Amazon Fire TVレビュー:速さは評価できるけど、でもお値段が…

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99ドル(約1万300円)の価値はアリかナシか。

アマゾンがストリーミングTVデバイス市場にFire TVを投入し、米国で発売されました。さっそく米Gizmodoのレスリー・ホーン記者が数日使ってレビューしています。Apple TVやChromecast、Rokuと比べてどうなんでしょうか?

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ストリーミングデバイスといえば、すでにRoku、Chromecast、Apple TVといろんな選択肢があります。が、Fire TVはそれらよりもスピードや使いやすさ、豊富な機能によって優位性がある、とアマゾンは言ってます。たしかにFire TVはほとんどの点において、そのうたい文句通りではあります、が、その分価格も安くはありません

 

Fire TVとは?

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アマゾンの新しいHDMI高速ストリーミングメディアボックス、お値段99ドル(約1万300円)です。安価なゲーム機としても使えて、EAやDisney、GameLoftといったトップゲームスタジオから100タイトル以上が出ています(ただしアマゾンでは、Fire TVはゲーム機じゃないと言っています)。ゲームはFire TVのリモコンでも、別売40ドル(約4100円)のコントローラーでも、市販のBluetoothコントローラーでもプレイできます。

どこがすごいの?

ストリーミングTVデバイスにはいろんな選択肢があり、コンテンツももう一生かかっても見きれないほどあります。アップル好きなら、iTunesライブラリとの連携とかAirPlayの便利さから、Apple TVを使うのが適切でしょう。Android端末を使っているならChromecastが安価だし、最近ではオープンなSDKも公開されました。それからプラットフォームにこだわらないならRokuが一番便利で手頃です。こんな風にもう競合他社のテリトリーがはっきりしていますが、アマゾンはどこに入り込めるんでしょうか?

基本的にFire TVは、アマゾンのエコシステムにどっぷり浸かっている人向けにおすすめのデバイスです。Cloud DriveやKindle Fire HDX、Amazon Primeアカウントなどとうまく連携できます。でもアマゾンとの付き合いがもっと浅い人、たとえばPrimeアカウントでたまにTVドラマを見て、ポテトチップスを定期便で買っている程度の人でも、極小コンソールとしてのFire TVに魅力を感じるかもしれません。Roku 3でも多少ゲームができますが、Fire TVほどではありません。

もっといえば、エコシステムがどうとかゲームがこうとかはさておいて、とにかくアマゾンがトップページでFire TVを売りさえすれば売れてしまうという現実があります。Fire TVは発売から24時間も経たないうちにアマゾンで最も売れているストリーミングデバイスになりました。当分その状態は続くと思われます。で、この多くの人が買いつつあるFire TVとはどんなものなんでしょうか?

デザイン

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Fire TVは素っ気ないただの黒い箱ですが、この種のリビングルーム端末はたいていこういう外観です。他のデバイスと比べると、Roku 3やApple TVより少し大きいんですが、もっと薄いデザインです。マットな質感でスタイリッシュさもあります。RokuのHDMIスティックほど目立たなくはないかもしれませんが、家のメディアセンターに自然に溶け込むデザインです。

ケーブルは2本あり、ひとつはTVに接続するためのHDMIケーブル、もうひとつは電源につなぐためのケーブル、それだけです。リモコンも黒くてコンパクト、だいたいクレジットカード1枚半のサイズに、厚さはガムのパッケージくらいです。ただ、ソファのクッションに埋もれそうな形とサイズではあります。

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リモコンはシンプルで、今どきのボタンだらけのリモコンと比べるとうれしいです。再生用ボタン(巻き戻し、再生/一時停止、早送り)が1列、「戻る・ホーム・メニュー」で1列。その上にはクリックホイールがあり、さらにその上には音声検索用ボタンがあります。音声検索はFire TVのどこからでも使えるようになっています。

またKindle Fire HDXもリモコンとして使えますが、他の端末はまだ使えません。iOSやAndroidデバイスでもおいおいアプリでサポートされる予定ですが、時期はまだ発表されていません。

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別売のBluetoothゲームコントローラーも非常にベーシックで王道を行ってます。Xbox Oneのコントローラーと比べるとやや角張っていて、トリガーはやや細めで、再生コントロール用のボタンが下中央に並んでいます。でもちょっと安っぽい感じがするので、40ドルはどうなんだろうという気がします(ただしこのコントローラーを買えばAmazon Coinが1000枚もらえて、オリジナルゲームのSev Zeroがプレイできますが)。幸い、Fire TVではサードパーティのBluetoothゲームコントロールも使えます。

使ってみてどう?

