Surface Pro 3レヴュー:最高のタブレットPCだけど、必要じゃない

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すごく良くなったんだ。でもね…。

12インチになったSurface Pro 3が発表され、米Gizmodoでさっそくレヴューしています。普段はMacBook Airを愛用しているEric Limer記者、Surface Pro 3をどう評価したんでしょうか?

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マイクロソフトのSurface Proがちょっと大きくなり、以前よりぐっとラップトップ寄りになりました。それはiPadというよりは、MacBook Air対抗機となっています。だからってSurface Pro 3が大成功を収めるとは思えませんが、とにかく良くできてはいます。

Surface Pro 3って?

マイクロソフトによる、ラップトップとタブレットを同時に再発明しようとする試みの第3弾です。超薄いUltrabookでもあり、巨大だけど持ちやすいタブレットでもあります。

どこがすごいの?

Surface Proの夢が発表されてから久しいです。初代Surface ProやSurface Pro 2はそれなりに健闘していましたが、残念ながら世界に火をつけるには至っていません。Surface Proの「ひとつのデヴァイスで、コンピューターでやること全部可能にする」という夢は非常に難しいものに見えました。

でも今、ルック&フィールをMacBook Air対抗に切り替えたSurface Pro 3は、マイクロソフトの描く未来の偉大さを示す最良の(もしかしたら最後の)チャンスなのかもしれません。

デザイン

まず考え方として、Surface Pro 3のデザインはこれまでのSurface Proと機能上は同じです。薄くてカラフルで取り外し可能なキーボードが(有料で)くっつく、タッチスクリーンコンピューターです。ただ基本は同じとはいえ、形は大きく違います。Surface Pro 3は完全に生まれ変わり、それはタイムリーでした。

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これまでのSurface Proは、マシンとしては美しかったです。でも先代、先々代ともに、帯に短したすきに長しでした。つまり、タブレットとしては高性能すぎ、ラップトップとしては貧弱でした。

Surface Pro 3は、これまでとは全然違います。厚さは0.36インチ(約9.1mm)と(フルのコンピューターとしては)ありえないほど薄く、先代の半分近くだし、重量も1.76ポンド(800g)しかありません。13インチのMacBook Air(厚さ17mm、重量1.35㎏)と比べると、厚さも重量も半分に近いです。一般的なピュアタブレットと同じくらい薄く、きわめて薄いiPad Airと比べても1.6mmの差しかないし、Windows RT搭載のSurface 2とほぼ同じくらいです。

それでいてマシン性能は従来を上回ります。ディスプレイは12インチで解像度は2,160×1,440(アスペクト比3:2)と、主要なタブレットのどれよりも大きいです。これは、小さなオールインワンマシンです。片手で使っていると大きい感じがしますが、キーボードを付けているときは、今までのSurfaceではありえなかった本物のラップトップを使っているような錯覚に陥ります。

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そのボディはスリムなだけでなく、美しいです。暗い黒でなくライトグレーを使っていることで、初めて持った瞬間からシャープなラインやSurfaceらしいデザイン美が感じられます。微妙に丸みを帯びた通気口が付いたことでやや美観が損なわれましたが、台無しではありません。全体で見ればやっぱり非常に美しいマシンです。

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Surface Pro 3はより薄く、大きくなっただけじゃなく、機能的にも良い意味で大きく変わった部分があります。それはキックスタンドです。先に残念なことをいうと、キックスタンドを出し入れするときのあのカチャっという音は、なくなりました。あれはマイクロソフトが品質感を演出するためにわざわざ作ったものだったんですけどね…。でもその代わりに、0度から150度まで自在に調整できるヒンジが付きました。カチャッカチャっていうヒンジのような楽しさはないかもしれませんが、はるかに便利です。変更の理由としては十分以上です。

それからSurface Proには、キーボードとしてタイプカバーを付けないことには意味がありません(いまだにオプション扱いなのって、もしかしてちょっと僕らのことバカにしてますか?と思うレヴェルなんですが)。Surface Pro 3用のタイプカバーにも、新しいアイデアが載ってます。12インチスクリーンに合わせて大きくなっただけでなく、上部全体にマグネットバーが付いています。このバーがカバー全体をSurface Pro 3の下のベゼルにくっつけて、安定させてくれるんです。こちらは楽しくもあり、便利でもあるアイデアです。その点以外は、従来通りのカラフルで薄くて布みたいでコンパクトで使いやすいタイプカバーです。

それからもうひとつ、スタイラスをホールドするためのしかけも付いてます。ただ、そもそもスタイラス自体要らないって説もあるので、これはすぐ外しちゃう人も多いかもしれません。

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使ってみてどう?

