Lightroom Mobileレビュー:iPadでRAWをいじる喜び、ただし機能は控えめ

ひと通り使えるけど、アップデートにはもっと期待。

写真編集ソフトの定番Lightroomに、モバイルバージョンの「Lightroom Mobile」が登場しました。iPadからRAW画像編集が可能になるとあって期待が高まっていますが、実際使い勝手はどうなんでしょうか? カメラマンでもあるマイケル・ヘッション記者にレビューしてもらいました。


 

 

Lightroom Mobileって何?

パソコン版Lightroom 5のカタログにある写真を同期・非破壊編集できるiPadアプリ(今後iPhone用、Android用も)です。利用するにはアドビのCreative Cloud(月4980円)かPhotography Program(月980円)への契約が必要ですが、Lightroom Mobileのアプリ自体は無料です。iOS 7を搭載したiPad 2以降のiPadで動きます。

何がすごいの?

これまで、タブレットやスマートフォンで写真を本格的に編集しようとすると、いくつものハードルがありました。最大のハードルは、RAW形式のサポートです。RAWファイルはサイズが大きすぎること、その分処理パワーもかかることから、モバイルOSではうまく扱えていませんでした。

アドビは「スマートプレビュー」という機能を使うことでこの問題を解決しました。スマートプレビューとは、RAW画像ファイル本体をiPadに同期する代わりにプロキシファイルをクラウド上に作り、そこに編集情報やメタデータを持たせて、iPad上のLightroomとパソコン上のLightroomの間の橋渡しをするものです。

つまりiPadを立ち上げると、パソコン上のLightroomカタログのRAW形式で編集している写真にアクセスできるということ。JPGに変換する必要はもうありません。この賢い方法によって、より柔軟な写真編集ができるようになりました。

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デザイン

アドビは今までKulerやPhotoshop Touchといったモバイルアプリを作っていて、そのインターフェースの使いやすさには定評があります。Lightroom Mobileのインターフェースもうまく整理されていて、今風の「フラット」なデザインが使われています。

写真はダークグレーの背景の上にクリーンに表示され、コントロールもすっきりと、アイコンではなくテキストがメインで表示されています。アプリの多様な機能は画面角のわかりやすいアイコンに収まっています。UIも複雑すぎず、過度な機能や覚えなきゃいけないジェスチャーも少なく、レイアウトは直感的です。

使ってみてどう?

Lightroom Mobileを使う前に、まずパソコン側のLightroomを5.4にアップデートしてコレクションの同期ができるよう準備する必要があります。準備完了したら、Lightroom上の写真を右クリックして「Lightroom Mobileと同期」します。

このとき、RAW画像ファイル本体が同期されているわけではありません。Lightroomはクラウド上に「スマートプレビュー」を生成し、それがLightroom Mobileに同期されるんです。この工夫によって巨大なRAW画像の編集がiPadで可能になり、なおかつデータの大きさのために動作が重くなることもありません。iPadでLightroom Mobileを立ち上げると、同期されたコレクションが素早く表示され、すぐ編集にとりかかれます。

コレクションはシンプルなリストとして表示され、クリックするとタイル状のグリッドインターフェースがあらわれます。そこでは写真を日付、フラグのステータス、ファイル名といった項目で整理できます。画面右のフライアウトメニューを使うと、写真の追加・削除や、コレクションのスライドショー閲覧が可能です。カメラロールからの写真追加をしたり、1からコレクションを作ることもできます。

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編集上のオプションに関しては、Lightroom Mobileは他の写真アプリとあまり変わりません。そこにあるのはLightroomのもっとも基本的なオプション、たとえば色温度、露出、コントラスト、ハイライト/シャドウ、彩度、鮮明度、その他少々です。切り抜きツール用には別のペインがあり、一般的なアスペクト比から選んだり、比率をカスタム設定したりして切り抜けます。

編集した項目は簡単にやり直しでき、コントロールボックスをダブルタップして初期状態に戻したりもできます。オフラインでも使えて、その場合同期はもちろんできませんが、ネットワークにつながった時点でそこまでの編集分を同期できます。

