原因不明の疾患をDNAテストで診断可能に

原因不明の疾患をDNAテストで診断可能に 1

イノヴェーション万歳。

医学と言えば真っ先に思い浮かべるのは治療ですよね。処方薬、手術、セラピーなどなどさまざまな治療法があります。でも適切な治療を行うには、正しい診断が欠かせません。ただ、症状が紛らわしかったり情報が不十分だと、診断自体が困難な場合も往々にあります。今回そのような原因特定が困難なケースで、高速DNAシーケンシングを使用する試みが行われました。結果、他の検査では不可能だった病原体の特定に成功し、14歳の少年の命が救われたのです。

この結果について、ローレンス・リバモア国立研究所の研究者は、ニューヨーク・タイムズに「これは素晴らしいことです。優れた偉業です」と語っています。

Joshua Osbornくんは、何週間にもわたり激しい頭痛と高熱に悩まされ、ついには昏睡状態に陥りました。脳炎と呼ばれる症状が起きていたのです。脳炎と言うとそれだけで立派な診断名のような気がしますが、実は脳が炎症を起こしている意味でしかなく、原因までは分かりません。脳炎は細菌、ウイルス、真菌などさまざま理由で発症するのです。

あらゆる検査がなされたものの、Joshuaくんの脳炎の原因は分かりませんでした。そこで彼の担当医はカルフォルニア大学の研究者たちと協力して、実験的にDNAシーケンシングを使うことにしました。無作為抽出次世代シーケンシングと呼ばれる方法で、Joshuaくんの脳脊髄液からあらゆるDNAを抽出し、病原体に属する断片を探してみたのです。すると48時間もしないうちに脳炎を引き起こしていたレプトスピラ(正式名:Leptospira santarosai)という細菌が発見されました。原因解明により、Joshuaくんに適切な治療を施すことができたのです。

実は、DNAシーケンシングによって患者の病原体を特定した事例はこれまでにもありました。でも、そのプロセスは非常に時間を要するので、今回のような緊急のケースで使用するのは現実的ではなかったのです。何百万ものDNA断片をチェックするには、非常に高性能なコンピュータが必要ですし、何より時間がかかります。しかし今回は、新しく開発されたソフトウェアによってこれまでより高速にDNAを解析することができました。

もちろん、完全に実用化するにはまだまだ課題もありますし、人間の体内に住んでいる病原体は無数にあるため、常に正確に問題を特定できるとは限りません。ただ人間のゲノム塩基配列は13年前に解明されましたし、DNAシーケンシングがさらに安価で高速に進化していることを考えると、この技術が医療現場に普及していくことは間違いなさそうです。すでに大規模なシーケンシングが研究所や病院でも行えるようになってきましたし、2年前には、ゲノム塩基配列の解析でウィスコンシン州の少年の遺伝的疾患が見立てられています。今後ますますの技術発展に期待ですね。

Image by Jezper / Shutterstock

source: NEJM via New York Times

Sarah Zhang - Gizmodo US[原文

(mana yamaguchi)