Surface Pro 3はラップトップであり、タブレットでもあるというのが基本的なアイデアです。でもサイズが大きくなって、内部パーツも強力になった分、Surface Pro 3の軸足は明らかにラップトップに移っています。

ラップトップとしても、Surface Pro 3は驚くほど良くできています。タイプするときも安定しているし、ひざの上でもちゃんと使えます。これはラップトップとしては非常に重要なポイントで、おかげでSurfaceの存在価値が高まっています。

ただ、ラップトップとして良くなったということは、タブレットとして犠牲にしたものもあるということです。12インチはタブレットにしては大きすぎて、これはキーボードを付けずに持ったときに毎回感じます。

Surface Pro 3を初めて見たときは大きさを感じないことに驚いたんですが、数日使ってみると、ラップトップモードのときとタブレットモードのときのサイズ感の違いがよりクリアに、ちょっとおかしいほどに感じられるようになりました。ほとんど目の前で変身してるような感覚です。キーボードがないと妙に巨大に、キーボードを付けると普通に感じられます。

そのタブレットモードでの妙な大きさ感の分、ラップトップモードにしたときは大きさがありがたく感じられます。先代のSurface Proを使ったときは、中のパーツがどんなに高性能だといっても、やっぱりタブレットにキックスタンド付きキーボードを貼り付けたものという感覚がありました。16:9のアスペクト比とか、細かい角度調節ができないこととかも、ニセのラップトップ感を強めていました。そのニセモノっぽさは、どれだけ使っても、どんな作業をしていてもぬぐえませんでした。

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Surface Pro 3では、そんなニセモノ感がほぼなくなっています。10分ほどオフィスの机で使ったときは、僕のだらしない座り方に合わせてスクリーンを鋭角に立てたくなりました。でもキックスタンドの構造上、鋭角にすると倒れやすくなります。ただ逆に、そんなときにアレ?なんで?って思えるのは、Surface Pro 3がラップトップであるかのような感覚があるからです。これは大きな進歩です。

でもそれは文字通り机の上での話なので、マイクロソフトが可能だと言い切った、ひざの上ではどうでしょうか? 試してみると、たしかにひざの上でも、寝そべってても使えました!

どれだけ自在な使い方が可能か、こちらをご覧ください。

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Surface Pro 3を入手したのは米Gizmodoの「Home of Future」っていうイヴェント開催中のときだったので、そこにあったおかしな家具でいろいろ試してみました。単に座っただけじゃなく、実際仕事もしてました。

こんなラップトップ的な使い方が可能になった裏側には、ふたつのイノヴェーションがあります。まずタイプカバーのマグネットバーでキーボードがタブレットにしっかりとロックされ、ほとんどヒンジみたいになっていること。これがラップトップとしての使い心地の良さに30%くらい貢献しています。残る70%は上にも書いた新しいヒンジで、従来できなかった細かい角度調節を可能にしています。従来のキックスタンドでは2段階にしか調節できなかったので、使用感としてはぐっと快適になりました。

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米Gizイヴェントの間、Surface Pro 3を入手する前はよくMacBook Airを開いたまま歩きまわってました。でもそのときは注意して、コーナーをしっかり持つ必要がありました。たとえば別室にいる上司が、ある新しいガジェットについて説明してくれっていうんでその部屋に向かいつつ、画面をチェックし続ける、そんなときです。Surface Pro 3だとこの種の動作がものすごく簡単になりました。キーボードを裏側に回すか取り外して持てば、歩きながらの画面チェックも快適です。とはいえ、歩きながらデスクトップで使うようなアプリを動かすのにはまだちょっと違和感がありますが、それは従来のSurfaceのようにディスプレイが小さすぎて使いにくいというのとは別の違和感です。

とはいえ、Surface Pro 3は完ぺきとは言えません。バッテリーライフはまあまあで、ヘヴィーに使っても7時間前後使えます。悪くはありませんし、これまでのSurface Pro(Surface Pro 2は5時間でバッテリー使いきってました)と比べれば進歩してます。でも一般的にラップトップは、ちょっと大きくなるだけで10時間とか15時間使えるので、7時間というのはちょっと物足りないです。

