Windows Phone 8.1レヴュー:ついにiOSに、Androidに追いついた

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通知センターやCortana追加で、機能そろいぶみ。

マイクロソフトの最新モバイルOS、Windows Phone 8.1(以下WP8.1)の開発者プレヴュー版が公開されました。米GizmodoのEric Limer記者がさっそく使いレヴューをしています。今までになく満足度が高そうですが、どんなものなんでしょうか?

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Windows 8.1のアップデートは、細かいながらも効果的でした。WP8.1も同様に、うわーすげーってほどじゃないですし、世界が変わるとかジャンプして叫びたいとかいうものでもないんですが、今回ついに、Windows Phoneが新たなレヴェルに到達しています。ようやく一人前のモバイルOSになったんです。

WP8.1って?

それはライヴタイルの集合であり、モバイルOSです。マイクロソフトの描く統合コンピューティングの理想の中で、最小のスクリーンの頭脳部を担っています。そして、今までつねにAndroidやiOSを追いかけつつも追いつけずにいたWindows Phoneの最新版です。Windows Phoneとして、3度目の挑戦でもあります。

どこがすごいの?

これまでスマートフォン市場のほとんどをAndroidとiOSが占める中、Windows Phoneは苦戦し続けてきました。でも、まだ完全に希望が消えたわけじゃありません。Windows Phoneは、デザインとスタイルという意味でつねに新鮮でユニークな存在で、似たようなものになりがちなモバイルOSの世界における必要なイノヴェーターでした。いくつかの興味深いハードウェアを動かすモバイルOSでもあり、決して退屈さを感じさせません。

マイクロソフトは、パソコンにおいてWindows 8.1で成し遂げたことをモバイルではWP8.1で実行しようとしています。つまり、単に「競合プラットフォームと並ぶ」だけでなく、完全なものとして作り上げようとしています。はっきり言って、それを早くできなければ、間もなくAndroidやiOSに完全に置いてけぼりにされてしまう可能性もあります。

デザイン

WP8.1はぱっと見Windows Phone 8とほとんど同じに見えるんですが、それは良いことです。Windows Phoneの特徴的なスタイルはいつだって強力で、そのヴィジュアル・アイデンティティは今もこれまでも一貫しています。

Windows Phoneでは空白スペースをうまく使っていてほとんどボーダーがないので、インターフェースの見た目としては特に優れています。ライヴタイルはカラフルで美しく、アイコンの代替として面白いです。ただ、ウィジェットの正方形群が並んでいるより、ちゃんとした通知ハブがあるべきかなという気はしてました。

が、ようやくWP8.1にも通知センター ができたんです! まずはそこから見ていきましょう。

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既視感を感じられるとしたら、それは実際見たことがあるからです。WP8.1の通知センターは、AndroidとかiOS、特にAndroidの通知センターにすごく似ています。入ってきた通知と、いくつかカスタマイズ可能な項目が表示されます。デザイン的に特別なことはあまりありませんが、それこそが重要です。WP8.1の通知センターは、多分みんなが慣れ親しんだ方法でちゃんと使えるんです。

ただ、これ単体での見た目はナイスですが、Windows Phoneの美意識とはあまりマッチしていません。一応テーマに合う色を使って、黒地に直線的なくっきりしたデザインで、Windows Phoneらしくしようとはしています。でもこれは、Windows Phoneにおいてプレーンテキストと正方形が混ざり合う数少ない(もしかしたら唯一の)場所で、そのせいで何か違和感があります。さらに上部のトグルボタンがライヴタイルのバランスと合ってなくて、気にしだすと止まらなくなります。

通知センターの他に、WP8.1ではロックスクリーンの見栄えを変えるオプションがあります。ただしそのためにはネイティヴじゃないマイクロソフトアプリが必要で、未公開なのでテストはできていません。その公開時期や具体的な中身はまだわかりませんが、画像で見る限りでは良い感じです。

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そしてもちろん、マイクロソフト流パーソナルアシスタントCortana(SiriとかGoogle Nowみたいなもの)が検索ボタンからポップアップしてきます。Cortanaのデザインはシンプルでそのもので、これまた競合プラットフォームからうまく拝借しちゃってます。Siri同様ランディングスクリーンはミニマルですが、Google Nowみたいに今いる場所の天気予報も教えてくれて、スクロールダウンすれば、興味があるかもしれない(けどないかもしれない)大手ニュースサイトのトップニュースも見られます。

