祈祷師頼んだのに塩がない。ソチ五輪が塩不足で危機、夜中に22トン緊急空輸

祈祷師は調達したのに肝心の塩が…

温暖なソチでスキー山の雪を維持するには塩はマストアイテムなのですが、「アルペンスキー用に塩は19トン発注しとけ」という専門家の助言を五輪主催者が無視したため、先週後半には雪のコンディションが悪くてとても競技が行えない危機に陥ってしまいました。

4ヶ月前に塩を大量にストックするよう助言したのは雪と塩の世界的権威ハンス・ピエーレン(Hans Pieren)さん。開催が危ぶまれた競技はいずれも、ぐさぐさに溶けた雪(ソチはほとんどがこれ)より、ある程度表面が固まってないといけない種目です。塩を撒けば雪の一番上が溶けて固まるので、アルペンスキーなんかの競技にはちょうど良くになるんですが、この肝心要の塩が…ない!

五輪上級顧問がアルペン村のホテルの一室に集まって緊急で対策を話し合った時の模様をニューヨークタイムズはこう劇画調で伝えています。

出席した人たちの話によると、木曜夜、緊急対策会議を招集したのはカナダの五輪上級顧問ティム・ゲイダ氏。氏は全員を前にこう語った。「一番効き目のある大粒の塩はロシア国内には出回っていない」、「 塩を25トン分なんとか今晩のうちに確保する手立てはないだろうか?」

さっそく五輪の沽券に関わる失態を回避すべく、山頂で『オーシャンズ11』ばりの国際極秘ミッションが実行に移された。塩の専門家の元五輪選手(ピエーレンさん)が駆り出され、スイスの塩売りが夜中まで働き、ブルガリアだかどこだかから出る航空機のルートを急きょ変更し、ロシアで通常数ヶ月かかる税関もひと晩のうちにクリアする離れ業だった。

相談を受けたピエーレンさんが、スイスの創業160年の塩会社「Schweizer Rheinsalinen」の営業マンに電話したら、ちょうど倉庫に24トン分の塩があるというので「それ今晩のうちにソチに送れるなら全部3500ドルで買ったる!」と掛け合ってOKをもらい、あとは国際スキー連盟がブルガリアの首都ソフィア(たぶん)からチューリッヒに飛行機回して塩拾ってソチに空輸した、ということです。どんな黒魔術で飛行ルートを変更したのかまでは教えてくれませんでした。

たまたま電話を受けた営業マンが五輪(特にスキー)のファンで、「自分のミスでもないのにアスリートかわいそうにな」と思っていた矢先だったため上司に相談もしないでオッケーしたようですよ。

工事がまだ終わってない宿舎の話題、野良犬を救うミッション(五輪で大量処分されたと聞いて不憫に思った選手が出場記念に犬を拾って帰っている。ソチという名前をつけたりするようだ。成犬になると捨てる習慣に加え、五輪工事の出稼ぎの人が番犬として連れてきて捨てて帰ったことも爆発的に増えた要因)など波乱づくみのソチ。でも、こういう波乱がなくて選手が順当に勝ち進むだけの五輪も味気ないものがありますよね。

とりあえず雪は降らなくてもギリギリなんとかなることを次の平昌冬季五輪に示したかたちです。

NYT

ADAM CLARK ESTES(原文/satomi)