第一線クリエイターに聞いた、3DCGとVFXスキルで切り開く未来

2014.08.18 11:00
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CGクリエイターの未来はどこに向かっている?

今、巷で話題になっているアニメや映画など、そのほとんどがデジタル環境で制作されています。これらの作品を見て、3DCGVFXといったCG映像コンテンツの制作に興味を持っている人も多いのではないでしょうか。

CGクリエイターになるためにはいろいろな手段がありますが、もっともオーソドックスなケースが、スクールに通いCG映像コンテンツ制作のノウハウを学ぶこと。機材やソフトの使い方をマスターし、自分が思い描いている作品をデジタル環境で具現化できるようになります。

そこで今回は、CGクリエイターを養成する専門スクール「デジタルハリウッド」を卒業した、あるいは在学中の第一線のクリエイターを迎え、CGクリエイターになるために必要なことや、これからのデジタルクリエイターとして持つべき考え方などをお伺いしました。

今回ご参加いただいた方々は、以下の通りです。


●松井祐亮(まついゆうすけ)


140725DigitalHollywood02.jpgデジタルハリウッド東京本校本科クリエイティブコース卒業後、株式会社サンライズにてCGクリエイターとして勤務。2010年、スタジオカラーのデジタル部にアニメーターとして参加。3年間の制作業務の後、現在は同部署にてアニメーターのリーダーを勤める。現在はスタジオカラーに所属。FREEDOM(日清カップヌードルCM)、ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q、そにアニ(第6話エンディング)などの制作に携わる。


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©2006 FREEDOM COMMITTEE


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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q©カラー


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©Nitroplus/そにアニProject


●森田悠揮(もりたゆうき)


140807digital_hollywood_MG_0401.jpg1991年1月7日生まれ、名古屋市出身。2010年春、立教大学へ進学のため上京。2011年秋、大学に通う傍らデジタルハリウッド東京本校秋専科CGアニメーター専攻(現専科3DCGデザイナー専攻)週末コースへ入学し、1年間ダブルスクール。2012年秋、デジタルハリウッドを卒業後、フリーランスとして活動を開始。TV、ゲーム、ミュージックビデオ、プロジェクションマッピング、広告といろいろな分野のCGに携わっている。


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「The POINT」デジタルハリウッド卒業制作


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「SILHOUETTE」


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「Albino Dragon」


●江川達也(えがわたつや)


140725DigitalHollywood10.jpg1961年生まれ。愛知県出身。愛知教育大学数学科(応用数学専攻)卒業。中学の数学講師を経験した後、本宮ひろ志氏のアシスタントとなる。『BE FREE!』(1984〜1988年)で漫画家デビュー。以後は『まじかる☆タルるートくん』(1988〜1992年)、『東京大学物語』(1992〜2001 年)、『GOLDEN BOY』(1992〜1998年)など、少年誌から青年誌向けまで幅広いジャンルの漫画を執筆。前述の作品はアニメ化、ドラマ化もされ、立て続けにヒット作を生み出す。2001年以降は、『源氏物語』(2001〜2005年)、『日露戦争物語』(2001〜2006年) など、古典や史実の漫画化も行っている。活動の場は漫画だけに留まらず、実写映画版『東京大学物語』(2006年)、『KING GAME』(2010年)では映画監督を務めたほか、書籍やコラムの執筆、キャラクターデザインなども手がけている。ホリプロとタレント契約をしており、『タモリ倶楽部』などのTV番組にも出演している。


●森内芳枝(もりうちよしえ)


140725DigitalHollywood11.jpgデジタルハリウッド専門スクール東京本校にて本科専科の授業カリキュラムのディレクションと入学カウンセラーを担当。


世代の異なるデジタルハリウッド出身のクリエイターたち


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――本日はよろしくお願いします。松井さんと森田さんは、デジタルハリウッドの卒業生、江川さんは現在在学中ということなんですが、まずは自己紹介をお願いします。

松井祐亮(以下松井):卒業して6年くらいになります。平日に通ういわゆる「本科」で学びました。卒業後にサンライズに就職して、大友克洋さんの『FREEDOM』および日清カップヌードルのテレビCMの制作が一番最初の仕事でした。現在はスタジオカラーに所属して、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を作らせていただいたり、『そにアニ』というアニメの第6話エンディングの演出と監督をやらせてもらいました。

