アウラの喪失はここまで来たか…3Dプリンタでゴッホたちの絵画を複製できるようになりました(動画あり)

ベンヤミン氏はどう思うんだろう。

ドイツの批評家であるヴァルター・ベンヤミン氏は「複製技術時代の芸術」という本において「芸術作品が技術的に複製可能となった時代に衰退してゆくもの、それは芸術作品のアウラである」と述べていました。

ここで言う「アウラ」とはいわゆる「オーラ」のことで、舞台やすぐれた芸術作品から感じる「わぁすごい!」という力のことでした。「一回性」とか「唯一無二」というような性質によって担保されるその神聖さは、複製されることによって失われていく…というような話だったかと思います。

この「複製技術の芸術時代」という本が書かれてから約80年が経とうとしている今、絵画はほとんど完全に複製できるようになったみたいです。3Dスキャン、プリンタによって。

アウラの喪失はここまで来たか…3Dプリンタでゴッホたちの絵画を複製できるようになりました(動画あり) 1

オランダの研究者であるティムザーマン氏はクレラー・ミュラー美術館とアムステルダム国立美術館の協力のもと、絵画の筆の跡や質感、陰影までをもをキャプチャすることができる3D重複技術を開発しました。

また、スキャン後にキヤノンOCEグループの高解像度600ppiの3Dプリンターを使って、筆跡・塗料の隆起までをも再現したレンブラントやゴッホの名画の複製に成功しました。

実はゴッホの作品が3Dプリントされるのは今回が初めてではなく、8月にはゴッホ美術館と富士フイルムが共同で開発した「Relievo」という技術によって「ひまわり」、「収穫」などの260点もの作品が再現されました

ベンヤミン氏も1935年当時、複製技術の登場によって芸術は新しい一面を帯びる、というような可能性を示唆していました。3Dスキャン、プリントという新しいテクノロジーによって芸術はあるものを失い、また同時に何か新しい価値を作っていくのかもしれません。

designboom米版

(嘉島唯)