先取りしていたグーグル・グラスを含む、ダイソンの3つのお蔵入り発明

先取りしていたグーグル・グラスを含む、ダイソンの3つのお蔵入り発明 1

発表していたら、歴史が変わっていたかも?

ダイソン初のサイクロン式掃除機が発売されたのは21年前。しかし、消費者が手に取るまでに、研究開発チームは5,127台のプロトタイプを経て製品を完璧に仕上げていきました。以来、ダイソンの研究開発チームは数々の素晴らしい製品開発してきましたが、中には日の目を見ることなくお蔵入りしてしまった物もあるんです。

他社よりも常に先を行くため、ダイソンは研究開発施設への4億ドル以上の投資と拡張を発表し、研究能力を倍にまで高めると先日発表しました。そして研究への公約を祝し、普段はバイオメトリクス認証とコードネームで厳重に守られている発明の中から、プロトタイプの域を出ずにお蔵入りになってしまった3つを公開しました。

13年前のグーグル・グラスの前身

ダイソンの名は掃除機や扇風機、ハンドドライヤなどの家電業界ではすっかりお馴染みになりましたが、2001年、それまでとは打って変わった拡張現実ヘッドセットの開発を始めました。グーグルのそれと同様のヘッドアップディスプレイ方式ですが、ダイソンが開発したものは、なんと3Dでした。

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コードネーム「No66」を与えられたこのデヴァイスは、「Dyson Halo」という名前でより知られていました。Haloはグーグル・グラスを遥かに超える機能を持ったウェアラブルデヴァイスでしたが、それゆえにプロセッサ、メモリ、そして電池を積んだiPodサイズの別途の本体が必要となりました。

では、携帯性を犠牲にして何を得たかというと、家でもオフィスでも、Haloをモニタとキーボード、そしてマウスと接続することで、デスクトップPCとしても利用できたのです。つまり、グラスと違いモバイルコミュニケータ以上のものを目指していたというわけですね。

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右目の前に小さなディスプレイを置くよりも、Haloはより普通の眼鏡と同じように機能していました。このヘッドセットの場合、ディスプレイそのものは両サイドのコメカミの近くにあり、そこからの映像は2つの鏡に投影され、結果として10インチの3Dディスプレイが目の前にあるように見える仕組みでした。そして過去のPDAや現在のスマホがそうであるように、様々なアプリ(なんとフォトショップまで?)がグリッド表示されていました。

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簡単なヴォイスコマンドやテキストトゥスピーチによる音声ナビゲートにより、ハンズフリーでOSを操作可能でしたが、Haloは他にも手を使った興味深い方法で操作できました。

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小さいジョイスティックです。昔のラップトップのキーボードによくあったアレに近いものですが、それを腕時計のように付けることで、カーソルを動かしてHaloのUIを操作できたのです。しかし更に興味深いのは、ヘッドセットに内蔵されたジャイロスコープでした。これにより、頭の動きに関わらず現実の表面上にARのオブジェクトを固定させることができます。なので、例えば仮想のキーボードを机の上に表示させれば、頭がどう動いても位置は机に固定され、ヘッドセットのカメラから指の動きを読み取ることでキーが入力されるようになります。

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Dyson Haloの開発は、より大きなアメリカの市場への展開にリソースを割くために、3年間の研究を経て保留となりました。しかしダイソンによれば、Haloの研究成果の一部は他の最高機密の研究プロジェクトに生きているとしています。

ダイソンのフィルタ技術を利用し、ディーゼルの排気ガスをクリーンに

ダイソンの技術は、なにもペットの毛を吸い取るためだけのものではありません。複雑に絡み合うチューブや容器の奥には、0.5ミクロンのホコリの粒子をも捕らえるフィルタが存在します。ダイソンのエンジニア達は、この技術はディーゼルの排気ガスをクリーンにし、空気汚染を軽減させるのにも有効ではないかと考えました。

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そこで1997年、コードネーム「X007」、「Dyson Diesel Trap」が開発され、ディーゼル排気ガスを構成する2.5ミクロンの粒子なら軽々と捕らえられるフィルタとなりました。

「X007」の開発初期から、掃除機と同じサイクロン技術はエネルギーを大量に必要とし、車の燃費を悪くしてしまう事を研究者達はわかっていました。粒子を薄い油でコーティングするシステムなどを経て、結局エンジニア達は、放電する事で粒子を電離させ、空気を汚染する前に収集、焼却する静電気システムに落ち着きました。

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実は、ダイソンはそもそも掃除機を売ること自体に興味はありませんでした。本当は掃除機メーカーに、ダストバッグに替わるものとしてサイクロン技術をライセンスする予定だったのです。ところがどこのメーカも興味を示さなかったので、結局自分達で掃除機をデザインする事になったのです。このDiesel Trap技術でも同じことが起きました。

自動車メーカもディーゼルエンジンメーカも、効率で劣り、掃除機のバッグ同様詰まりを起こすセラミックのフィルタを選択したため、ダイソンのフィルタ技術は忘れられたプロジェクトとなってしまいました。

燃料電池による電動モータ

ガソリンよりエコな選択肢として、燃料電池の名前は聞いた事があるかも知れません。これは水素と酸素の化学反応から電気を取り出す技術で、理論上であれば、タンクに入れるのは水だけでいいのです。

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ダイソンの研究開発ラボは10人のエンジニアに、燃料電池に既存のモータを組み込むよう命じました。そして3年後、彼らはV4HFデジタルモータの開発に成功しました。このモータは小さく軽量で、燃費が良くなり、3倍早く起動し、しかもパワーも20パーセント向上しました。こんなものがお蔵入りなんてもったいなすぎる!

しかしありがたいことに、V4HFそのものはダイソン製品に使われていないものの、その高い可能性を見込んで今もさらなる開発が行われているそうです。

最近のダイソンがコードレスの製品を加え続けている事を考えても、コンパクトな掃除機や、他にもコードがない方が使いやすい製品にこの技術がいずれ使われる事は想像に難くありません。

何より興奮するのが、これらはあくまで、数多くあるプロジェクトの中でダイソンが公開した、ほんの3つにすぎないという事です。他に、一体どれだけの素晴らしい発明が行われているのでしょうか。そして、それらを見る機会は、いつかやってくるのでしょうか?

Andrew Liszewski - Gizmodo US[原文

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