アプリを開くと超ミニマルなアヴァターに迎えられるんですが、こちらはWindows Phoneのデザインとマッチしてます。特に読み込みのときのアニメーションがナイスです。

全体的に、WP8.1のデザインは引き続きWindows Phoneらしいものでありつつ、でも他のOSと同じような微妙な工夫や追加機能もあって、より親しみやすくなっています。本当に新しいものは裏側に隠れていて、Windows Phoneのシステム的な問題をちゃんと解決しています。

使ってみてどう?

WP8.1でぱっと見目立つ機能はCortanaです。未来的でファンシーで、Haloファンにとっては夢そのものです。でもCortanaは、WP8.1のベストな機能ではありません。まずは通知センターから見ていきます。

・通知センター

通知センターなんてつまらないと思われるでしょうか。たしかにそうです。WP8.1の通知センターも特別なものではありませんが、だからこそ意味があるです。今まで、設計上あえて通知センターを外していたのか、単に時間が足りなかったのかわかりませんが、とにかくないということは問題でした。

Windows Phone 8にも通知はありましたが、いったん消えてしまうと見に行く場所がなく、よって全ての通知を見ておかないと何かしら見逃してしまうような感覚がありました。もちろんライヴタイルは常にアップデートされるんですが、メールアイコンに「4」とだけ表示されていても、通知センターみたいにメールのタイトルや冒頭部分まで読めるわけじゃありませんでした。両方ある方が望ましく、WP8.1ではその望ましい状態が実現されています。

さらに通知センターは、ちゃんと機能しています。見慣れたものは退屈ですが便利でもあるし、トグルはカスタマイズできるし、設定メニューへのリンクもあります。ライヴタイルみたいなオリジナリティはありませんが、通知センターにオリジナリティを求めるのは車輪の再発明をせがむようなものです。それにライヴタイルでのアップデートもあるんです。

ただ、通知センターによって便利で使いやすくなったものの、Windows Phoneの課題がなくなったわけではありません。Androidの通知は通知全体の量やひとつのアプリからの通知数によって個々の通知が圧縮されますが、WP8.1ではそこまでやってはくれません。

つまり、Twitterで何かの話題が盛り上がったりすると、他の通知がスクリーンの外に押し出されてしまうことになります。細かいことですが、気になると思います。

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たとえば僕は平日、メールがどんどん入ってくるだけで、もっと面白い・知りたかったアップデートがほぼつねに埋もれてしまってました。ひとつのアプリからの通知はスワイプひとつで消せるんですが、とにかく何か操作が入るのは面倒です。アプリからのアップデートが積み上がるばかりで、まるでWP8.1が見せたくて見せているようにすら感じます。たしかにメールが999通以上あるのはわかってる、でも今見たいのはFacebookの通知なんだ、そんな気分になります。

・Cortana

Cortanaは通知センター同様、新たに何かを作り出さずに基本的なニーズには応えています。AndroidやiOSでは既出の機能の組み合わせです。CortanaはSiriみたいに人格があって話し好きですが、Google Nowみたいにユーザーが意識する前に情報を出そうとしてきます。

ただ、CortanaにはGoogle Nowほどの予測力はありません。特にChromeとかデスクトップ検索といったGoogle提供の機能を使ってGoogleのエコシステムに深く入っている場合はなおさらそう感じます。

が、絶対的に全然ダメというほどでもありません。Cortanaを最初にセットアップすると、ユーザーの興味分野を推定するためのいくつかの質問をしてきます。といっても「エンタテイメント」が好きだからってどういうエンタテイメントが好きなのかははっきりさせないままですが、少なくともスポーツのスコア情報をフィードに入れないようにするとか、そんな感じです。

またヴォイスコントロールという意味では、Google NowとかSiriにちゃんと肩を並べています。Cortana、Siri、Google Now全てに対してテストしてみましたが、みんなほぼほぼ同等です。Cortanaがまだ出始めであることを考えると、なかなか良い線です。

