ベストデザイン賞の建物に隠された真実

ベストデザイン賞の建物に隠された真実 1

建物、オブジェクト、ソフトウェアを対象に、毎年ロンドンのデザインミュージアムが与えるベストデザイン賞。毎年様々なプロダクトなどが選ばれるのですが、去年は英政府のウェブサイトが選ばれたことで注目を集めました。今年は、アゼルバイジャンの文化センターが選ばれたことで、色んな意味で沢山の注目を集めています。

日本では新国立競技場のデザインで話題になっている、英国を拠点に活動するイラク人建築家、ザハ・ハディド。今回ベストデザイン賞に選ばれたヘイダル・アリエフ文化センターはアゼルバイジャンの首都・バクにあり、変わった形の鉄骨屋根の下には、劇場などが入っています。

ベストデザイン賞の建物に隠された真実 2

Image: Iwan Baan

審査員によれば、「美しい」、「特徴的」、「マリリン・モンローのめくり上がったスカートのようにピュアでセクシー」など様々ですが、要するにかっこいいんです。ですが、見た目がかっこいいけど、建物のデザインとしてはどうなんでしょう?

この建物は建てられる以前から、地元からも海外からも物議を醸し、批判されていました。名前にもなっているヘイダル・アリエフ氏はアゼルバイジャンKGBを経て、第3代大統領として国を率いたのですが、就任中は人権問題などで告訴されたりと2003年に息を引き取るまで問題が耐えない人でした。このヘイダル・アリエフの名前がついた建物を「ザハは建物として表現している」なんて歴史学者に言われたことも。

ヘイダル・アリエフ氏が亡くなった後は、息子のイルハム・アリエフ氏がアゼルバイジャンの大統領となりました。ソ連崩壊後から石油で国が富を得るまで、国を引っ張り続けたイルハム氏ですが、またもや人権問題が深刻な問題となっていたようです。去年は投票が始まる24時間以上前に「選挙結果」が誤って発表されてしまい、世界中から注目を浴びることもありましたが、やはり勝ったのは、英BBCによって「以前から確定していた大統領」と揶揄されたイルハム氏でした。

イルハム氏は国の資源から得た財産で、バクに今回のような建物を建てました。予算などは一切公表されませんでしたが、高くついたことは間違いなさそう。ヒューマン・ライツ・ウォッチは最新のレポートで、「政府は代償金など一切与えず、何百もの家庭をバクから追い出した」、英ガーディアンも250以上の家が文化センター建設のために犠牲になったと報道しています。建設に関わった労働者たちも、国中から集められたものの、彼らの扱いが問題視されています。

この建物は、色々な批判や問題を無視して、むりやり建てられたものです。ザハ・ハディドのデザインは素晴らしい物かもしれませんが、本当に素晴らしい建物は地域の問題を解決するものであって、新たな問題を作りだすものではありません。デザイン・ミュージアムはこれらの事実を無視し、本当に深刻な人権問題を存続させてしまっています。本当にいいデザインとは、なんなのでしょう?

この問題が、デザインとは関係ないと言う人もいるでしょう。デザインは、一部の人にはケーキの飾りにすぎないかもしれません。でも、本当にいいデザインは何もない状態から良い物を作り出します。他の候補を見れば、それがどんなものであるか分かるはずです。無料で目の検査を受けられたり、よりスマートなデザインの、姿勢をよくする小学校の椅子だったり、新しい形の楽器や車だったり。

「ピュアでセクシー」で、崩壊しそうな政府が建てた文化センター。美しいかもしれませんが、本当にベストデザイン賞に選ばれるべきだったのでしょうか?

Kelsey Campbell-Dollaghan - GIZMODO US[原文

(るな)