それから、タイプカバーも今ひとつです。タイピングに関してはまあ可能なんですが、何となくしっくり来ないんです。ラップトップみたいなキーボードをこれだけ小さく収めたのは評価できるんですが、使ってみて積極的な意味で嬉しいところがありません。

さらにタッチカバーに関しては、前ヴァージョンより改善したものの、まだまだ良いとは言えません。2、3分連続で、全クリックを右クリックだと誤認識してくれて、指の動きを思いっきり大げさにしても間違いつづけるっていう悪夢がありました。

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それからもちろん、タブレットモードでの使用感にも触れるべきなんですが、特に言うべきこともないんです。見たまんま、すごく大きなWindowsタブレットです。Netflixとか、正規の方法で入手した映画なんかを見るのには良かったです。カジュアルなネットブラウジングとか、カジュアルなタッチスクリーンでのタイピングにも良いです。良くも悪くも、iPadとかGalaxy Tabより明らかに大きいです。ベッドに入ってSurface Pro 3でMad Menを見ましたが、問題もなければ特に感動することもなく、強いて言えば背面が熱くなったくらいです。

Surface Pro 2と同様、Surface Pro 3をタブレットで使っていると「なんでタブレットにこれだけの性能が必要なの?」と疑問がわいてきます。その答えは、「必要ないよね」です。タブレットモードは、Surface Pro 3においてはオマケに過ぎないんです。これでもしハードウェアが古かったら問題ですが、Surface Pro 3はラップトップの代替として有効なので、そんな疑問を無視してしまうことも簡単です。ただその疑問は、いつまでもそこに残ります。

好きなところ

Surface Pro 3のハードウェアは今までどおり美しく、しかも今回は機能がそれを裏打ちしています。キックスタンドの新しいヒンジと、タイプカバーのマグネットバー、そして大きなスクリーンによって、Surface Proがついにラップトップらしくなりました。

何かしようとした瞬間に未来の夢がかすんでしまった従来のSurfaceと違って、Surface Pro 3には本当に未来感があります。ひざの上で使ってみると、それが可能になっていること、そして快適ですらあることで、喜びがわいてきます。もちろん「ひざの上でちゃんと使える」なんてラップトップらしさを認めるには最低限のラインのはずですが、それでも何かすごいなと感じます。

ヒンジは本当に良かったです。従来のクリック音がなくなったのは寂しいですが、動かせる角度が広がったことでトレードオフとしては十分です。それから、ヒンジの安定感も重要です。シリアスな感じがして、使い続けてもゆるんだりしなさそうです。半面、どこかで何かの汚れがついたりしたらちゃんと動かなくなりそうな気もしますが、今のところは大丈夫です。

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そして大きなスクリーン。キーボードが付いてるものには、大きなスクリーンがすごく重要です。それで本当にラップトップみたいな感じが出て、Windows 8の価値を発揮するだけの面積もあります。

スクリーンサイズを大きくした、この判断の素晴らしさは言い尽くすことができません。このおかげでタブレットとしては何か変な感じになっていますが、このトレードオフは本当に本当に有意義です。それから解像度も2,160×1,440で、MacBook Airより明らかにきれいです。

OneNoteが統合されたのも楽しいです。スタイラスのボタンをクリックするとOneNoteが動き出し、そこに手書きで書きこめるようになります。手書きよりタイプのほうが早いという人(だいたい全員?)にとっては便利かというと疑問ですが、ギミックとしては楽しいです。感圧式のスタイラスもナイスで、絵を描く人じゃない人でも気持よく使えるはず。ちなみにこれは僕が描いた絵です。

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好きじゃないところ

欠点とは言えないかもしれませんが、タイプカバーはSurface Pro 3に付いてきません。追加で130ドル(約1万3,000円)かかります。でも基本的にマストアイテムであることを考えると、Surface Pro 3の価格はマイクロソフトが言うよりも130ドル高いってことになります。

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Surface Pro 3はラップトップ寄りになったといっても、完全にラップトップになったわけではなく、その点がイラっと来ることがあります。まず、画面を鋭角に立てては使えません。それに、ラップトップならフタを開けるだけでいいのに、Surfaceではカヴァーを開いて、キックスタンドを開くというふたつの動作が必要です。タイプカバーも使えはしますが、本物のキーボードではありません。このへんの問題は今までより小さくなってはいますが、ラップトップに慣れたユーザーにとっては今でも残る課題です。

