Android WearはほぼGoogle Now、だからこそ超有望

Android WearはほぼGoogle Now、だからこそ超有望 1

「言わなくてもわかってる、これでしょ」ってやつが、今度は手首からやってくる。

グーグルがスマートウォッチ専用プラットフォームAndroid Wear発表しました。たしかに、ウェアラブルなAndroidだからAndroid Wearってネーミングはまあストレートです。でももっと厳密には、Google Now Watchと呼ぶべきかもしれません。そしてそれは、素晴らしいことです。

Google Now

Android Wearのティザー動画(ちょっと出来すぎな機能チラ見せ満載)を見ると、これはもう腕時計の形をしたGoogle Nowです。ボイスコントロール、カード、「聞かなくてもわかってるよ、これでしょ」っていう情報表示。みんな、Androidの最良機能であるGoogle Nowを使ってきた人にはおなじみのものです。

それがどうして素晴らしいかっていうと、これによってスマートウォッチが、5秒おきに全情報を確認しなくちゃ気がすまないナードだけのもの、じゃなくなるからです。Google Nowによって、スマートウォッチが全ての人にとって便利なものになりうるんです。

スマートフォンの通知はユーザーが消すまでズラズラ並んでいきますが、Android WearではGoogle Nowと同様、その場に合った情報を随時更新していって、ユーザーがフリックすれば情報を深堀りできます。ひと目でわかるカードがユーザーの反応を待っていて、それらは全て、グーグルが何年も改善を続けてきた各種サービスにつながっています。

たとえば車でオフィスに向かっているときには、Android Wearウォッチが渋滞情報を教えてくれます。応援しているフットボールのチームが延長戦に突入したら、そのスコアをアップデートしてくれます。それも、わざわざ聞かなくてもやってくれるんです。

理論上は、誰だって同じようなサービスができます。でも今やっているのはグーグルだけで、しかも上手にできています。グーグルは我々のメールや写真、住んでいる場所、オフィスの場所、通勤経路、Amazonで買ったもののトラッキング番号などなどといった情報を把握しているので、Google Nowは他のどんなサービスよりも我々のことを知っているんです。ちょっとプライバシー的に気持ち悪いんですが、それと引き換えに、Google NowそしてAndroid Wearウォッチは、最強に便利になっています。

ただスマートウォッチに関して、グーグルは後発になります。たとえばサムスンすでに3パターンほど(空振りかもしれないけど)出しています。RazerとかQualcommといった異色の存在もあれば、Pebbleからも素晴らしいハードウェアが出ています。でもAndroid WearウォッチはGoogle Nowにフォーカスしていることで、先行者をゴボウ抜きできるポテンシャルがあふれています。Google Nowの「必要なときにいつもいるよ」っていう存在感は、アップルですら持ち得ない強力な武器になります。

しかもAndroid Wearは、素晴らしいハードウェアの上に載りそうなのです。

ハードウェアはハードウェア屋さんに

Pebble Steelはなかなかクールですが、それ以外では本当に身に着けたいスマートウォッチはまだ誰も作っていません。でもAndroid Wearウォッチは、そんなスマートウォッチ市場を変えていくことでしょう。それも、ハードウェアをグーグル自身が作らないことでそれを実現していきそうです。

グーグルはモトローラを売却したので、グーグル自身が今後ハードウェアに本気で取り組む意図はなさそうです。グーグルは今も有望なスマートウォッチメーカーを所有してはいますが、Google I/Oに何ヵ月も先駆けてSDKを発表するってことは、やっぱりグーグル本来の「ハードウェアは誰か他の人に」って姿勢なのでしょう。モトローラを手放した今は特に、グーグルはソフトウェアにフォーカスすることに満足しているようです。ハードウェアを手がけることで、たとえばサムスンとかが離れていくリスクもありましたし。

つまり今、グーグルは戦略上の優先順位を修正したんです。Androidにいろんなハードウェアの選択肢を持たせることで、スマートフォン市場で優位に立っていった、あれと同じです。そして当時も、ハードウェアは単にAndroidをユビキタスに、元気に、良いものにするための手段に過ぎませんでした。

だから考え方は今までどおりですが、フォーカスがちょっと変わります。ハードウェア会社は引き続きグーグルからソフトウェアを受け取るのですが、グーグルがハードウェアメーカーから受け取るものは変わってきます。それは、Google Now上のアプリやサービスです。グーグルのこの戦略によって、グーグルの我々に対する理解が深まり、Google Nowの情報精度が高まるだけでなく、Motorola 360みたいな魅力的なデバイスも出てきます。

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そしてグーグルの持つ情報が増えれば、Google Nowのカードやターゲティング広告の元になる情報も増えていきます。全てがシナリオ通りに行けば、そこにはほぼ完ぺきなフィードバックループができます。Google Nowがスマートウォッチをより良くし、スマートウォッチがGoogle Nowをより強化します。

こうしてパーツはそろいましたが、ただもうひとつ、最後の課題があります。それは…

時代は追い付いてるの?

グーグルが投げかける麗しいスマートウォッチの未来は、やや幻想のようにも思えます。でも、ありえないほど遠い妄想ではありません。Google Nowをよく使っている人なら、あの「これでしょ」って通知される感覚がおわかりだと思います。それはいつもパーフェクトではありませんが、いつも「いる」という感覚がしみついてしまうくらいの妥当性はあります。あの感覚が、今度は手首からやってくるんです。

たしかにまだ完全に洗練されてはいないし、他の失敗したスマートウォッチも死屍累々です。でも、Android Wearウォッチが良いスマートウォッチの基本をおさえていて、そこそこ見栄えも良く、ほとんどのAndroidデバイスと連携できれば、既存の競合スマートウォッチを追い抜くことができるはずです。

ただ、Android Wearには多少足りない部分もあると思います。たとえば専用/独自のフィットネストラッキング機能がないあたりです。Pebble Steelも同じ理由でちょっとポテンシャルが下がってたし、逆にアップルのiWatchはこの点を突いてくることでしょう。それから、アプリからの通知があふれることが本当に快適なのか、逆に全体をダメにしてしまうのか、そこもまだわかりません。

それでも、グーグルのスマートウォッチへの最初の一歩は非常に有望なものです。ハードウェアは専門家に任せて、自身が持つ最強の未来機能、Google Nowをど真ん中に持ってきました。これだってまだまだ夢のスマートウォッチそのものではないかもしれませんが、Android Wearは、他の誰よりもそれに近いところに来ています。

Eric Limer(原文/miho)