森田悠揮(以下森田):現在、立教大学に通いながら、フリーランスの3DCGクリエイターをしています。2011年の9月から1年間、週1回土曜日に授業がある「専科」に通っていました。大学に通いつつ、デジハリにも通うダブルスクールをしていたんです。そして、デジハリを卒業してからフリーランスでやっていて、様々なジャンルのCG映像に携わらせていただいています。

江川達也(以下江川):漫画家です(笑)。2013年9月から週1回土曜日のコース「専科」に通っています。今日も授業を受けてきたところです。朝10時30分から午後8時30分までですから、50代の僕にはかなり過酷です(笑)。

――なるほど。それはかなりハードですね(笑)。では、そもそも皆さんが3DCGやVFXに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

江川:僕はCGというか特撮ですね。ウルトラQとかウルトラマンとか。幼稚園の頃から、これはどうやって作っているんだろうという見方をしていました。高校生くらいに『スターウォーズ』を見て、徐々に特撮からCGに興味が移っていったという感じです。最近では、『パシフィック・リム』が好きですね。特撮好きが作った映画という感じがしますね。元ネタがすべてわかる。


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松井:僕は映画がすごい好きで。僕が20代前半の頃に、『インデペンデンス・デイ』や『ツイスター』といった、CGを使った映画が大流行していて。それを見て、VFX、いわゆる実写とCGの合成をやりたいと思いました。映画だと、人を手配してセットを用意して、そこに撮影に行ってという、プロデュース能力が求められますが、当時はそれが自分には足りないと思っていて。それならCGを使って全部自分で作ればいいのかなと思ったんです。

森田:小中学生だった頃に『CASSHERN』や『デイアフタートゥモロー』、『スパイキッズ』等の当時爆発的に増えだしたCG映画を見る機会が増えて、3DCGには自然と魅力を感じていました。それ以来CGに興味を持っていろいろ調べたんですが、(3Dアニメーションソフトの)「Maya」は非常に高価なソフトで個人で所有するのは難しいと知って、一度諦めたんです。それで高校は普通に過ごして、大学に入って『アバター』を見たときに、CGへの意欲が再燃しました。何でもひとりで作れるという万能感に憧れていました。僕もひとりで作品を作りたいんです。人に任せるより自分で全部やりたい。


デジタルハリウッド入学の経緯から現在の仕事へ


――それぞれCGやVFXに対する思いがあって、そこを目指そうということで、デジタルハリウッドに入学されたわけですが、どういった経緯でデジタルハリウッドを選んだんでしょうか。

松井:僕は高校卒業後、地元北海道で美容師をしていました。友人が高校卒業後、デジタルハリウッドに入学していたのですが、その話を聞いて23歳のときに入学を決意して、いろいろと調べたんです。デジタルハリウッドの入学担当の方にもすごく相談しました。不動産屋さんにあたってくれて部屋を探してくれたり、とても親身になっていただきました。でも、実際に入ってみたら、1週間帰らないで没頭して制作していたりしましたね(笑)。机の下で寝て、銭湯に通って。24時間制作をできる環境が用意されているから、そういうこともできるんですよね。当時はそのくらい、没頭していました。


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森田:僕がデジタルハリウッドに入ったのは大学2年生のときなんですが、ダブルスクールを前提に探していたんです。探した中でデジタルハリウッドは週末だけのコースがあるのが決め手で選びました。僕もよく徹夜していましたね。デジタルハリウッドには、授業前に予習ができるオンラインの動画教材というのがあるので、それを見てから授業に出ていました。これがあったから、授業を復習に活用できたのですんなりついていけましたね。今思えば、すごい楽しかったですね。

江川:僕は子どもの頃から映像がやりたかったんですよ。それがきっかけで漫画家になったというのもあるんですが。自分の作品がドラマ化、映画化、アニメ化などされまして、自分で映画監督も2本くらいやらせてもらったんですが、やっぱりなんか違うなという思いがありました。全部自分で作りたいというのがあって、そうなるとCGを勉強したほうがいいなと思って入学しました。実は、専科CGクラスに入る前に、デジタルハリウッドSTUDIO渋谷の専科Webデザイナー専攻に半年間通っていたんですよ。HTMLやJavaScriptを学びました。デジタルハリウッドは、授業の内容を動画で見返すことができるんです。僕はもう50歳超えていて物覚えが悪くなっているので(笑)、そのビデオを何回も見返して復習しています。

――江川さんは現在在学中ですが、松井さんと森田さんは卒業後にクリエイターとしてお仕事をされています。お2人はどういった経緯で現在のお仕事をされているのですか?

