800万ドル(約8億円)の最新無人潜水艦、深海の底に沈む

800万ドル(約8億円)の最新無人潜水艦、深海の底に沈む 1

深海の圧力に耐え切れず。

ウッズホール海洋研究所(WHOI)が開発したハイブリッド無人潜水機「ネーレウス」が先週末に海中で崩壊し、復旧不可能であることが発表されました。機体は今、ニュージーランド北東を走るケルマデック海溝の底、水深約10km地点に沈んでいると見られています。

ネーレウスは全長約4.2m、重量約3t。「ハイブリッド」たるゆえんは、操作用ケーブルの有無を問わず動ける点でした。2009年にWHOIのロボット部隊に入ってすぐにマリアナ海溝で水深1万902mまで潜り、無人潜水機としての世界記録を樹立しました。

沈没当時、ネーレウスはケルマデック海溝内の環境調査の最中でした。WHOIの「A Sad Day」(悲しい日)と題するプレスリリースには次のようにあります。

昨夜の潜水では、今回の巡航で最深の1万mまで潜りました。すべて問題なく進んでいました。サンプル採取用のプッシュコア(訳注:取っ手の付いた筒状の道具)はバスケットに2セット入っており、動画も約2時間分近くと、ケルマデック海溝の超深海環境に生きる個々の動物の様子も記録してありました。が、調査用のナマコの収集を終えて、ネーレウスを水中エレベーターに向かわせようとしていましたそのとき、カメラフィードが突然暗くなり、ネーレウスとの交信が途絶えたのです。

それほど心配はしていませんでした。これまでにも同様のことは起きており、設計上もこの種の事態に備えた装置や手順が用意されていました。ネーレウスと水上との交信が途絶えたら、船が安全な距離動けるよう30分間待って、その後ネーレウスが内部の重りを落として浮上することになっていました。よって我々は船を移動させ、待っていました。でも今回、ネーレウスの位置を知るために使っていた音響モデムからも交信がありませんでした。

それでも問題はないと思っていました。我々はネーレウスが最後にいた海底の位置、おおまかな上昇の速度、海流の動きも把握していたので。だいたいいつ頃どこに浮上してくるかがわかっていたのです。しかし、ネーレウスは現れませんでした。我々はみんな船上から探しましたが、見つかりませんでした。ただ、時間とともにやや懸念の色が出てきたものの、バックアップモードがいくつも内蔵されているので、そこまでひどいことになるとは考えていませんでした。最終的に、ネーレウスが約24時間水中にいた場合は「デッドマン」装置が働き、重りを保持する機構が解放されることになっていました。

最初のバックアップモードが働くはずの時間帯に近づいたとき、船員のひとりが白い物体を水中に発見しました。その物体の数はどんどん増えていきました。救助ボートが向かい、水面に続々と浮かんでくる白い物体をクルー3人の網ですくい取りました。我々はその頃には、ネーレウスを取り戻せないことに気づいていました。

サンプルとして収集されてネーレウスの道連れに(多分)されたナマコはかわいそうでしたが、人的被害がなかったのは不幸中の幸いでした。WHOIでは今後も同様の潜水艦の開発を続けるとしています。

追記:(2014年5月15日13:20)

初出時に「最深の1万km」と記していましたが、「最深の1万m」に修正しました。ご指摘ありがとうございました。

source: WHOI

Andrew Tarantola-Gizmodo US[原文

(miho)