テキストメッセージで「911」ができない理由

テキストメッセージで「911」ができない理由 1

携帯キャリアの問題じゃなく。

先週金曜日、FCC(米国連邦通信委員会)がすべての携帯キャリアと「相互接続されたテキストメッセージ事業者」(iMessageなど)に対し、2015年までにテキストメッセージでの911(緊急通報)を可能にするよう求める裁決をしました。素晴らしいことですが、ちょっと問題があります。それは、FCCにはどうしようもないことなんです。

米国連邦政府は理論上、携帯キャリアに対する司法権を持っていますが、それだけではテキストメッセージでの911を実現できません。実は大手携帯キャリアのAT&TやVerizon、Sprint、T‐Mobileはすでに対応できる状態にあるのです。でも、National Journalいわく、911のコールセンターシステムは州や郡のものであり、それぞれのコールセンターでテキストメッセージをさばけなければ、携帯キャリアでメッセージが送れようと送れまいと誰も受け取り手がいないんです。

National Journalはこう書いています。

米国内の緊急通報用コールセンターのうち、テキストメッセージの処理に対応しているのは約2%である。FCCには各コールセンターに対し、テキストメッセージ処理機能を求める権限がない。

コールセンターでのテキストメッセージ対応を必要とするかどうか判断するのは、連邦政府でなく個々の州や郡だ。

今年バーモント州は、州全体で911テキストメッセージに対応した最初の州となった。彼らは2012年にVerizonとともにトライアルを行い、「テキストメッセージに対応すればメッセージがあふれ返る」懸念が都市伝説だったことを示した。

ただ、もしテキストメッセージが使えても、従来の通話の方が位置情報データの信頼性が高いので望ましい、とされています。でも例えば家庭内暴力をふるう人物や強盗から隠れている場合など、「電話したら声で自分の居場所がわかってしまう、でも通報したい」場面ではテキストメッセージが救世主となります。

さしあたりFCCができるのは、この携帯キャリアに対する裁決が各地方政府でのテキストメッセージ対応を後押しすることを祈るだけです。各地での対応がないままでは、911にテキストメッセージを送ろうとしても、送信エラーメッセージが戻ってくるだけです。

米国ではNext Generation 911という携帯電話からの緊急通報用に設計されたシステムも2000年から準備中です。それが完成すれば、携帯電話やスマートフォンから緊急コールセンターにテキストメッセージだけじゃなく画像や動画も送ることができ、さらにコールセンターからは発信元の医療データや建物の設計図などにもアクセスできるようになるはずです。が、その完成までにはまだまだ長い道のりがありそうです。

ちなみに日本の911に相当する119番・110番を運営しているのも、国ではなく各自治体の消防本部・警察本部です。聴覚や言語・音声に障がいのある方向けにメールでの緊急通報を受け付けている自治体もありますが、事前登録(参考PDF)が必要になっているなど使い勝手は良くありません。

source:National Journal

Ashley Feinberg - Gizmodo US[原文

(miho)