松井:デジタルハリウッドを卒業するときに、先生が飲みに誘ってくれたんです。そのとき、先生と同期のサンライズの方が同席されていて、そこで「日清で『AKIRA』の大友監督の企画があるから来ない?」と誘われまして。『AKIRA』がすごい好きだったので、「行きます行きます!」って返事をして、そこからアニメの世界に入りました。実写映画とCGを融合させるのが目標でしたが、全然後悔はしていません。現在はスタジオカラーに在籍していて、そこでもいろいろなアニメ制作をさせてもらっています。日本のアニメはほんとおもしろいんですよね。

森田:僕は現在フリーランスで働いていますが、元々それを目指してなったわけではないんです。デジタルハリウッド卒業後に卒業制作を見てくれた方が「ちょっと仕事をしてみない?」と言ってくれてそこから仕事を始めて、それがきっかけとなって人脈が広がって、気付いたらフリーになっていた、というパターンですね。そのほか、SNSを使って自分の作品を発信したりコンテストに応募したりといった活動もしています。


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江川:大学生をやりながらフリーって理想的ですよね。社会に出ていきなりフリーだと、明日が心配になってしまう。フリーランスは急に仕事がなくなるっていう不安があるから、すごいがんばっちゃうんですよね。それで体壊したりすることもあるし。

森田:はい。あと、社会経験がないので、ギャラの相場がわからなかったり、交渉の仕方もわからない状態でした。そのあたりは先輩に教えてもらうというか、相場を聞いて。今は慣れましたからそれほど困ってはいませんが。

――森田さんのように、デジタルハリウッドからいきなりフリーランスとして活動する人も多いんですか?


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森内:デジタルハリウッドには講師、受講生ともにいろいろな業界の方が在籍しているので、その方の紹介で在学中からCG映像の仕事をして、そのままフリーランスになるというケースもありますね。また、卒業時に卒業制作の発表会、クリエイターズオーディションがあるんですが、そこにCG映像プロダクションの採用担当の方をご招待して、卒業制作のプレゼンテーションを行うんです。そこで就職、転職もしたいけれど、フリーでもやっていきたいということを発表すれば、参加しているCG映像プロダクションからお仕事が来ることもあります。


3DCG・VFXに望む進化とは?


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――なるほど。自分のアピール次第で可能性が広がるわけですね。ちょっと話題を変えて……、3DCGやVFXが進化してきた歴史を鑑みて、今後どういった進化を望まれますか?

江川:3DCGは、機械など無機質なものの表現はいいんですが、人間のような血の通ったものを表現するのが難しいと思うんです。僕は自分で絵が描けてしまうので、わざわざCGで人間を描く必然性が感じられないというところに、結構悩んでいますね。デジタルとアナログがうまく絡み合う接合点が見えていないというか。今まさに卒業制作に取り組んでいるのですが、そこではデジタルの限界というか、デジタルとアナログの表現上の境界線のようなものを自分なりに見出すことをテーマにしています。


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松井:江川さんがおっしゃられている通り、キャラのあたたかさとか、髪の毛の表現などがすごくたいへんですね。自分の意思がうまく表現できるツールが出てきたり、進化されれば可能性はあると思うんですが、必要としている僕らが開発している時間がないんですよね。

森田:CG映像作品の要になるのは、作り手のアナログ的な技術やアート的な基礎知識も大きいと思います。ソフトが進化していくのはもちろん重要ですが、機能的な面ばかりにとらわれ過ぎかなと。ソフトを使った作業は、トレーニング重ねていけばできるようになります。そこに、アート的な感性や要素をいかに取り入れていくか、そういう意識を浸透させていくことも大切だと思います。


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江川:僕の場合は、まずソフトを使えるようにならないといけない段階。まだ勉強中ですが。最近の3DCGソフトでは重量計算をするものが増えています。これをもっとアート的に応用できないかなと。たとえば、ソフト上で壁に水をかけて重力計算をさせて、その変化の一瞬を切り取って作品にするといったような。今は、ソフトを使って作業をするだけで、その先の工夫をしないじゃないですか。クリエイティビティのある人がソフトを使えるようになれば、いろいろなアイデアが出てくるようになると思います。


クリエイティビティの育成には自ら学習する力が必要


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――デジタルハリウッドさんでは、ソフトの使いこなしはもちろんですが、クリエイティビティを養うためのカリキュラムはどういう風にとらえていますか?