・初期設定

設定…って何の設定?という感じです。これぞ、あらゆるものを一手に取り扱うアマゾンの良いところです。Fire TVは最初にAmazonアカウントとひも付けられているので、電源を入れてネットワークにつなげればすぐ使えます

ただちょっと手間取ったのは、最初リモコンを認識しなかったので、再起動しなきゃいけなかったことです。Bluetoothゲームコントローラーとも25秒ほどでペアリングできました。アプリに関しては基本的な設定が必要ですが、これもたとえばYouTubeのアクティベートURLに行ってFire TVが表示するコードをタイプするといった程度です。

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インターフェースがちょっと素っ気なさすぎという人もいるかもしれません。でもいわば、すっきりクリーンで、フラットな見た目です。画期的ではないかもしれませんが、むしろ目新しくない方がいい、直感的で簡単なのがいいという場合もあります。Fire TVのインターフェースはそんな感じです。

左側にはメニューがあり、検索、ホーム、映画、TV、ウォッチリスト、ビデオライブラリ(購入済みのビデオ)、ゲーム、アプリ、写真、設定と並んでいます。右側をクリックすれば選択した項目に入り、左側をクリックすると前に戻ります。ホームボタンを1回クリックすると最初の画面に戻ります。これならほとんどの人は説明なしで使えるはずです。もし説明が必要になっても、Fire TVを最初に立ち上げたときに流れるガイド動画があって、見たいときに再度見られます。

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・音声検索

音声検索はなかなか感動もので、何度試してもほぼ完ぺきでした。さらに驚いたのは、「もっと使いたい」という気持ちになったことです。通常、音声検索はバグだらけのギミックにすぎないのですが、高精度な音声検索を使うと、もっと使う気になるんですね。

ただ欠点がふたつあります。ひとつは、検索ボタンを押すとデフォルトが音声検索になっているので、イヤでも音声検索を使わされることです。

もうひとつもっと問題なのは、音声でも文字でも全ての検索が、アマゾン上での検索結果しか返さないことです。たとえばドラマ『Scandal』を検索すると、アマゾン上での番組の購入方法が出てきますが、Netflixでの検索結果は出てきません。Rokuでは素晴らしいユニバーサル検索ができていて、全サービスの全検索結果が見られるのと比較すると、残念です。

さらに音声検索ではリモコンに直接話しかけるんですが、このリモコンはすごくなくしやすい大きさです。なくしたときに買い直すといくらかかるのかわかりませんが、ユニバーサルリモコンではFire TVの目玉機能である音声検索が使えなくなってしまいます。

・ストリーミング視聴

基本的なストリーミングに関しては、Fire TVは非常に使いやすいです。五輪の水泳競技におけるマイケル・フェルプス選手みたいに、スマートTVを超スピーディにしてくれます。

映画を選択すると、読み込み時間はほとんどかかりません。ホームボタンを押せば、どこからでもすぐスタートメニューに戻れます。ホイールがまわったり、考え込んだりする時間はありません。Rokuのストリーミングスティックもすごく良かったですが、Netflixの立ち上がりにかなり時間がかかったりしてました。

アプリのダウンロードも非常に速く、ゲームでもPandoraでもYouTubeでも、たいていの場合1アプリ30秒以内で済みました。ただSpotifyだけは例外でした。

ちなみにPandoraは、Pandoraアプリから抜けたあとでもバックグラウンドで再生できます。音楽を聴きながら、見る映画を探せます。

今のところ、Fire TVと連携してコンテンツを「Fling(アマゾン用語で、ミラーリングのこと)」できるのはKindle Fire HDXのみになっています。つまり、連携デバイスはアマゾンの特定のデバイスのみ、検索で見られるコンテンツもアマゾンのみと、非常に閉じた世界になっています。AndroidやiOSデバイスでもサポートすることになりそうですが、現状はかなりクローズドです。

何かをFlingするには、Kindle Fire HDXとFire TVは同じWi-Fiネットワークにつながっていて、同じAmazonアカウントを使っている必要があります。今のところ、実際ミラーリングできるものはごく少なく、YouTubeくらいです。そしてその「今」がいつまで続くのかはわかりません。

・おまけ機能

アマゾンのX-Ray機能(視聴中のコンテンツに関するIMDBの情報がタブレットに表示される)では、セカンドスクリーンの良さを感じられます。X-Rayは、表示する情報がありさえすればすごく便利で楽しい機能です。でもIMDBの情報が付いてくるコンテンツはあまり多くなく、しかもこれまたKindle Fire HDX限定提供の機能です。

Fire TVは、ユーザーが意識するより前に見たい番組を予測するようになるらしいです。数日使ってみて、まだ関連する映画とかTV番組のリストが表示される程度です。が、多分この種のものはもう少し長く使わなくちゃいけないんでしょうね。

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写真のストリーミングは非常に簡単にできます。といっても、それも写真がアマゾンに保存されていれば、ですが。Fire TVの「Photos」セクションを開くと、Cloud Driveに保存したもの全てがTVで見られます。

でも個人的には、写真に関してはアップルのiCloudとフォトストリームを使っていたいので、そうなるとApple TVに軍配が上がってしまいます。iPhoneユーザーでアマゾンのクラウドを使っていない人にとっては、Fire TVの写真ストリーミングはプラットフォームごと乗り換えでもしない限りあまり意味がなさそうです。