ただ、HSLやカーブ、シャープニング、ノイズリダクション、部分調整といった機能が入っていないのはちょっと残念です。でもアドビはこのLightroom Mobileファーストバージョンをあくまで出発点としているので、ユーザーからの要望によって今後機能は増えていくものと思われます。

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Lightroom Mobileで欠けているもっとも重要な機能は、プリセットの同期です。アプリにはアドビの基本プリセットが入っているんですが、写真好きでそれを多用する人はあまり多くはないと思います。だってそもそもプリセットって、自分でカスタマイズできるから良いんですよね。

アドビもユーザー自作プリセットを同期できるよう準備中としているので、願わくば早く出てきて欲しいものです。これができれば、パソコン版Lightroomで作っていたのと同じような見栄えの写真をすぐに作れます。

今回Light Mobileを試した端末は第4世代iPadでした。パフォーマンスに関していうと、写真編集中は小さいながらラグがありました。また、画像はつねにリアルタイムでアップデートされます。ピンチしてズーム機能は完ぺきにスムースではなく、素早くピンチすると途中でカクっと飛ぶところがありました。あとは高解像度画像だとちょっと読み込み時間がかかるくらいで、それ以外はスピード感あるアプリでした。

唯一生煮え機能と思われたのはヒストグラムの表示と、メタデータのオーバーレイくらいです。情報を切り替えるときは2本指で画像の隅をタップすることになってるのですが、やってみると毎回はうまくいきません。それに、初めて使う人にこの機能の存在を知らせるものが何もないので、気づかない人もいるかもしれません。

編集機能だけでなく、フラグ付け機能も入っています。フラグを採用するには上にスワイプ、フラグを除外するには下にスワイプ、フラグなしにするにはゆっくりドラッグして選択という具合です。これでまとまった画像群の整理が素早くできて、フラグ付けした結果はパソコン版にももちろん同期されます。

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Lightroom Mobileから画像を共有するときは、シェアアイコンをクリックして、「カメラロールに保存」「Facebookで共有」「Twitterで共有」といったオプションを選択します。それだけです。FlickrとかInstagramとか他のサービスもこの中にあるとさらに良かったんですが、カメラロールを経由すればそれらのサービスにも共有できます。

ただ、困るのはアドビのBehanceとかCreative Cloudストレージとの統合がされてないことです。でもこのへんはアドビ自身がユーザー獲得のためにプッシュしているものなので、そのうち追加されるのではないでしょうか。

好きなところ

Lightroom Mobileは、インターフェース上の小さなひっかかりはなくもありませんが、基本的に美しく直感的です。スマートプレビューはシームレスで速く、モバイルアプリでのRAWデータ編集をついに可能にしてくれました。

好きじゃないところ

できることに限りがあり、カーブやノイズリダクション、スポット修正、補正ブラシ、などなどLightroomのもっとも基本的な機能のいくつかも欠けたままです。プリセットも使えますが、パソコンでカスタムメイドしたプリセットは同期できません。

Creative CloudまたはPhotography Programを使っていない人は、Lightroom Mobileを使うことができません。さらに端末側もiPadにしか対応しておらず、AndroidユーザーやiPhoneユーザーは現在使えません。ただ、Android版とiPhone版は今後開発すると明言されています。

買うべき?

Lightroom Mobileは「買う」アプリではなく、アプリ自体は無料です。ただ、このアプリが存在することで、特に月980円のPhotography Programの魅力は高まってくることでしょう。機能は限定的とはいえ、モバイル版Lightroomの第一作としては、大きな不満も特にありません。とりあえず、ちゃんと使えます

ただ、本当に使いたいものかどうかは、写真好きが初日から使いたいような機能が今後充実してくるかにかかってくるでしょう。ただ現時点でも、Lightroom Mobileは書き上げたばかりの下書きというほど荒削りではなく、しっかりと洗練されてはいます。

Michael Hession - Gizmodo US[原文

(miho)