森内:クリエイティブな思考を鍛える要素はカリキュラムに入れていかなければいけないという考えのもと、授業を組んでいます。発想力を鍛えるための授業があったり、発信力を鍛えるためにプレゼンテーションを必須にしていたり。特に本科では多く取り入れています。専科では、時間を惜しんで来る方が多いのでCGスキルの習得がメインとなっています。

江川:クリエイティブって教えるの難しくないですか? 元々持っているものというか。

森内:確かにそうですね。学校では、クリエイティブな思考や観察する力を鍛える方法を教えています。参考になる情報を教えてあげて、復習を行なったり新しい知識を求めて能動的に活動したりする姿勢の大切さを身につけてもらえればと思っています。そして同じ目標を持つ仲間がいて、人脈を作る、そんな場に身をおいてもらう事が「創造力」を養うことに繋がると思います。


――今後の目標などはありますか?

松井:もっとアニメをやっていきたいので、自分のアニメーションレベルを上げていきたいですね。それと、監督業ももっとやっていきたい。アニメを極めていきたいという気持ちが強くあります。


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森田:VFXの腕を上げるというのはもちろんなんですが、最終的には自分の作品で食べていけるようになりたいですね。江川さんみたいに。CGの世界で、CG作家と言われるパイオニアとなるのが一番の理想形です。

江川:僕はひとりテレビ局をやりたいんです。僕は文章を書くのも好きなので、文章あり、イラストあり、漫画あり、CGあり、実写あり。いろんなことをやるための基礎として、デジタルハリウッドに来てよかったなと思っています。


クリエイターになるには自分を知ること、幅広い知識を身に付けること、落書きをすること


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――最後に、クリエイターになりたいと思っている人にメッセージがあればお願いします。

松井:僕は、自分の好きなものを作るためには自分を知ることが大切だと思っています。自分が好きな映画や作品を見て、何に惹かれているのかを分析してまとめておくと、あとで自分の作品を作るときに参考になります。僕は好きな映画を見て、好きなところや気になったところをメモして、まとめています。急に作品を作ってと言われたとき、ある程度自分が好きなジャンルのことについて知っておけば、発信しやすくなると思います。

森田:僕は大学で心理学を勉強していたんですけど、この知識を自分の作品に落とし込むのがおもしろいと思っています。CGだけの知識を詰め込んでも、人間性が育まれないと思っていて。特に作家を目指すのならば、それは絶対やってはいけない。とにかく違う分野のことをいろいろ勉強して、視野を広く持つことが大切だと思います。これは、CGに限らずかもしれません。

江川:漫画家の立場から言うと、一番いいのは落書きですね。うまく描こうと思わず、何気なく心をフラットにして自分の中を出していくことがすごく大切。あと、散歩をするとアイデアが湧いてくるので、散歩を趣味にするといいと思いますよ。それと、クリエイターをやっていて苦しくなったら、欲を減らしていくこと。あれもこれもと欲張ると、本来のクリエイター精神を忘れちゃうんで。例えば、「お金」と「作りたいもの」という2つあった場合、どっちを選ぶかというときに、どっちかを選ぶ。欲をコントロールできるようにしておくといいと思います。


デジタルハリウッドはクリエイティブへの入り口


以上、デジタルハリウッドの卒業生・在校生による鼎談でした。


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森田さんが20代、松井さんが30代、江川さんが50代というように、世代別のクリエイターに集まっていただきました。デジタルハリウッドは、職業も年齢層も幅広い人たちが集まって、3DCGやVFXについて学んでいます。

週2~3日で通学する本科コース、週1日だけの専科コースがあり、自分のスタイルに合わせて授業の受け方が選べるのも特長です。

また、デジタルハリウッドは4月からのコースと、9月末からのコースが選べます。ということは、今からでも9月入学のコースに間に合います。

もし、3DCGやVFXを学びたいけれど、どの学校に通えばいいのかわからないという人や、働きながら勉強したいという社会人や学生さん、将来的にはCG業界で働きたいと思っている人は、この機会にスクール説明会に参加したり、資料請求してみたりして、ちょっと検討してみるのもいいかもしれません。

人種も年齢もさまざまな人たちが共通のものを学ぶ。そこには、いろいろな垣根を越えた熱い気持ちがあります。一見3DCGやVFXと聞くと敷居が高そうですが、そこはあなたの情熱次第。デジタルハリウッドならば、その情熱をしっかり受け止めてくれます。

迷っている時間がもったいない。今すぐ、クリエイティブの扉を開けましょう。


image by KAZUHEI KIMURA
source: デジタルハリウッド

(三浦一紀)

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