死後40年経ってから完成した、近代建築の巨匠ル・コルビュジエ設計の教会

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建築に少しでも興味がある人なら必ず知っている建築家、ル・コルビュジエ。彼の一番有名な作品は、サヴォア邸でしょう。レゴアーキテクチャにもあるくらいです。

でも私は、フィルミニ(フランス)にあるサン・ピエール教会を推したいと思います。コルビュジエは、このサン・ピエール教会で、コンクリートに色を塗るだけでステンドグラスのような効果を生み出しています。

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コルビュジエは、1965年に亡くなりました。この教会の建設が始まる5年前です。そして、財政的な問題などにより、完成したのは2006年でした。没後41年です。実際に建物を完成させるための実施設計を行ったのは、コルビュジエが生きている時代から計画に参加していた、ジョゼ・ウブルリーです。

サン・ピエール教会の建設は、フィルミニ・ヴェール(緑のフィルミニ)と呼ばれる計画の一部でした。この計画では、鉱山と産業の街だと思われていたフィルミニの印象を変えることが期待されていました。

計画の一環として、コルビュジエはサン・ピエール教会の他に、学校、プール、競技場、集合住宅(ユニテダビタシオン)などを設計しています。それらは全て、打ちっぱなしのコンクリートに鮮やかな色が塗られています。

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そんなコルビュジエ建築群の中でも目玉となっているのが、このサン・ピエール教会です。教会に入るとまず、目が暗さに慣れていきます。そして、同時に差し込む光に気がつきます。それぞれの面が様々な色に塗られており、色づいた光線は磨かれたコンクリートの床に当たります。

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祭壇の背面には、全く違った仕掛けがあります。ここには、コップくらいのサイズの丸い穴が開けられており、まるで星がきらめいているように見えます。

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天井には、光の差し込む穴「ライト・コーン」が開けられています。ライトコーンの内側も、それぞれ違う色で塗られています。

天井にランダムに開けられたこの穴により、教会の中では太陽の動きを感じとることができます。私が訪ねた日は寒い日でしたが、天井から差し込む黄や赤の光を浴びると、ヒートランプの下に立っているような心理的な暖かさを感じることができました。

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太陽が動くと、色のついた光が床や壁の上をなめるように動きます。私は、青い光が信者席を移動していくのを見ながら、2階席に長い間座っていました。

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サン・ピエール教会は間違いなく素敵な教会です。しかしこれをコルビュジエの作品に数えていいものでしょうか。この建物が竣工したのは、コルビュジエの死後41年後です。

建築家は、実際に手を動かして建築を作るわけではありません。そのため、図面を描いたら、それはその人の作品だという考え方もあります。しかしこの教会では、コルビュジエが設計した時代にはなかった技術や材料を用いています。壁や窓のサイズも変更されています。

実施設計を行ったジョゼ・ウブルリーは、「もしコルビュジエが生きていたら、当時なかったプレキャストのコンクリート使うことを認めてくれただろう」と話しています。「ル・コルビュジエという人は、いつも新しい技術を試すことに貪欲だった」とも。

しかし誤解しないでいただきたいのは、「この建築を完成させるために新しい技術が必須だった」というわけではない、ということです。サン・ピエール教会は、コルビュジエが生きていた時代の技術でも、時間をかければ十分に完成させることができました。

「サン・ピエール教会は、コルビュジエの作品なのか」

この問いに対する答えは、建築のどこを重視するかによって答えが変わります。私は、実現する手段は変わっていたとしても、コルビュジエのアイディアがたくさん詰まっているこの教会は、ル・コルビュジエの作品だと思っています。

mio (米版