同等といっても、Cortanaに独自機能がないわけじゃありません。Notebook機能を使うと、Cortanaが情報をのぞけるアプリとか連絡先を指定することができます。プライバシーを気にする人、またはターゲティング広告のために情報を取ろうとしている会社に人生のあらゆる情報を見られるのがちょっと気持ち悪いという人にとっては有用です。仕事のメールは良いけど、奥さんへのメールは読まないでねとか、そういうことができます。

Cortanaは人物指定でのリマインダもしてくれて、今連絡を取ろうとしている相手を見てリマインダを出してくれます。「スティーブと次に話すときゲームのことを聞く」とか設定しておくと、次にスティーブに電話するとき、またはテキストメッセージを送るとき、ちゃんとリマインドしてくれます。

これらの機能に加えて、CortanaはもちろんSiriとかGoogle Nowと同じ使い方もできます。

・アプリ

Windows Phone Storeが不毛の地というのはもう古い話ですが、まだある程度はそれがあてはまります。かつてWindows Phoneアプリの充実度といえば、紙皿に載ったプレーンなハンバーガー程度で、最低限のアプリはあるもののそれ以上ではありませんでした。今はVineInstagramPocketにと、いわばフライドポテトにソーダにケチャップも付いてる!という雰囲気が出てきて、ついに食事として認めてもいいレヴェルには達したと言えます。

ただ、デザートがまだありません。たとえばFlappy BirdとかCandy Crushみたいなアプリは必要ではないけれど、ないと寂しいんです。特に今は、iOSで流行ったものなら遅れてでもAndroidにポートされるので、他にあってWindows Phoneにないものの欠落感が大きいです。でも幸い、ニセモノのThreesはプレイできます。

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・その他もろもろ

マイクロソフトのサーヴィスを重用している人なら、WP8.1は使いやすいはずです。Windows 8同様、OneDriveを使えばスマートフォンとパソコンの間のデータ共有が超簡単、iCloudとかGoogle Driveよりずっと簡単です。Outlookアカウントに連絡先を保存している人なら、そこにいる人たちに対し家のWi-Fiを共有できます。Skypeを使っていれば、Cortanaから直接Skypeで電話がかけられます。少なくとも機能的には可能になってます。ただ僕自身は、連絡先にCortanaが「VOIP番号」として認識する番号が入ってなく、その追加の仕方もわからなかったので、これは試せないままでした。

電話番号のタイプといえば、WP8.1には頭にくるほど杓子定規なところがあります。ある夜、僕はガールフレンドにテキストメッセージを送ろうとして送れず、5分ほど格闘してしまいました。彼女の番号は連絡先情報の中にあるのに、そこからテキストメッセージを送るオプションがないんです。同様に、メッセージングアプリに彼女の名前をタイプしてもオプションは表示されませんでした。結局、電話番号を手入力するハメになりました。

その後わかったのは、元々僕が連絡先を入れていたGoogleの連絡先リストで、彼女の番号が「Mobile」じゃなく「Home」の番号となっていたことでした。するとWindows Phone的にはその番号は固定電話として認識するので、テキストメッセージは送れないと判断したようです。多分これはひとつの機能なんでしょうが、むしろ副作用の方が大きいです。もし連絡先を1から入れるんなら便利かもしれませんが、多くの人はすでに他のところで連絡先リストを作っていることを考えると、使いやすいとは言えません。

それから、WP8.1ではディテールに十分気を配れていないのも気になります。たとえばビルトインの地図アプリでは、ナヴィゲーションの間違いもなかったし、Cortanaのヴォイスコマンドで便利に操作できました。が、ニューヨークの地下鉄の路線名(LとかAとかの頭文字)を表示しなかったりします。何路線もある駅から急いで電車に乗らなきゃいけないとき、これはかなり使い勝手が悪いです。

好きなところ

まず繰り返しになりますが、WP8.1の通知センターはこれまで他のプラットフォームで慣れてきた人(つまりほぼみんな)にとっても使いやすいです。Windows 8.1が変化を嫌うWindows 7ユーザの心を動かしつつあるのと同じように、WP8.1はAndroidやiOSユーザーの特定の機能に慣れた人たちにも親しみを感じさせるでしょう。マイクロソフトはついにユーザに歩み寄ったんです。

