必然なのですが、これはウォズがゲンナリって言ってしまうのもわかるな…と。

音楽はとてもかっこいいです。とくに冒頭の方でやんちゃをするシーンがあるのですが、そこの映像と音楽の組み合わせは本当にかっこよかったです。トリップするってこういう感じなんだ~、みたいな。作中でジョブズがリラックスしている数少ないシーンです。

ガジェットはほとんど出てきません。もちろんApple I、Apple IIの完成、そしてウェスト・コースト・コンピュータ・フェアーの様子などはとても興奮します。「こんなにハンドメイドな感じなんだ!」と、感動すら覚えます。個人的にはiMac G3、iPodの登場なんかを期待していたのですが…iMac G3は若き日のジョニー・アイブが描いたデザイン画として登場するくらい…で終わり。

全体としては、阿修羅のようなアシュトン演じるジョブズがゲームをクリアしていくかのように、会社という組織を生き抜く…という感じでしょうか。テクノロジーの話よりも人間関係にひたすら焦点が当たっている感じです。折衝、出し抜き、裏切り…ずっとその繰り返しです。そんなヒューマンドラマに合わせて展開される時代背景は音楽や衣装によってとても巧みに描かれている気がしました。60年代から00年代という40年の時の変化を味わえます。

映画「スティーブ・ジョブズ」レビュー:「え! そこで終わるの…?」 2

でも、最後にひとつだけ言わせてください。あの憑依ぶりがとても話題になったアシュトン。本来、サラっとした髪の毛が美しいアシュトン。そのアシュトンがあんなに役作りにのめりこんだ近年のジョブズのシーンが……ものすごく少ない。そこが見たかったのにー! 役作りの意味は…と、思ってしまうほど少ない。ウォズが米ギズでコメントを残していたように、iプロジェクトのことはほとんど、全くと言っていいほど描かれていません。これから…というところでブチっと終わってしまいます。

続編がありますように。