宇宙の起源、またひとつわかった? ビッグバン後の急膨張を裏付けるデータ

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100年越しの探索。

ハーバード大学の研究チームが、ビッグバン直後に宇宙が急膨張したことの直接的証拠となるものを発見しました。それは、ビッグバンが全ての始まりだったという説をさらに裏付けることになります。

この発見の中身自体をそのまま理解するのは、ちょっと難しいです。研究チームが発見したのは、原始の「Bモード偏光」という光の歪みです。これは、巨大な重力波によってビッグバンから放出した光子が歪んだ現象のことであり、重力波が実在したことの証拠ともなります。宇宙の起源への理解という意味では非常に重要な発見で、2012年のヒッグス粒子発見にも並ぶレベルだとする人もいます。

実はこの発見について、1916年にアルベルト・アインシュタインが予言していました。彼の一般相対性理論の中では、重力波が時空という布のしわとして存在すると仮定されていました。

その予言を裏付けるべく、研究者たちは重力波への探索を続けてきました。もし重力波が存在したとすれば、ビッグバン直後の宇宙の急膨張もあったということになります。重力波の影響とは、大きな池に石を投げ込んだときに水面にできる波のような感じです。ただ、その池自体もビッグバンによってできたものというイメージです。

今回の発見について、同じハーバード大学ですがこの研究には参加していないアヴィ・ローブ氏は次のようにコメントしています。「これがもし確認できれば、私が思うに、宇宙の膨張が加速しているという発見以来の最重要発見となるでしょう。」

なおこの発見は、アラン・グース氏による宇宙のインフレーションのアイデアを再度見直す良い機会にもなります。彼の発見のときのノートのページはこちらにあります。

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この発見に関しては引き続き検証が必要ですが、もちろん研究チームがただ思いつきを発表しているわけじゃありません。彼らは南極にある世界最新鋭の望遠鏡、BICEP2(上画像)を使ってデータを収集してきたんです。

「彼らは非常に慎重、かつ保守的な人たちです。」このデータを公開前に見たジョンズ・ホプキンス大学の物理・天文学者、マーク・カミオンコウスキー氏はTimeに語りました。「彼らはこのデータを3年前から持っていて、違う説明が成り立つ可能性をあらゆる角度から検討してきました。そして、違う説明の可能性をひとつひとつシステマチックに外していったのです。」

今このタイミングの日本人としては、「世紀の大発見」にはちょっと懐疑的になってしまう面もあるかと思います。それでも、100年越しで続いてきた宇宙の謎解きがひとつ完了するなら、素晴らしいことです。関わってきた人たちへの敬意を込めて、これからの検証を静かに見守りたいと思います。

New York Times

Adam Clark Estes(原文/miho)