五輪開催地の大きすぎる負担、立ち上がる都市と市民

五輪開催地の大きすぎる負担、立ち上がる都市と市民 1

新国立競技場問題に見た、社会の変化。

2020年の東京五輪会場となる新国立競技場に関しては、当初見込まれた約3,000億円という総工費の巨額さなどから大きな反対運動が起きていました。それを受けて今年5月には予算規模を概算1,625億円にまで縮小する基本設計が提案され、承認されました。

設計しているのはロンドンを拠点とするザハ・ハディド・アーキテクツで、彼らも今週BD Onlineで当初計画からの見直しについて正式に認めました。そこでは「投資を最適化し、より効率的でユーザー重視、柔軟かつ持続可能なスタジアムを作る」よう設計を見直したとしています。

反対運動には、伊東豊雄氏などの有名建築家を含む数万人が参加してきました。彼らが指摘していたのは、既存の国立競技場を壊して新しいものを建てる非生産性、それに伴う莫大なコスト、そして安全性の軽視とも見える巨大な設計、さらには当初のデザイン案コンペにおける閉鎖性といったさまざまな問題でした。

縮小案が採用されたり、舛添都知事によるプロセスのオープン化という方向転換がなされたものの、建て直しという前提は変わりません。ただ、予算の見直し市民の声が反映される余地が生まれたことは成果と言えるのではないでしょうか。

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IOC(国際五輪委員会)は計画見直しに一定の理解を示しつつも、IOC調整委員会のジョン・コーツ委員長は「関連する国際団体すべてから承認が下りなければ会場計画変更はありえない」と不服そうなコメントもしています。コーツ委員長は2016年のリオデジャネイロ五輪の会場建設の遅れに対しても厳しい姿勢を見せていました。

でもIOCはこの一件をもっときちんと受け止めるべきです。東京で草の根運動が功を奏したということは、今後他の都市も追随する可能性があります。IOCについて批判的な人たち(米Gizmodoも)は、リオデジャネイロ市がIOCに対して抗議し、経済全体を圧迫するような膨大なコストの問題をもっと明るみに出すべきだと考えています。

実は今、IOCは2022年冬季五輪開催地確保に躍起になっていて、最終選考に進む3つの都市が今週発表されたばかりです。その3都市とはノルウェーのオスロ、中国の北京、カザフスタンのアルマトゥイです。でもオスロ市民の60%は候補地となることに反対だし、カザフスタンは人権侵害や政治腐敗が問題視される中進国です。

今まで世界各国・各都市に対し持続可能性の低い五輪を押し付けてきましたが、開催地側もついにIOCに対し立ち上がりつつあります。ワールドカップを主催するFIFAも、あまりうまくやっているとはいえないようです。

※ 一部加筆・修正しました。ご指摘ありがとうございました。

Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文

(miho)