電動ハーレー・ダビッドソンに見るアメリカの未来とは

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時代の波は、ハーレーをも飲み込むのか。

上の写真は、2016年発売予定のハーレー・ダビッドソン初の電動バイク「LiveWire」です。アメリカを象徴してきたハーレーが、電動バイクを開発。そこにはどのような意味が隠されているのでしょうか。

まず、こちらに見える「Project LiveWire」は、製品版のバイクではありません。これは技術のテストではなく、消費者の反応をうかがい、少しずつ電動ハーレーのコンセプトに理解を求めるためのものです。

しかし、電動バイクの開発は最早避けては通れません。電動モータのパフォーマンスにおけるアドヴァンテージは、ハーレーすら見過ごす事ができない程に内燃機関を上回っているからです。バイク業界における情報やレヴューの権威的サイト、Motorcycle.comは、2016年ではLiveWireの製品版が発売されると見ています。

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ある意味では、今ご覧のバイクが最終的な製品ではなくて良かったのかも知れません。見た目の格好良さはともかく、パフォーマンスは…正直、期待はずれです。

ハーレーによれば、LiveWireの交流誘導モータは74馬力70.5Nmのトルクを持ちます。なので、ゼロから時速100kmまで4秒以下で加速しますが、最高速はわずか時速148kmです。しかし更に残念なのは走行可能距離で、たったの85kmです。その他のスペックは現在公開されていません。

比較すると、同社で最も安いスポーツスター883ですら73Nmのトルクがあります。一速しかないLiveWireは0rpmからトルクが全開で、四速で固定されているような状態ですが、スポーツスターなら五速までギアを変速する事で、後輪の加速力を倍加する事ができます。結果として、2つのバイクの性能はほぼ同じとなるでしょう。

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そんな状態なので、当然既に発売されている電動バイクの後塵を拝する事になります。Zero Motorcycles SRのトルクは144Nmだし、5万9千ドルのMisson RSの最高速は時速241kmに達し、ラップタイムでも公道でも、量産されているバイクでは世界最速です。

ハーレーはLiveWireの走行音にかなりの自信を持っており、「空母に乗った戦闘機」のようだとしています。

ハーレーの社長であり最高執行責任者のMatt Levatichさんは「Project Live Wireは、この先何世代にも渡って走りの自由を保持し、継続していくための取り組みの一環です。」とコメントしました。つまりこのバイクは、現ハーレー乗りに電動ハーレーのコンセプトを馴染ませつつ、新世代のライダーを呼び込むためのものなのです。

Motorcycles.comの編集長、Sean Alexanderさんはこう解説します。

LiveWireは、ハーレーにとっての電動バイクへの重要な足がかりとなり、セグメントの市場成長率を測りながら実際に製品化するまでの時間をかせぐスマートな一手だ。大手バイクメーカで初めて、スクータのレベルを超えた電動バイクを開発したと主張できるし、デジタル世代の若者にもアピールできる。

もっともです。でなきゃ、テックブログでハーレーの記事なんか読みませんよね?

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ベイエリア生まれの電動バイクスタートアップ企業、BRDの社長、Marc Fenigsteinさんもこのプロジェクトを高く評価しています。

ビューエルとMVアグスタを失って以来、ハーレーには商品展開を拡大するだけのコスト的、そしてブランド的リスクを負う気はないと思っていました。しかし、これは(インド産の)ストリート500や750よりも遥かにリスキーだし、結果も見事です。デザインはクリーンで機能的だし、ブランドにも沿っています。

この分野のエキスパートでもあり、自身も電動バイク2種類が製品化目前に迫っている彼に、米GizmodoはLiveWireの写真を見せ、バイクの内部を考察してもらいました。

Misson Motorsの協力を得てデザインされた交流誘導モータは、モト・グッツィ VツインやBMWボクサーのように横置きされ、バッテリーの下を「ショットガン」のように見せていますね。恐らく、ドライブスプロケットへ向かうベヴェルドライブギアが「戦闘機」の音を作り出すのでしょう。横置きにする事で比較的長いモータをスリムなシャシーに収納でき、この電動モータを実に象徴的なものにしています。それは、彼らのガソリンバイクにおけるVツインエンジンが、最も大きな特徴でありブランドを確立している事に似ています。

ウェイトの情報なしにスペックを憶測すると私が怒られかねないのですが、一般的に電動バイクは、消費者を納得させられれば、パワークルーザに最適だと言えます。この手のバイクの多くは都市で利用され、多数の信号でストップ&ゴーを繰り返します。短距離を低速で走る事が多いのですが、ドラッグレースが楽しみになるでしょう。バッテリを多く必要としないし、電動モータはドラッグで素晴らしい力を発揮しますからね。

繰り返しになりますが、彼らのデザインは見事だと思っています。過去の遺産はデリケートなので、「未来」をイメージしたい製品のデザインには大きな重荷となったでしょう。ハーレーのチームは、紛れも無い「ハーレー・ダビッドソン」でありながら、レトロ感や古臭さが一切ないものを作り出す事に成功しました。また、かなりアグレッシヴなハンドル角度や、ライディングポジションを見れたのも嬉しいですね。乗るのは本当に楽しいと思いますよ!

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これから実際の生産に入るまで、ハーレーはLiveWireをアメリカ中で披露し、試乗と共にフィードバックを集めるツアーを予定しています。ツアーの最初の地は、ルート66です。飛ばしてみたいなあ!

Wes Siler - Gizmodo IndefinitelyWild[原文

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