モトローラの良端末Moto X、グーグル子会社じゃなくなっても作れる?

モトローラの良端末Moto X、グーグル子会社じゃなくなっても作れる? 1

レノボの器とモトローラの実力が問われます。

グーグルがモトローラをレノボに売却しました。グーグルの狙いもさることながら、モトローラがこれからどうなっていくかも気になります。特に米GizmodoではMoto Xを非常に高く評価していたので、「Moto Xどうなるの?」と気が気じゃありません。

そんなわけでMoto Xやその後継機の将来を米Gizmodoのライマー記者が(やや希望的に)占ってます。以下どうぞ。

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グーグルがモトローラを売却した理由はいろいろ考えられます。モトローラが持っていた特許の多くがグーグルの手元に残されたので、結局それが狙いだったのか、とも言われてます。モトローラを抱えていると、グーグルにとってはパートナーであるAndroid端末メーカーとモトローラが競合してしまうので、そこへの配慮もあったかもしれません。でももっと気になるのは、Moto Xがどうなるかってことです。

Moto Xこそ、Androidを初めて万人向けにした端末でした。他のAndroid端末メーカーがAndroidにかぶせるスキンやら独自ソフトウェアはたいてい邪魔なだけでしたが、Moto Xのそれは違いました。そして他社のフラッグシップ機がSnapdragon 800搭載の強面なのに、Moto Xはあえてスペックをミッドレンジに抑え、それでも使いやすく優れた端末になっていました。そして、今までにないやり方でハードウェアのカスタマイズを可能にしました。

それは、モトローラがグーグル傘下にいたから可能だったんでしょうか? それとも、レノボの下でも同じように魅力的な端末を作れるんでしょうか?

ハードウェア

レノボ製のスマートフォンはまだ世界的に販売されてはいませんが、悪くもありません。既存製品でも、デザイン的に魅力的なものを作ってます。レノボのスマートフォンはみんなに知られてはいませんでしたが、今回イチから参入するってことでもないんです。

でももっと考慮したいのは、レノボのスマートフォン以外の製品です。レノボは2005年にIBMからThinkPad事業を買収しましたが、ThinkPadはその後も十分同じ魅力を維持してきました。むしろこの9年間で徐々に改善して、よりすっきりスリムになり、ニッチを捉えながら伝統も守ってきました。なかなかできないことですが、レノボはそれをやってきました。

さらにレノボオリジナルのYogaシリーズもつねにベストなラップトップのひとつで、Windows 8をサポートするという課題に対してスマートかつシンプルなハードウェアで応え、成功しています。それは、Moto Xを生んだモトローラと同じように、デザインとイノベーションに熱心でなければできないことです。Yogaは頑丈なのにプレミアム感があるところもMoto Xと共通しています。レノボにはその手のことがよくわかってるんです。

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でも大事なのは、レノボがリスクを恐れていないってことでしょう。Windows 8が発売されたとき、端末メーカーには工夫が求められました。他のいくつかのラップトップが苦労する中で、レノボのラップトップは花開きました。それから、レノボはタブレットにキックスタンドを付けました。それはちょっと風変わりだったかもしれませんが、とにかくレノボがモトローラに対しどれだけ冒険させる気があるかってことが大事です。そしてこれまでのレノボを見ると、きっとやりたいようにさせてくれるんじゃないかって気がします。

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ソフトウェア

Moto Xの秀逸さは、ハードウェアだけじゃありませんでした。その魅力の多くはクリーンなソフトウェアにあります。Androidに変なスキンが付いてないだけじゃなく、キャリアから乗せてくるものもほとんどありませんでした。モトローラ(またはグーグル)が、余計なものを取り外しただけじゃなく、積極的になくしたんだと感じました。

ただ、そのクリーンな端末をパソコンのメーカーに引き渡すことには一抹の不安があります。ラップトップには、スマートフォン以上に余計なソフトウェアが付きものだからです。でもレノボのPCは、完全にゼロではないとはいえ、平均的なラップトップよりも邪魔者が控えめです。プレインストールソフトウェア断固反対というほどじゃないにしろ、しつこく勧めてくる感じもありませんでした。

もうひとつ良いニュースは、Yogaタブレットのスキンは他よりも良い方だったってことです。アプリはいくつかあり、独自ランチャーもありますが、Androidに対して呆れるほどの変更もしてません。

ThinkPadの例で見る限り、レノボは買収した会社の既存のやり方を尊重しています。変にレノボ色に染めようとはせず、その会社の色をより良く出すための手助けをする、そういうやり方がわかっているように思えます。だからきっと、これからもモトローラ端末がもっと良くなっていくことが期待できます。少なくともモトローラ端末を作ってきたのがモトローラ自身であり、グーグルが後ろで糸を引いてたとかじゃないなら、そう言えます。

イノベーションはどうなる?

ただ最大の疑問は、モトローラ端末がいかに「今までと同じ」であるかじゃなく、「もっと良く」なっていけるかです。Google Play Edition端末は端末メーカー各社のフラッグシップ機ですが、ソフトウェアは余計なものを除いたAndroidのみです。でもMoto Xの場合、「Androidプラス」と言えるような、拡張版Androidが搭載されてます。音声認識を使った便利機能とかアクティブディスプレイによる通知機能は、プレーンなAndroidにはまだありません。「シェイクすればどの状態からでもカメラを立ち上げる」機能だって、単なるギミックじゃありません。

さらにわからないのは、そんな細やかな工夫は誰が主導して作ってきたかってことです。今まで、モトローラとグーグルは不可分の存在でした。そしてこれからも簡単には分けられないかもしれません。モトローラ自体は売却されましたが、モトローラの先進研究ユニットはグーグルに残るという交渉になっています。そのリーダーは元DARPAのディレクター、レジーナ・ドゥガン氏です。だからもしモトローラがグーグルの手を借りずにMoto Xを作っていたとしても、レノボはその「モトローラ」の全てを手にしたわけじゃないんです。少なくとも先進的なものを作るユニットは、買収対象に入ってないようです。

だから今後のモトローラにMoto Xみたいな超先端の端末を期待するのは、楽観的すぎるのかもしれません。思えばMoto Xは、ごく特殊な状況の産物でした。ハードウェアとソフトウェアが、短期間ながらもひとつになって冒険を成し遂げ、他のAndroid端末メーカー群を脅かすことができたんです。

そんな特殊な時期はもう終わったかもしれませんが、モトローラは他の端末メーカーには実現できていない青写真を抱えて新たな環境へ旅立ったんです。そしてその環境では、ムダに何かを変えさせられたりする心配は比較的なさそうです。だからグーグルなしでもモトローラの良さを維持することは可能なはずだし、むしろその良さをこれからも伸ばしていってほしい、そう切に願っています。

Eric Limer(原文/miho)