ソニーα7S米ギズレヴュー:フルサイズ動画撮影の新しい王者が誕生した

2014.07.28 19:00
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ソニーは、時にミラクルを起こすと同時に競合他社をびっくりさせることがしばしばありますが、新しいフルサイズのミラーレスカメラα7Sはその両方の要素を兼ね備えた逸品です。前モデルのα7と全く同様の機能を搭載したカメラだけれど、特に動画撮影の用途で使いたいユーザーにとって、突出してエキサイティングな機能を備えています。


これは何?


2,500ドル(約25万円、日本はソニーストアで23万円で発売)のフルサイズのミラーレスカメラ。真っ暗な弱光環境でも動画撮影を可能にするよう設計された12メガピクセルのセンサを搭載しています。新しいセンサといくつか追加されたメニューオプション以外は、2013年10月に発売されたα7/α7Rと見た目も操作性も全く一緒です。

ですのでこのレヴューでは、α7Sの新機能にフォーカスしてお届けしたいと思います。
α7とα7Rのレヴューについては以下をご覧くださいね。


何がすごいの?


4K対応テレビ、もしくは4K対応のコンピュータのモニタがまだ一般に普及していない件については、そんなの全然関係無いのです。このカメラは堂々の4K対応、4Kを我々ユーザーに突きつけることで、むしろユーザーに4K対応環境を用意しろと迫られているようですらあります。

4K動画に対応しているカメラ、パナソニックLumix GH4に関して言えば、4Kは処理しやすいもの、そして1,080pで出力しても意義があることを証明してくれました。

ソニーを含むその他の主要なカメラメーカー各社は、この今後のトレンドになりそうな目玉要素に追い着いていくために、同様のスペックを実現しようと試みているはず。ただしα7S本体だけでは4K動画記録はできません。micro HDMI端子から出力する4K動画信号をサードパーティ製の別売りの4Kレコーダーで記録する必要があります(しかもまだ販売されていません)。

そしてα7Sの低照度環境でのパフォーマンスは仰天してひっくり返るほど凄まじい。
この機能をコンパクトなミラーレスカメラに搭載しているというのが、非常にユニークで特別です。


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デザイン


フルサイズのαシリーズがデビューした時、その美しさに惚れぼれし、これ以上何も変えようが無いと思っていました。四角く角ばった感じのラインはレトロなカメラを彷彿とさせて格好良かったのです。

また「ソニーやってくれたなあ」と思うのが、明らかにターゲットになるはずの動画を撮影用途のユーザーが使いやすくなるような設計変更をせず、シンプルにα7、α7Rのボディを利用して、出来るだけ早く新しいセンサを市場に投入しようというアイデアが清々しいくらい明確なところ。

例えば録画ボタンの位置を改善するとか、また動画の設定項目に簡単にアクセスできるようなボタンの再設計など、動画撮影用途のユーザーにとってより機能的なデザインにするための改善項目はたくさんあったはずです。実際は、α7Sの見た目は良い感じだし、安定感はあるのだけれど、そのカメラ特性・強みに対しては最適化されていません。


使ってみて


24メガピクセルのα7に36メガピクセルのα7R(ほとんどの最近のフルサイズの一眼レフカメラの解像度はだいたいこの位)と比較すると、α7Sはたった12メガピクセルの解像度。実用性はいかほどに?

もし写真を印刷するなら、8×10サイズのプリントなら問題無く、11×14インチのプリントでもまあ大丈夫。でもこれ以上のサイズになってくると、印刷クオリティに差が出てくることに気づきます。基本的に印刷をしないならα7Sはそんなに問題を感じたりはしないでしょう。トリミングの微調整をする位なら、12メガピクセルでも十分。結局は、自分の作品が12メガピクセルでも十分満足行くかどうかは自分次第です。


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画質に関してはα7Sも素晴らしい。弱光環境でのパフォーマンスは特に驚異的です。ISOは100から409,600まで設定可能。しかしながら40万(!)レヴェルのISOで撮影しても、実用目的としてはあまり適しません。ISO3,200から12,800のレンジに関しては、他のどのカメラよりもクリーンで美しい結果を得ることができます。


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ISO 8,000で撮影した上の写真の暗さは、大体自分の目でみた風景と同様です。


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ISO128,000で撮影。このあたりが実用的か非実用的かの分かれ目です。


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そしてこれは最大ISO値の409,600。ほとんど昼間。

