IBMのスパコン・ワトソン、アメリカの医療改革に挑む

IBMのスパコン・ワトソン、アメリカの医療改革に挑む 1

クイズ王に勝てるなら、お医者さんにも?

アメリカの医療制度についてはオバマ大統領が改革に取り組んでいますが、違う角度からがんばってる人とコンピューターもいます。クイズ王に勝利して話題となったIBMのスーパーコンピューターワトソンは、医師不足への解決策になろうとしてるんです。

ワトソン君は今までにもいろんな仕事を与えられてきました。お菓子職人とか、ウォール街でのアナリストとか、カスタマーサービスの自動応答システムとか、いろいろやってきました。でもワトソン開発チームが去年から取り組んでいるのは、医療スキルを身に着けさせることです。ワトソンに書籍を与えて診察の基本的な考え方を覚えさせて、電子化された医療記録データを理解できるよう学習させようとしてるんです。

ワトソン君はすでにニューヨークのスローン・ケタリング病院のビジネス面でトライアル的に使われています。実際の医療行為より、事務的なことの方が何かあっても訴訟のリスクが低いですからね。でもこれからワトソン君は、ニュージャージーのクリーブランド・クリニックの医療の中で使われる予定です。予定は3年で、ワトソンの目標は患者の記録を見て医師に重要なデータを指摘してあげたり、さらに自分で診察もしたりができるようになることです。

お医者さんてどこの国でも忙しすぎて、細かい情報を十分に読み込む時間がなかったりします。一方で医療記録はどんどんデジタル化してるので、コンピューターが読みやすい環境は前よりずっと整っています。なのでこの分野でワトソンを使うのは、すごく理にかなってます。今のところワトソンは、医療記録を要約して患者の医療歴のまとめを医師に渡す仕事をしています。クリーブランド・クリニックのニール・メータ医師によれば、すでに効果が出ているケースもあるそうです。

2、3の患者では、ワトソンが私の見落としたデータを見つけてくれました。毎回そうはいきませんが、だんだん良くなってもいます。

ただ、課題ももちろんあります。IBMは、医療記録データがかなり「汚い」ことを公然と認めています。つまり、抜けているデータがあったり、普通使わない代替用語が使われていたりして、人間には問題なくてもコンピューターにとっては混乱の元になります。

それでも、ワトソンに医師の仕事の一部を肩代わりさせることで現状を改善できる可能性があるなら、試してみる価値はありそうです。

Verge

Jamie Condliffe(原文/miho)