・ゲーム

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最初に正直に言うと、私自身はゲーマーではありません。スマートフォンで『Threes』をプレイするのは好きですが、専用コンソールを買うほどゲーム好きではありません。(Xbox 360は元Gizmodoのサム・ビドル記者からもらいましたが、そこでは『Dance Central 3』しかプレイしていません。)

Fire TVでは『Despicable Me』というゲームがすごく面白かったです。これは、『Temple Run』を『怪盗グルー』のミニオンでプレイする感じでした。ジェットスキーレーシングゲームの『Riptide GP 2』も気に入りました。タイトルはたくさんあって、『Minecraft』からアーケードゲーム『Asphalt 8』までいろいろです。14MBに収まる『Riptide』みたいなタイトルから、アマゾンオリジナルの『Sev Zero』みたいに200MBになるものまであります。ストレージは8GBあるので、映画を保存でもしない限り(ストリーミングデバイスなので基本的にしないでしょう)、ゲームに使えるスペースはたくさんあります。

ゲームタイトルはこれからも増えていきそうです。アマゾンは『Portal』とか『Far Cry 2』といったゲームのトップデザイナーをインハウスゲームのために採用しています。でもFire TVのゲームはOuyaみたいな、微妙なポジションにあります。専用コンソールほどのクオリティはないし(価格的に誰も期待してないとはいえ)、同じようなゲームをタブレットでプレイする場合と比べてすごく良いというわけでもありません。新しいタイプのコンソールをよっぽど信奉してる人でもない限り、Fire TVのゲーム機能は表面的なオマケにしか感じられないでしょう。

もうひとつ、Fire TVのリモコンでゲームをプレイするのは可能なんですが、あんまり良いものじゃありません。クリックホイールではジョイスティックと同じような操作は難しいし、手や指が思うようにならなくてイライラします。

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好きなところ

音声検索にはきっと感動します。なんとかミスさせようとして、すごく難しい名前を言ったりしたんですが、いろいろ試した中でFire TVが唯一間違えたのは「Darren Anorofsky」を「Erin Off Ski」と認識したくらい(でもわりと良い線行ってる)です。

搭載のクアッドコアプロセッサのおかげで、ブラウジングが異常な速さです。読み込み時間なんて何?って感じで、映画を選べば一瞬で始まります。ホームをクリックすれば、一瞬でホーム画面に戻ります。Fire TVは、今まで見たスマートTVとかストリーミングデバイスの中で何よりも高速です。

好きじゃないところ

Fire TVには人気TV局HBOのアプリHBO Goが入ってません。RokuにもApple TVにもChromecastにも入ってることを考えると、きわめて不利です。いつか追加されないとは限りませんが、いつ追加されるとも言われてません。

もうひとつVuduも入ってなく、こちらはそれほど大きく影響しないかもしれませんが、でも選択肢が多ければ多いほど良いものです。

また機能が多く、性能が高いのは悪くないかもしれませんが、その分価格に反映されているはずです。Kindle Fireで低価格タブレットを実現したアマゾンにしては、Fire TVは高めの設定です。Chromecastは35ドル(約3600円)、Rokuスティックは50ドル(約5200円)で、どちらもFire TVよりできることは少ないですが、使いたい機能は十分以上にそろっています。大きめサイズのタブレットゲームがプレイできるからって99ドル(約1万300円)するのはちょっと厳しいです。

検索は使えたんですが、アマゾンでの検索結果しか出てこないのは箱庭的過ぎます。すでに買ったものに対してさらに追加で課金されるカラクリになっているような悪印象を受けてしまいます。

買うべき?

ひとつはっきりさせておきましょう。Fire TVに99ドル払えば、そのスピード、音声検索機能、ゲーム機能が手に入ります。それらを求める人はぜひ買うべきでしょう。でも、何が手に入るのかはしっかり把握しておくべきです。

Fire TVは、売れています。アマゾンではすでにストリーミングデバイスで1位です。でもコストパフォーマンスという意味では、もうちょっと遅いチップセットで、ゲームもなくてもいいから、50ドル(約5200円)というツボを押すべきだったのではと思います。Fire TVはApple TVに比べれば価格競争力がありますが、そこをねらうべきではないでしょう。ChromecastとかRokuに対して価格で負けているのは、アマゾンらしからぬことです。

Fire TVによって、ストリーミングの世界が何か変わったんでしょうか? 期待したほどではありませんでした。OS XやiOSを愛用している人にとってApple TVが便利であるように、もしアマゾンの世界にどっぷり浸かっている人なら、Fire TVをお勧めできます。オマケに、そこそこのゲーム機能も付いてきます。でも検索結果はアマゾンのみ、HBO Goがない、そして既存製品より倍(以上)もする価格を見ると、Fire TVにはそこまでの魅力がないように感じられます。

Leslie Horn - Gizmodo US[原文

(miho)