イカスミから電池ができた! 食べる医療機器の電源として開発

イカスミから電池ができた! 食べる医療機器の電源として開発 1

歯を黒くするパスタだけじゃない、ハイテクなイカスミの使い方。

ちょっと前の話ですが、クレイジーな医療機器が誕生しました。それは小さなロボットが血管に入り込んで、動脈の詰まりを除去するってものです。他には飲み込んで使う健康管理デバイスなんてのも考えられてます。ただそこで大きな課題になるのが、そのデバイスを動かすための電源をどう確保するかってことです。だって普通の電池を飲み込んだら危険ですから。

そこでカーネギーメロン大学の研究チームが、コウイカのスミから取り出したメラニンを使って、食べられる電池を開発したんです。その電池は飲み込まれた後、仕事が終わったら人体に害を及ぼさずに溶けてしまいます。「リチウムとか有害な電解質は有能ですが、体内で使うのには不向きです。そこでで我々は生物由来のシンプルな素材を選んだのです」。研究チームを率いるクリストファー・ベッティンガー教授は、MIT Technology Reviewでこのように語りました。

たしかにその設計は非常にシンプルです。その電池はコウイカのスミを陰極として使い、そこで酸化マンガンでできた陽極と電子をやりとりします。初代食用電池は、食べられない普通の電池と比べればそんなにパワフルじゃないですが、シンプルなセンサーの電源としては十分です。

このイカスミ電池を使うと、たとえばこんなことも可能です。胃を通るとそこで成分を壊されてしまう薬。たとえば関節炎の薬なんかは今は直接飲み込めないので注射しなきゃいけないんですが、イカスミ電池とセンサーを搭載したピルデバイスを作ってそこに薬を入れれば注射が要らなくなります。ピルが胃を通過して腸に着いたところでピルを開けて薬を拡散すればいいので、成分が壊れることなくきちんと吸収されます。

実は食べられる電子機器は今もあるんですが、既存のものはすごくシンプルか、すごく複雑で手術で取り除かなきゃいけないかのどちらかです。たとえば、シンプルな化学反応をエネルギー源とするピルがあって、それは患者の腕にあるパッチに信号を送るんですが、その信号は患者がいつ薬を服用したかっていう基本的な情報のみです。イリノイ大学のジョン・ロジャース氏らは、人体内で溶けるデバイスを他にもたくさん作っています。

イカスミ電池はまだ初期のデザインですが、ベッティンガー教授はこれから違うタイプのメラニンも使ってみることで、電池容量をもっと大きくしようと計画しています。こういう食べられるテクノロジーが、医療や健康管理を変えていくんでしょうね。

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Technology Review

Adam Clark Estes(原文/miho)