未来素材グラフェンは自作できることが判明。使うのはキッチンの…

未来素材グラフェンは自作できることが判明。使うのはキッチンの… 1

これで量産への道筋が。

原子1個分の厚さしかない新素材グラフェン。通信速度を劇的に速くしたり、海水を飲料水化、ひいては発電まで、その可能性に期待がかかっています。

このような説明をすると、特殊な研究室にしか存在しない物質のようなイメージが浮かびますよね。現状、大量生産できていないことが課題なのですが、実はグラフェンが一般家庭でも作れることがわかったんです。

アイルランドのダブリン大学トリニティ・カレッジの研究チームでは、グラフェンの大量生産手法を模索してきました。しかし、既存技術では研究の最先端レベルでも1時間に0.5gしか生産できなかったのです。

研究チームは、グラフェンがグラファイトのかたまりから生産可能であることに目を付けました。グラファイトは鉛筆の芯に含まれる物質ですが、そのかたまりから原子1個分のシートをはがすとグラフェンができます。そこで彼らは、グラファイトの層を安定的かつ効率的にはがしていく方法を検討しました。

そこで登場したのが研究用ミキサーと、層をはがれやすく、くっつきにくくする界面活性剤です。グラファイトを研究用ミキサーで回し、できた素材を確認すると、狙い通りグラフェンができているのが確認できました。さらにすごいことに、この手法では1時間に5gものグラフェンを作り出すことに成功したんです。

当然研究チームでは、このプロセスを大規模化すべきと考えました。研究用の高級ミキサーと高級界面活性剤に代わるものといえば…そう、家庭のキッチンにあるミキサーと食器用洗剤です。プロセスは簡単で、グラファイトの粉をミキサーに入れて水と食器用洗剤を投入、高速で回します。すると黒く泡だった液体が出来上がり、その中にはグラフェンがぎっしり入っているという次第です。

研究チームでは、この家庭用ミキサーを使う手法に一定の有効性があることも確認しました。ただ「一定の」有効性というのがクセモノで、ふたつ問題点があります。ひとつは、食器用洗剤の所要量は使用するグラフェンの性質によって変化し、その判定には高価な分析器が必要な点。

ふたつめは、この方法だとグラファイト全部がグラフェンになるわけではないこと。グラフェンとグラファイトが混ざった中からグラフェンだけを取り出すのは家庭では至難の業です。

そんなわけで、家庭でグラフェンを気軽にDIY、というのはまだ現実的ではないようです。でも、少なくとも専用設備であれば、今まで不可能だった規模での量産ができそうなのがわかってきました。試算によると、1万Lの容器と適切な出力のモーターがあれば1時間にグラフェン100gを生産できそうです。さっそくパイロット・スキームもすでに活動を開始しています。

グラフェンには素晴らしい潜在性があります。大量生産手法が見えてくれば、実際いろんなメインストリームの製品に使われて、我々の生活を激変させてくれる日も近づいてきそうですね。

Image by jcjgphotography / Shutterstock

source: Nature Materials via New Scientist

Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文

(miho)