第二のカタール? 「グッゲンハイム・アブダビ」建設に対する抗議運動がヒートアップ

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ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館で知られるグッゲンハイム財団はアラブ首長国連邦に分館、その名も「グッゲンハイム・アブダビ」を建設中です。しかし、3月末に入り、この分館建設に対する抗議活動がヒートアップしました。反対派は、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で2度の抗議活動を行い、さらに「グッゲンハイム・アブダビ」には建築家フランク・ゲーリーによる既存のデザインではなく、新たに“倫理”的なデザインを採用すべきだと主張するため、グッゲンハイム財団 の偽サイトを立ち上げたのです。

問題の偽サイトglobalguggenheim.orgは、アラブ首長国連邦の観光局とコンペを共催するためにフランク・ゲーリー考案のコンセプトを廃止したということにして、「サステイナビリティ、公平さ、アカウンタビリティ」のための場所として美術館の役割を改めて考えてほしいとデザイナーたちに訴えかけています。そして、もう既にいくつかの作品が申し込まれています。

抗議活動の場はネットに留まらず、直接、美術館でも行われました。3月29日の夜、たくさんの人がニューヨークのグッゲンハイム美術館に集まり、「倫理的でグローバルな美術館とはどんなデザインか?」などと印刷された赤や白のお札のような紙をアトリウム内にばらまいたのです。

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画像は偽サイトのglobalguggenheim.org のスクリーンショット

この2つの活動 をしたのはGlobal Ultra Luxury Faction(通称GULF)で、2011年に初めてソロモン・R・グッゲンハイム財団に嘆願書を提出したGulf Laborという団体の一派です。Gulf Laborは、近隣諸国からの出稼ぎ労働者の権利を守るため、アブダビはサディヤット島の複数のプロジェクトの建設に対し活発に抗議してきました。館内でメッセージをばらまく以外にも、最近の活動だと3月25日にOccupy Wall Streetと組み、「OWS Illuminator」を使って同館のファサードにメッセージを投影するという行動に出ています。

サディヤット島は、2020年に完成予定の政府援助によるアブダビの文化区域で、グッゲンハイムに加えルーブル美術館の分館やニューヨーク大学のキャンパスも建設される予定です。他にも多くの施設が建設中で、舞台芸術センターから美術館に至るまで、どれも有名な建築家たちが名を連ねています。グッゲンハイムの本物のサイトでは、この島は「フランク・ゲーリー、ジャン・ヌーヴェル、ノーマン・フォスター、安藤忠雄やザハ・ハディッドといった世界的に高名な建築家が手掛けた大規模な施設がある、抗いがたい磁石のような存在」だと称しています。

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ゲーリーが手掛けた本物の「グッゲンハイム・アブダビ」レンダリング画像

サディヤット島での建設プロジェクトにおける人権侵害は、過去数年の間にたくさん記録されてきました。ヒューマン・ライツ・ウォッチの2009年の報告によれば、労働者たちは雇用契約のために手数料を支払わなくてはならず、標準以下の居住環境に住み、職場を離れられないようにパスポートを取り上げられていたそうです。さらに昨年には、雇主とストライクを行う労働者とが衝突し、流血を避けられず40人の労働者が入院する事態になりました。

中東に広がる、こういったラグジュアリー且つ大規模な開発計画は、近隣諸国からの何千という労働者にとっては絶好の出稼ぎのチャンスです。しかし彼らは仕事を求めて出稼ぎに来るものの、移民労働者が雇用者の許可なしに転職や出国を許さないカファラ制度の犠牲になって終わるのです 。例えば近隣のカタールでは、2022年のワールドカップ開催のための建設現場で働いていた500人以上の移民建設作業員が犠牲になり、建設現場の安全性と職場環境の貧しさが問題となりましたが、これはアブダビでも同じです。

この件に関し、ニューヨーク大学のアンドリュー・ロス教授は、ニューヨーク・タイムズ紙の論説ページで、「グッゲンハイム・アブダビ」の工事はまだ序盤なので、財団とゲーリーは、人権を遵守した労働環境へと改善するチャンスはあると語っています。しかし、今のところ、当のグッゲンハイムからは、コンペのサイトは偽物だという、短いメッセージがあっただけでした。

これを機に、労働環境は改善されるのでしょうか。

Alissa Walker - Gizmodo US[原文

(たもり)