Beatsを買収したら、アップルにまずやって欲しいこと

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買収話で膨らむ期待。

アップルがBeatsを買収するかもしれないという話で、盛り上がった週末でした。なんで?という声、やりましたな!という声など、反応は、各自それぞれ期待や得意分野によって違うようです。しかし、Beats買収について、アップルの買収噂話の中でも目を惹く特異なものであることと、その額がとんでもなくトップクラスであることは間違いありません。

もし成功すれば、特異で高額なだけに、期待できるビジネスになることは絶対でしょう。Beats買収後、アップルはどう変わるのか。アップルがやるべきことはなんなのか…。音楽ストリーミングサービス業界人、オーディオ好きやウェアラブル端末好き、ガジェットギーク以外、いわゆる「普通」の人にとって、まず最初に頭に浮かぶのは、やはりアップル最悪のプロダクトと言っても過言ではないあれ、アップルイヤフォンを変えることでしょう。

アップル最悪のプロダクト

アップルのイヤフォン、かつてそれはBeats by Dr. Dreヘッドフォンの先祖ともいえる代物でした。スマートフォンがまだない時代。デジタル音楽を楽しむために誰もが使いたいと思うクールな端末がiPodのみだった時代。全てのiPodにイヤフォンが付属としてついてきた時代。その時代に、アップルのあの白いイヤフォンを使い、白いケーブルをたらすのは、ポケットの中に最先端技術を持っているという証であり、ステータスでした。

が、アップルイヤフォンのヒットカルチャー牽引の栄光は、短い時間で幕をとじました。使い心地が悪い、すぐ落ちる、音が悪い、まるで使い捨て品のように見られるようになったのです。もし、音を気にする人ならば、別でイヤフォンやヘッドフォンを購入するのが当たり前という風潮到来です。

長らくイヤフォンのことは忘れてほったらかしにしていたアップルも、ついに3年もの月日をかけて再開発したイヤフォン(イヤポッド)を、昨年リリースしました。が、残念なことに大きな改良は見られず、新イヤフォンも、変わらず満足ができない品として、音を気にしない人だけが使っているやつというスタンスから抜け出すことはありません。

問題にすべきは、音を気にする人は少なくないということ。むしろ多いというのに、アップルはいまだ何百万というゴミイヤフォンを世に送り出しているという事態にあるわけです。

アップルとBeatsの存在

もし、Beats買収が成功すれば、ヘッドフォンの改革者ともいえる人々をアップルに迎え入れることとなります。iPodが音楽プレイヤーを、iPhoneがスマートフォンを革新的に変えたように、Beatsはヘッドフォンを変えた人々。Beats by Dr. Dreのヘッドフォンはアップルが埋めなかった穴を満たした存在です。そして、その穴とは実は大きくてお金を生み出す穴、ファッションアイコンとなる穴だったわけです。

Beatsの音質はひとまず置いておいて、(そのベースが重い音を好まない人は多い)Beatsヘッドフォンは、ヘッドフォン業界において、2つの個性で絶対なる地位を確立し、カルチャーとビジネスをがっしりと結びつけました。1つ目は、Beatsというアイコンになるステータス、そして2つ目は好きな人にはたまらない重いサウンドです。

しかし、Beatsヘッドフォンが最高の品かというと、そうでもないのが事実。むしろ、アップルのイヤフォン、(つまりは長く使えないプラスティックの塊であり、同じ価格帯ならばもっといい商品が他にある)と似たようなマイナス点を共有している部分も否めないでしょう。しかし、それでもアップルイヤフォンがBeatsから学ぶことは少なくないはずです。なんと言っても、Beatsは安価ヘッドフォン市場を大きく獲得した存在なのですから。

そんな存在のBeatsですから、過去に目をつけた企業は他にもありました。短期間ではありましたが、HTCとの連携で、HTC端末にBeatsイヤフォンを付属品として共に出荷したこともありました。残念ながら、そのイヤフォンはお粗末で、Beatsの開発品というよりも、HTCがBeatsのブランド力を使いたかっただけという代物でしたが…。それもあったのか、HTCとの連携は大きな展開を迎える前に終了してしまいました。

が、ここでアップルが名乗りをあげて、Beatsとガッシリ組むことができれば、今度こそ現在のアップルイヤフォンに不満を持つ人々を満足させられるチャンスが訪れるわけです。

価格と品物

アップルの最悪プロダクト、イヤフォンですが、正直、アップルは今のイヤフォンよりもいい物をどうやって作ればいのかわからないのだろうと思ってしまいます。安価でプラスティックのプロダクトを作る、それ以外どこをどうすればいいのか、方法が手元にないのではないでしょうか。実際、iPhoneを購入した時、そこにあるイヤフォンをどれだけの人が気にしているものでしょう。大きくはないとしても、制作コストをあげて作るイヤフォンに、会社を大きく変える何かがあるとは今は思えません。

イヤフォンの価格に目を向けるとなおさらでしょう。アップルは、イヤフォンを30ドル(2900円)で販売しています。これでは、今以上の物が期待できないのも納得。例えば、昨年にSol RepublicやShureが、アップルイヤフォンよりももっと良質なヘッドフォンを50ドル以下で発売しました。この状態を見ていると、思わずにはいられないわけです。アップルは、適正価格でよりよい物を作る気力がないのか、人がいないのか、とにかくプロジェクトができない状態にちがいない、と。常に完璧さとディティールを求めるアップルのやり方ならば、本気をだせばイヤフォンだって成功するものを作れるはずだからです。

アップルイヤフォンの失敗は、その没個性にあるのは間違いなし。アップルが現段階では自前でよりいいイヤフォンを作る気がないのだとすれば、この買収の噂が、少なくともイヤフォン改善に務めようとする姿勢がアップルにあるということを垣間見る希望の存在となるのです。

もちろんこれは、普通の人からみた「イヤフォン」だけに特化した、Beats買収の見方という話ですけれど。

Top art by Nick Stango

Mario Aguilar - Gizmodo US[原文

(そうこ)