弱光環境での撮影能力の重要性を過小評価することなかれ。これは多くの動画を撮影する人にとっても写真を撮影する人にとっても、非常に便利な機能のうちのひとつです。撮影スタイルに柔軟性を与え、例え機材が足りていなくても場所を選ばず写真を撮影できる自由が生まれます。

プロの写真家でも予算は限られていますし、ライトを持つという選択肢が常にあるわけではありません。薄暗い環境でそれなりの写真を撮影するには何かしらの道具が必要になるわけですが、α7S本体だけで、他のどのカメラよりも最善な結果を提供してくれます。

「α7Sは本質的にヴィデオカメラである」と言えるにいたるかどうかはわかりません。エルゴノミクス的にもまだまだ改善の余地ありで、本体、各種物理ボタンやダイヤルは、カメラにヴィデオ撮影機能がくっついただけ…という感じです。でも動画撮影能力のポテンシャルの高さは、ワクワクするほど素晴らしい!


この我々が撮影したヴィデオに関する注意点として、α7Sと5D Mark IIIの色の違いの比較は無視してください。うっかり違う色設定で撮影してしまいました。またウェブにアップされた動画のため画質も落ちています。もし Vimeo Plus メンバーなら、より良い画質のオリジナルファイルをダウンロードすることができます。

1,080ピクセルで24fps、30fps、60fps、また720ピクセルにすれば120fpsで動画撮影ができます。

残念ながら、4Kで撮影するには外部接続の4Kレコーダーを購入する必要があります。これは心底悲しい話なのですが、1,080ピクセルのクオリティがあまりに素晴らしいので救われます。ヴィデオ信号はセンサからフルサイズで送られるα7Sのクオリティは、どの競合各製品より優れています。

一般的なヴィデオカメラに見られる、エイリアシングやモアレ現象をほぼ取り除いてくれますし、ビットレートはXAVC Sで50Mbpsで、クリアでキリッとした動画が撮影できます。

そして、引き続き キヤノン 5D Mark IIIとα7Sの比較は続きますよ。以下のイメージはどちらも250%拡大してクロップしたもの(写真設定、特に色の設定が合っていない点に留意ください)。


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4Kの動画記録を可能にする外部レコーダーは、そもそもまだ市場に出ていません(ソニーは「4K動画の記録には4K動画記録対応の外付けレコーダーが必要」としている)。2,500ドル(約25万円)のカメラを手に入れても、今すぐ4Kで撮影する事が、予算以前に物理的に不可能なのは由々しき問題です。

このコストと利便性の問題を考えれば、2,000ドル前後(約20万円)で、4Kが普通のSDカードで内部記録できるパナソニックのGH4の方に軍配が上げたくなります。レコーダーのコストが余計にかかるとしても、(今までと比較すれば)安価にフルサイズで4K動画が撮影できるというのは今のところ唯一無二なんですよね。

さしあたり1,080ピクセルでも十分素晴らしく、ほとんどの人にとっても満足いくクオリティだと思います。α7SのフルHDシグナルはキヤノン5D Mark IIIと比較してもノイズや精細さに関して優れています。そこまで違いがあり過ぎる…というほどでも無いにしろ、検討するには十分というくらいのレベル。

5D Mark III以外で、フルサイズで動画が撮影できるカメラは他に選択肢が無いと思います。α7やα7Rの動画は平均レベル、ニコンのフルサイズの一眼レフではモアレやエイリアシング問題が発生します。1,080ピクセルでのα7Sは、低価格で実現できるGH4の4Kの透明感には劣るものの、それでも全然素晴らしく、特にシャープさを求めるのならそのポテンシャルの高さを感じると思います。

以下、比較です。



α7とα7Rには搭載されていないα7Sのソフトウェアは、動画撮影をする人にとっては中々良いツールとなっています。特にピクチャープロファイルを調整できること。

カメラのダイナミックレンジに対して有利なピクチャープロファイルを活用することで、色調などを調整する際に、より柔軟性を与えてくれます。また自分好みの設定のピクチャープロファイルも作成することができます。特に[Cine4]のガンマ設定は、基本のプロファイル設定よりコントラスト高めで調度良い感じですが、[S-log2]の設定はは他のガンマに比べてノイズが目立ちやすくなります。

