プリツカー賞だけじゃない。レイモンド・モリヤマ氏が立ち上げる建築アワードの可能性とは

プリツカー賞だけじゃない。レイモンド・モリヤマ氏が立ち上げる建築アワードの可能性とは 1

エリート建築家もびっくり。

建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞。先日、日本人建築家の坂茂さんが受賞し、話題になりましたね。実は、この賞に匹敵するほどの、新しいアワードがカナダで立ち上げられようとしています。

仕掛人は日系カナダ人の建築家・都市計画家のレイモンド・モリヤマ氏と、カナダ王立建築家協会(RAIC)財団です。世界中の候補者の中から2年おきに選定を行い、受賞者には10万カナダドルが贈られる予定。「この賞の設立がカナダ王立建築協会の国際的な地位向上のみならず、カナダとカナダ人建築家たちがより高みをめざすきっかけになることを望みます」と、モリヤマ氏は語ります。

では、この賞が設立されることでどんなことが起こるのでしょう?

受賞は「全て」の人々のもの

プリツカー賞はじめ、世界的な建築界の褒章は個人の建築家に与えられるものがほとんどです。しかし、モリヤマRAIC国際賞は、建築家及び設計事務所が主導したプロジェクトに対して贈られます。通常、建築は一人の「アーキテクト」によって創られるものではありません。設計スタッフや現場職など、表舞台に立たない多くの人々の協力によって、やっと完成できるのです。「プロジェクト」に対して与えられるモリヤマRAIC国際賞は、建築に関わった全ての人々を讃える賞と言えます。

また、建築作品以外にも都市やインフラストラクチュアなど、人々の生活をとりまく環境に大きく貢献した場合にも賞が贈られることがあるようです。建築家であると同時に都市計画家でもあるレイモンド氏独自の視点ではないでしょうか。

チャンスは誰にでも

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モリヤマ氏は「この賞は生涯の業績に与えられるものではありません。若くても、高齢でも、世界中の誰にでも勝つチャンスがあるんです」と語っています。

実は、プリツカー賞への批判のひとつ建築家のエリート主義でした。1979年に、アメリカの実業家・プリツカー夫妻によって立ち上げられてから今まで、受賞者のほとんどが欧米の一流建築家たちです。モリヤマ氏は、日本カナダ文化センター(トロント)、カナダ大使館(東京)、カナダ戦争博物館(オタワ)など、平和や平等をテーマにした建築作品で有名です。今回のモリヤマRAIC国際賞には、彼が設計活動を通して培った思想が表れているようにも見えます。

アワードというものは、多かれ少なかれ、ある分野の「エリート」をつくるものです。しかし、この賞は建築をエリート主義的なものから、もっと親しみやすいものにしてくれるきっかけになるかもしれませんね。

1人の天才「アーキテクト」が祝福される賞と、みんなで建築をつくった「プロジェクト」が祝福される賞。あなたはどちらが好きですか?

source: Moriyama RAIC International Prize via dezeen

(中村好人)