フランク・ゲーリーは現存する建築家の中でも世界最悪だ

フランク・ゲーリーは現存する建築家の中でも世界最悪だ 1

柳京ホテルも方円大厦もビックリですわ。

「存命中の建築家で世界ワーストワンはもしやフランク・ゲーリー(Frank Gehry)なんじゃあるまいか」と言われて早10余年。巨匠の変建築がいよいよ南米上陸です。

これはパナマにできた「Biomuseo(バイオミュージアム)」。生態保存の大切さを教える博物館で総工費はドーンと6000万ドル(61億円)をくだらないのですが、これ見て改めてゲーリー節は絶好調だって思ってしまいました。

いや、フランク・ゲーリーも昔は面白い建築家でしたよ! でも面白い素材の追求とか構造をめぐる実験的試みはとうにやめてしまって、今はマリファナで頭が朦朧としたラクロス選手の寮の壁にぶら下がってるサルバドール・ダリのポスターみたいな建築ばかり。見た目だけサイケデリックなBS(ブルシット)の山。ついていけるのはビリオンドル単位の金を動かす大手デベロッパーだけで、外部の我々にはもう何が何やらです。

ゲーリーのキャリアで僕が一番不満なのは、彼があたかもミレニアム世代のSF建築家であるかのように祭り上げられていることです。LSD実験のティモシー・リアリーぐらいぶっ飛んだクールな人間だと思われているんですね。でも実際のゲーリーは商売上手なセレブ料理人ガイ・フィエリ(Guy Fieri)みたいなものだし、ゲーリー作品も宇宙モノに出てくるジェルで髪固めた怪物みたいなものだと思うのです。

造りも粗悪だし。ここまで来るとビリオネアのクライアントが有難がって金を払い続ける限り絶対鳴り止まないC.C.デビル日本語解説)のギターソロのようなもので…。いくらピーター・アイゼンマン(Peter Eisenman)のような建築論の大家が図表でゲーリーの面白さを説いたところで(彼の偉大さを解く本は無数にある)、論理的に見ても注目すべき材料もありません。「普通は航空機の設計で使うソフトウェアでデザインしているんだよ」―それは確かにすごい。デザインツールをゴッチャに使えばさぞかし傑作ができるんだろうなっていうのは僕でも容易に想像できます。

だけど出来上がったビルを見ると、白い食パンみたいな面白くもない内装にアルミホイルくしゃくしゃにして被せたようなのや、単調な間取りのビルにヘアスプレーかけたようなので、こう言ってはなんだけど、コメディアン女優フィリス・ディラー(Phyllis Diller)の髪を変な具合にブローして空中で固めたみたいだなーって思ってしまうのです。

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フィリス・ディラーおばあちゃんの失敗ヘアを連想させるシアトルのEMP博物館 - via Wikipedia

ゲーリーはNYにも過去5年で最悪のアパート建てました。今はダウンタウン・ベルリンにもウィスコンシンの片田舎にある80年代のローラーリンクかと思ってしまう金ピカアパート建ててます。あのJWowwみたいな俗悪なビルに何の疑念も持たずに住まされるドイツ人のことを思うと。

でもしょうがない…仕事が入ってきちゃうんだから…僕らは今そういう世界に閉じ込められているんですよ。デビッド・クローネンバーグの映画見たいのにM・ナイト・シャマランの映画を延々見させられる部屋に閉じ込められている。アンドレス・セゴビア聴きたいのにスティーヴ・ヴァイ聴かされる部屋に閉じ込められているんです。

フランク・ゲーリーにとって建築はチキンナゲットみたいなものでしょう。たぶん今これ書いてる瞬間にもあなたの住む街でお偉いさんがフランク・ゲーリーのピンクスライムで街の活性化図ろうとか、言葉を限りに力説してる頃かもしれませんよ。

ハイテク業界にムーアの法則があるように、建築業界にも破れない法則はあります。フランク・ゲーリーは年を追うごとに年々ひどくなっていくのです。

Lead photo © Victoria Murillo / istmophoto.com, courtesy of Biomuseo.

GEOFF MANAUGH(原文/satomi)