Surface Pro 3を長時間使っていると、発狂しそうなことがありました。その理由はハードウェアのせいではなく、Windowsが悪いんです。デュアルモニタの各モニタでスケーリングを変える設定が可能なはずなんですが、ちゃんとできたためしがありませんでした。なのでデュアルモニタで使ってるときは、スケールを大きな外部モニタに合わせればSurface Pro 3側のテキストが小さすぎ、Surface Pro 3に合わせれば外部モニタの表示が大きくなりすぎるという問題が起こりました。これはWindows 8において長いこと指摘されてきてますが、アップデートでも一部のデヴァイスでしか対応されてません。すごくイライラするので、これがあっても買う気を保てるかどうかギリギリのところです。

Windowsに関して、個人的かつ細かい問題を挙げると、あとふたつあります。ひとつはまともなCampfireクライアントがないこと、もうひとつはあるヴァージョンのChromeがうまくアップスケールできないことです。このおかげでSurface Pro 3もWindowsデヴァイス全般も、使っていてストレスフルだし楽しくありません。でも特にSurface Pro 3では残念な短所で、他の短所もさらに不満になってしまいました。

ファンは静かですが、Netflixを見ていると背面がかなり熱くなります。トラックパッドはまだ、まだまだです。

スタイラスもしょっちゅうなくしてしまいました。タイプカバーにくっつけるためのアタッチメントは、以前の充電ポートにくっつける方法よりはマシですが…。

買うべき?

ラップトップをどれくらい持ち歩いてますか? それも開いた状態で。かなり頻繁でしょうか? 本当に、すごく頻繁でしょうか? それなら買うべき、かもしれません。

でもそれほど歩きラップトップしない人なら、多分買わないほうがいいです。Surface Pro 3は素晴らしいデヴァイスではありますが、そんなスーパーパワーが本当に必要なんでしょうか?

もっと大きな疑問は、Surface Proが今やっと一人前になったとして、Surfaceの夢 は実現できるんでしょうか? その答えは、「ある意味ね」としか言えません。

Surface Pro 3が使えるラップトップになったのは、夢のようなことです。でもフルWindowsタブレットを持つメリットは、まだまだニッチです。僕はタブレットを個人的には持っていませんが、Surface Pro 3を自宅で使っていても人生が豊かになった感じはしませんでした。Twitterとかカジュアルなメールはいつも手元にあるスマートフォンで打ったほうがいいし、ベッドで映画を見るのも、MacBook Airとか他のWindowsラップトップと比べて良くも悪くもありませんでした。

たしかに、Surface Pro 3ではもっとはっきりしたユースケースも想定されています。SurfaceスタイルのPhotoshopが発表されていて、これは多分写真を撮る人には良いんじゃないでしょうか。米Gizmodoにいるフォトグラファーふたりも、今回のレヴュー用Surface Pro 3を触りにきました。彼らはMacBook Proでの作業に不満があるようです。

またアーティストなら、感圧式スタイラスとか大きなスクリーンをいろいろ使ってみることでしょう。でもそうじゃない多くの人にとっては、Surface Pro 3はクールなハードウェアではありますが、必要ではありません。多分普通のラップトップのほうが、Windowsであれ他のプラットフォームであれ、使いやすいはずです。

従来型のラップトップではなくSurface Proを選ぶときの価格差は今までより小さくなりましたが、まだゼロではありません。そしてわざわざSurface Proを選ぶメリットは、まだニッチです。そのメリットを魅力的に感じる人なら、もちろんSurface Pro 3を買うべきです。Surface Pro 3は素晴らしいですが、だからって必ずしも、それが求めるものだとは限りません。

・Surface Pro 3 スペック(レヴュー機)

ディスプレイ:12インチ、2,160×1,440
プロセッサ:Intel Core i5 Haswell
グラフィックス:Intel HD Graphics 4000
メモリ:8GB
ストレージ:256GB SSD
ポート:フルサイズ USB 3.0、microSDXCカードスロット、ヘッドセットジャック、Mini Displayポート、カバーポート
寸法:11.5×7.93×0.36インチ(292.1×201.4×9.1mm)
重量:1.76ポンド(800g)
価格:(レヴュー機)タブレット本体 1,000ドル(約10万2,000円)、タイプカバー 130ドル(約1万3,000円)

Eric Limer - Gizmodo US[原文

(miho)