また、ソニーがα7Sで改善できなかった唯一の主な欠点は、ローリングシャッター現象(高速に動くものを撮影したときに進行方向に向かって像が歪んだり、ストロボのようなごく短時間の発光があると画像の垂直方向に明暗ができてしまう現象)。これはかなり残念。

Philip Bloom氏の検証動画で、α7SのAPS-Cクロップモードだとその現象が軽減されることもわかりました。フルサイズで録画する意味を損ないかねない問題ですが、素早く動くものを撮影するシチュエーションがそんなに無い人であれば、気にならない問題でしょうか。

また、一度立ち止まって考慮しなくてはいけない問題は、現在利用可能な純正のフルサイズのEマウントレンズ(FEレンズ)の選択肢が少ないこと。これはα7/α7Rでも同様の問題です。もちろんサードパーティ製のレンズも使えますが、マウントアダプターは高価、そしてマニュアルフォーカスで撮影しないといけません。便利なオートフォーカスや手ぶれ補正を我慢しないといけません。

純正のα7シリーズレンズの選択肢は、ちょっと微妙な28-70mm/f/3.5-5.6 の標準レンズか、高品質のツァイス24-70mm f/4のレンズしかありません。当然ツァイスの方が良いのですが1,200ドル(約12万円)もします。あとは50mm/f1.8と、35mm/f2.8の2種類の単焦点レンズがありますが、超広角レンズはまだ登場していません。

ソニーのAマウントレンズはアダプターを装着すれば利用できますが、かなり大きくて重いのが辛い。希望的観測として、α7Sの需要が増えてソニーはFEレンズシステムの開発により力を入れてくれることを期待したいですね。

その他のα7Sの機能については、ほとんどα7と一緒です。オートフォーカスはかなり良いですが、超素晴らしいというわけではなく、バッテリーの持ちは貧相(でもα7Sにはバッテリーが最初から2つ付いています)。メニューシステムも一緒ですが、α7Sには動画設定の中にピクチャープロファイルが追加されています。

ひとつの大きな変更はα7Sのシャッターです。シャッター音を消せる「サイレント撮影」機能を搭載しました。自動的に電子シャッターを使用することでシャッター音が消えるので、静かな環境で撮影しないといけないとき、例えば野生動物などの撮影にぴったりです。


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好きなところ


今のところ、この価格でフルサイズクオリティの動画が撮影できるものは他にありません。そして弱光環境でのパフォーマンスも凄まじい。この2点だけでも、非常に強力な事実です。さらに外部の4Kレコーダーがあれば鬼に金棒です。


微妙なところ


やはり12メガピクセルというのは、写真撮影をする多くの人にとって懸念点になるでしょう。カメラも動画撮影用途に特化して設計されているわけではなく、残念なエルゴノミクスで、操作系ボタンやダイヤルのレイアウトがそれを物語っています。

またα7シリーズ用のフルサイズレンズ(FEレンズ)の選択肢も非常に少ないですね。バッテリーの持ちの悪さも相変わらず残念。そして本体だけで4Kの動画撮影が出来ない点は、競合であるGH4に劣っていると言わざるをえません。


これは買うべき?


もし動画撮影用途で、キヤノンのフルサイズカメラのヴィデオクオリティ以上で、価格も同等レベルのものを求めているのなら、ソニーのα7Sは選択肢として絶対検討するべき。動画クオリティはさることながら、いずれ市場に投入されるだろう4K動画撮影用の外部レコーダーに投資するつもりがあるなら、より将来有望です。

写真も動画も撮りたいハイブリッドユーザにとっては、α7Sは若干のジレンマを感じるところがあって、12メガピクセルのセンサは大判印刷をしたい時に厳しいものがあります。でも印刷する予定がなければあまり気にしなくても大丈夫でしょう。

α7Sは、その至らない点を忘れさせてくれるのに十分なほど、そのパワフルなテクノロジーを見せてつけてくれます。パナソニックのGH4には、機能もオプションの数も使いやすさも上で、前述のとおり4K動画撮影機能が本体だけで可能ですし、そして素敵なエフェクトも搭載されています。しかしながらGH4のマイクロフォーサーズのセンサだとやっぱりどこかで妥協しないといけなくて、例えば弱光環境での撮影はあまり良くないし、シャドウの深さは不自然です。

でもここに真打ち登場。α7Sは、文字通り真っ暗な環境でも、誰でも良いショットを撮影できるという選択肢を全カメラユーザーに与えてくれました。


Michael Hession - Gizmodo US[原文
(mayumine)

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