同様にCortanaも革新的ではありませんが、SiriとかGoogle Nowと同感覚で使えます。少なくとも、音声で何か言えば答えてくれます。

WP8.1では単に競合に追い付いただけでなく、小さいながらいくつか独自機能もあります。絶対必要ではないけどあれば便利だとか、毎日使う機能じゃないけどチリも積もれば的に効いてくるとかいったものです。たとえば…

  • Cortanaの人ベースのリマインダは毎日使わないにしても、機能を覚えていればすごく便利です。
  • Wi-Fi自動ログイン機能のWi-Fi Senseは、同じパブリックネットワークに日常的にログインしていて毎回利用規約に同意するのが面倒な場合に便利です。Wi-Fi Senseの共有機能を使えば、家のWi-FiをFacebookの友達とかOutlookの連絡先の人にパスワードを教えなくても使ってもらえるので、家に人をよく呼ぶ人にとっては便利でしょう。友達もWindows Phoneを持っていればということですが。
  • ロックスクリーンアプリは、レヴュー用のビルドがなかったんで詳しくは見られてないんですが、見た感じ良さ気です。
  • Cortnanaの「Quiet Time」モードはiOSの「おやすみモード」みたいなもので、着信音を鳴らさない時間帯の設定ができ、さらにその時間帯でも音を出せる連絡先を指定できます。Androidには同等の機能がないので、この点はマイクロソフトが一歩先行できたようです。
  • Cortanaの自然言語理解力はなかなか評価できます。まあ「今日の天気を表示」と言う代わりに「今日はコートが要るかな」と言ってもいい、とかはちょっとギミック風味かもしれません。でも、Cortanaが変なリマインダを確認しようとしたときに「イエス」と言わずに「うん、とにかく、惜しい」と言ったりできるのは面白いです。

全体的に、WP8.1は従来のWindows Phoneよりずっと親しみやすくなりました。レヴュー用スマートフォンと自分用スマートフォンが同じ通知で同時に鳴ったとき、僕はいやいや仕事のレヴュー用にWindows Phoneの方をチェックする、のではなくて、使いたいから使うようになっていました。

これまで、Windows Phoneに対してそういう風に感じたことはありませんでした。

好きじゃないところ

WP8.1には、細かい仕上げレヴェルでの課題がいろいろあります。通知センターがすぐにあふれるとか、電話番号をタイプ別に分類するのがうっとうしいとかは上に書きましたが、それ以外にも細々と改善の余地がたくさんあります。が、その余地は従来なら「他のプラットフォームには何年も前からあるこの機能を入れるべき」という感じでしたが、今は「この目の上のたんこぶが気になってしょうがないから直して」という感じです。

AndroidやiOSからWP8.1に乗り換えるとしたら、今はもうデグレードにならず同レヴェルでの移行が可能です。それほど成熟してきました。もちろんAndroidやiOSでは今までできていた水準ですが、Windows Phoneが元々周回遅れだったことを考えると、追い付いただけでもかなりの成功です。

それでも、WP8.1にはまだ乗り換えたくなるような要素が多くはありません。問題ないってだけでもすごいんですが、スマートフォンは安くはないので、あるレヴェルを満たしているってだけではなかなか手が出ません。

買うべき?

WP8.1には、AndroidやiOSを超えて魅力的な要素はあまり多くありません。なのでAndroid・iOSどちらかのファンであれば、WP8.1に乗り換える理由はほとんどありません

でも、新たなOSを知りたくてしょうがない人、そしてWindows Phoneのハードウェア(たとえば特にLumia 1020)を使ってみたい人にとっては、WP8.1はWindows Phoneとして初めて、自然で完成度の高い選択肢になるでしょう。WP8.1へのアップデートによって、Windows Phoneは単に平均レヴェルになっただけではなく、他のOSで育ってきた人にとっても完全に条件を満たすものになりました。

WP8.1の成長によって、Windows Phoneの未来、そしてモバイルOSのパワーバランスの未来にも、一条の光が差してきたようです。

Eric Limer - Gizmodo US[原文

(miho)