米政府閉鎖を予言した数学教授、その数理モデルとは?

米政府閉鎖を予言した数学教授、その数理モデルとは? 1

オバマケアをめぐる土壇場の小競り合いで政府閉鎖なんて、まったく世の中どうかしてますけど、こうなることを前からお見通しだった数学教授がいます。

その名はピーター・ターチン(Peter Turchin)教授。複雑系の数学を政情不安に応用する研究で得た公式で、こんな状態に陥ることはわかっていたっていうんですね。ニュー・サイエンティスト誌はこう解説しています。

ローマからロシアまで帝国・国家を揺るがす政治不安・機能停止には2~3世紀ごとの歴史的周期と思しいものがあることにターチンは気づいた。

歴史的データを数理モデル化してみたところ、人口増加につれ労働者の数は働き口の数を抜き、賃金水準を押し下げいくことがわかった。賃金水準が下がると金持ちのエリートの経済的取り分はむしろ増え、経済格差が急速に拡大する。 その良い例が米国だ。1970年代以降、米国では国内総生産(GDP)が順調に伸びているのに賃金水準は伸び悩みが続いている。

このプロセスはやがて、新たな方向に展開を始める。 高等教育を受ける人が増え、エリートに仲間入りできる人が一握りとなり、エリートの地位はますますバブってゆき、そうして最終的にはターチン教授が「エリート過剰生産(elite overproduction)」と呼ぶところの状況に陥る。つまり、エリート人口がトップ職を数で上回るのだ。

で、どうなるのか? 

金持ちはますますプラスがプラスを呼ぶ円環ループで金持ちになっていくんですけど、そうこうするうちエリート内に派閥ができて、喧嘩を始めるんです。イデオロギーの差を争い、一歩も譲歩しないと相手をなじる―こうなるともう本当にどうしようもありません。結果アメリカではこんな「政府やめちまえ状態」になっているというわけですね。

ターキン教授は人口ひとり当たりの経済産出量、労働力の需給バランス、富の再分配に対する態度といった要素を統合する理論に基き、ある式を立てました。その方程式で出たカーブは実際の1930年代からの賃金の推移を示すカーブとぴったり重なったのだそうですよ? 1980年以降のボラティリティ(変動の激しさ)考えたら、それってすごいですよね。

そろそろ悪いことが起こるという予想がありながら、国会に届かなかったのは残念です。届いて止まる国会ならとっくの昔に止まってるよ、と思わないこともないですが。

[New Scientist]

JAMIE CONDLIFFE(原文/satomi)