切った耳が生え戻る。ウルヴァリンの遺伝子見つかる

131108HealingGene.jpg

人体の奥深くにはありとあらゆる種類の遺伝子があって、年数とともにON/OFFが切り替わるのですが、そもそもの始まりに身体の成長を司る遺伝子もそのひとつ。

ここにもしや臓器・四肢再生を可能にする魔法のコードが眠っているのではないか、と科学者たちが探す中、それらしきものが見つかった、と言ってる人がいます。

それはハーバード大学医学大学院の研究員ジョージ・デイリー(George Daley)さん。それも見つかったのは偶然なんだそうですよ?

デイリーさんがラボでマウスたちの耳やつま先を切るという、まあ、かなり残酷な個体識別技法を施していたところ、「おや?」と妙なことに気づいたのです。他のマウスと違い、そのマウス君たちは、切って何日か経つと、耳やつま先が元通り生え揃っていたんです…。

なぜか?

実はこのマウス、子宮内での成長を促す遺伝子が誕生後も機能するよう遺伝子操作したマウスなんです。成長はある意味ずっとOFFにならない。この遺伝子の名前は「Lin28a」。これが代謝をブーストすると、身体は実年齢より若い風に錯覚してしまうんですね。

これは大朗報でありまして、身体のパーツもこの遺伝子で元通り育てることができる、とデイリーさんのチームでは断言してるんですよ。

しかしながら氏のアプローチには限界も。科学誌サイエンティフィック・アメリカンはこのように述べています

これまでのところ、Lin28aは単に有効期限が長くなっただけに思える。マウスも5週間の乳児期を過ぎると、もう遺伝子を刺激しても四肢は再生できなかった。Lin28aをアクティベートしたマウスも、心臓に受けた傷は治せない――つまりこのタンパク質は身体の全部位に均等に効力を発揮するものではないことがわかる。

そんなわけで、Lin28aで耳や指がニョコニョコ生える現象が確認されたことは確かなのですが、効き目は永久じゃないし、身体全体に行き渡るものでもない、と。

でも諦めるのはまだ早いですよ。他にも魔法のコード候補の遺伝子は沢山あります。特定の代謝プロセスを操作することで身体の治癒能力がコントロールできることが今回わかったのですから、その流れで関連する遺伝子を当たることもできます。つまり絞り込みができたことに。

四肢が生え戻る未来なんてまだまだ遠い先の話でしょうけど、一歩前進ですね。Lin28aの基礎研究だって、傷の治りを早めたり良くする新薬の開発にとってはものすごく重要なことだし。まさに「ウルヴァリンの遺伝子」かと。

Scientific American

ADAM CLARK ESTES(原文/satomi)